検索エンジンの進化は留まることを知らず、次々と新しい技術が導入されています。
しかし、ユーザーにフォーカスし、検索者の意図を理解することの重要性は変化することはありません。
今回の記事は、コンテンツ作成における普遍的かつ基本的な内容の記事となります。SEO戦略の振り返りや、この春SEO担当になった方々にとって、とても参考になる記事ではないでしょうか。
検索エンジンの「そのページが検索者の意図にどの程度合致しているのか?」という判断能力は日々洗練され続けている。この記事では、こうした背景のもと、SEOの戦略をより良いものに仕上げるためのいくつかのヒントを記載したいと思う。
検索は刺激的で、常に変化を続けるマーケティング・チャネルである。
Googleアルゴリズムのアップデート、検索方法のイノベーション(モバイルや音声検索など)、ユーザー行動の進化などが我々をSEOに向かわせている。動きが激しいという性質を持つこの業界においては、変化に対して柔軟な戦略や成功するためには常に学び続ける姿勢が必要とされる。
しかし、常に新しい戦略をまとめ上げることは