SEOとPPC。それぞれ同じデジタルマーケティングの領域にありながら、なかなか融合させることが難しいイメージがあります。必要な知識やスキルがそれぞれ大きく異なることは事実でしょうか、補完しあえる箇所も確実に存在するはずであり、それぞれがメリットを与え合うこともできるはずです。そのような優れた関係性を構築するために必要なアドバイスを紹介した、Search Engine Landの記事を紹介します。
SEOとPPCはしばしば対立するものである。しかし、それぞれが「言い争う」ポイントは、実際には、ワークフローやチャネルの最適化の対象となるポイントなのである。
SEOとPPCの軋轢が生じる要因として、各チャネルで異なる要因を挙げ、チーム間のコミュニケーションを構築しない、という傾向が挙げられる。
通常、こうした軋轢が生じる理由は、下記のとおりである。
- レポート
- ランディングページ
- 予算
この記事では、SEOとPPCのキャンペーンが共に働き合うための5つの方法を紹介する。
1.ファーストパーティのデータを協力して用意する
あらゆるデジタルマーケティングのキャンペーンは、ファーストパーティのデータを考慮する必要がある。
あなたのブランドが準拠しているかどうかを理解するためには、SEOとPPCの両方のチームからのインプットが必要だ。
リマーケティングキャンペーンに大きく依存している場合(それが、業界自体が高価な商材を扱っているにせよ、カスタマージャーニーが複数のステップを踏む性質であるにせよ)、ネイティブオーディエンスにさらに依存するようになるかもしれない。
これらのオーディエンスの中には強力なものも含まれるが、その多くは、ブランド追跡のアクティビティに基づいたオーディエンスに対し、十分なパフォーマンスを発揮していないだろう。
オーディエンスセグメントは、不安定な品質を回避するための強力な方法となりうる。
こうしたオーディエンスのセグメントには、一貫した、新しい、グローバルサイトのタグが求められる。タグは、GA4のタグに更新しておこう。
クッキーの承認を設定する際は、そのモジュールがCLS(Cumulative Layout Shift)のルールに従うことが重要である。一般的に、ユーザーの購買ジャーニーを妨げず、CLSのリスクも少ないため、モジュールはページの下部に設置することが良いとされる。
収集したファーストパーティのデータが保護されていることを確認しよう(ハッシュ化されてツールによって同期されるか、広告アカウントにアップロードされるとすぐに削除される)。
SEOチームのコンテンツキャンペーンと連携し、合意形成のための有力な手がかりがあることを確認するのだ。
分析についての注意点
GA4とコンバージョンモデリングの現時点での展開における大きな欠点は、広告主が事実のソースとして使用するか、拡張コンバージョンの力を使用するか、どちらかを選ぶ必要があるということだ。
拡張コンバージョンには、ネイティブのGoogleのコンバージョントラッキングを使用することが求められる。拡張コンバージョンのトラッキングにより、広告キャンペーンの現状をよりよく理解することができるが、その数字は、SEOチームが報告する数字とは常に異なっているはずだ。
信頼性とデータの継続性において、全体の指標がプラスのROASを示している限り、PPCが報告する数字に「ヒット」を加えることは、理にかなっていると言える。
拡張コンバージョンを使用するということは、レポートが異なることを、すべての関係者が受け入れる必要があることを意味する。
2.ドメイン構造の選択に応じて認識し、適応する
ブランドURLの設定には、下記の3つの方法がある。
- (海外向けを含め)1つのドメインで全てをまかなう
- 複数のイニシアチブ用のサブドメイン
- バニティドメインとカントリードメイン
どの方法を採るにせよ、PPCに特化したページは、noindexとnofollowを設定し、広告ボットがアクセスでき、品質スコアに貢献できるようにする。
非商業ブランドの場合、すべてを同一のドメインでまかなうことにより、状況が良くなることは稀有である。良いSEOが施されたWebサイトには、PPCに反する戦略的な要素が存在するからである。
- SEOは重複コンテンツを望まないが、PPCにとってテンプレートのテストは有益である
- SEOは強固なナビゲーションバーを望むが、PPCはユーザー行動の観点から制限された選択肢を好む
- SEOの観点ではリダイレクトが必要とされるかもしれないが、これは、広告が承認されない要因となりうる(90日間で3回の警告違反は、広告アカウントが停止される)
こうした落とし穴は、サブドメインを保持することで、簡単に軽減することができる。サブドメインの保持はメインドメインに利益を与え、SEOとPPCチームの間に存在する、創造的で技術的な妥協を強いることもない。
さらに、サブドメインを保持することで、同一のアナリティクスのプロパティとブランディングの継続性が保たれる。
PPCとオーガニックトラフィックの両方で同じページを使用しなければならない場合、リダイレクトの設定について、少なくとも実施日の3日〜5日前には伝えておこう。こうすることで、PPCチームがクリエイティブを調整する時間を確保することができ、Googleがその広告を非認証にするまで、無駄なページにトラフィックを送ることはなくなる。
在庫状況を伝えることも、PPCとSEOの両方にとって重要である。
製品が頻繁に在庫切れになる場合は、検索エンジンからのペナルティを受けることになるだろう。あらゆるキャンペーンにおいて、在庫状況には注意を払うべきだ。在庫切れの商品はペイドキャンペーンの対象外とし、オーガニック用のページには、「OutOfStock」の値をマークアップしよう。
3.トランザクショナルのインテントとCROを全てのページに適用する
不幸にも、SEOは「調査」のチャネルとしての固定概念を持たれており、PPCはトランザクションのみを目的したものであると、説明されることがある。
トラフィックについては、そのように考えられる正当な理由はあるものの、信頼を築き、取引を可能とする教訓が、それぞれから得ることができるのだ。
例えば、PPCのページはコンテンツが少なくなる傾向はあるものの、製品やサービスを理解するためのオプションは必要とされている。こうしたコンテンツは(テキストであれ、動画であれ)、ファーストビューの下に配置され、コンバージョンへの経路を明確に保つべきである。
同様に、SEOにとっても検索結果の上位に表示されるためには、情報が豊かで権威のあるコンテンツが必要となる。しかし、コンバージョンへの経路が埋もれている場合(もしくは、存在しない場合)、トラフィックはひどく曖昧なものになってしまう。
上記の画像のページは、一見すると、よく作られたオーガニック用のページであると思うかもしれない。しかし、実際にはPPC用のページなのである。
皮肉なことに、オーガニック用のページのほうが、コンバージョンへの経路がはっきりとしている。PPC用のページの作成に時間を割くのであれば、PPCのルールを順守したものにしよう。
このページは、ユーザーにとって十分な情報を与えるだけでなく、コンバージョンへの明確な経路も提供している。
さらに情報を求めるのであれば、ユーザーはそれを得ることができる。そして、情報に圧倒されるわけでもない。また、ブランドとのエンゲージメントを構築するための、複数のステップからなるフォームに記入する、というオプションも提供している。
オーガニックのサイトは、ペイド版のページと同様、クリーンでナビゲートがしやすいサイトである。CTAをすぐに認識することができ、コンバージョンへの経路が途切れることもない。
4.検索クエリのレポートをキャンペーンに活用する
PPCとSEOを共存させるための最適な方法の1つとして、検索クエリの共有が挙げられる。
検索クエリのレポートから得られるデータに対し、あなたはすでに対価を支払っている。コンバージョンしているものと、していないものについての情報と併せ、それらのデータを共有することで、コンテンツチームが投資すべき箇所を判断する手助けとなる。
しかし、サイト内検索やSearch Consoleからのデータを共有することは、よく見過ごされてしまっている。
既存顧客が何を求め、どのように考えているかを知ることは、キーワードに優先順位をつける手助けとなる。
コンテンツ作成やオークションの価格について、ブランドがインサイトを得るために、それぞれのチャネルが検索クエリのデータを共有する必要がある。
少なくとも、クウォーター毎にデータを共有できるような自動設定をしておき、全てのデジタルチャネルが意見を出し合えるようにしておこう。
5.お互いに話す機会を設ける
これは、たわいもなく、平凡な提案に思われるかもしれない。しかし、相手と顔を併せて話すことで得られるメリットは、計り知れないものである。
週のはじめに10〜15分のミーティングを行うことや、月次のコラボレーションセッションを設け、それぞれの領域におけるイノベーションや課題について話し合うことで、それらを強化したり、軽減したりすることができるはずだ。
あなたが代理店に勤めており、相手も別の代理店に勤めている場合は、クライアントと同席、または、別々にミーティングを設定してもらうよう、依頼してみよう。
ブランドの成功に対するコミットメントと、協力的な姿勢を示すことは、クライアントとの関係性の維持に貢献するだろう。また、あなたの仕事が不当な対抗を受けることもないはずだ。
PPCとSEOが対立する必要はない
コラボレーションにより摩擦を軽減し、弱点を緩和し、利益を最大化させるための領域を確保しよう。
検索エンジンとユーザー行動の変化に伴い、SEOも年々変化しています。それはPPCにも言えることであり、最新の情報や正しい考え方を身につけたい思うはずです。一から勉強することも手ですが、PPCチームとのコラボレーションができるのであれば、間違いのない知識が得られるのではないでしょうか。もちろん、SEO側からも提供できる情報はあるはずなので、お互いを活かしながら、より良い関係を築けたらと感じました。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「5 ways to get PPC and SEO working together」を翻訳した内容です。
投稿 PPCとSEOを共存させるための5つの方法 は SEO Japan|アイオイクスのSEO・CV改善・Webサイト集客情報ブログ に最初に表示されました。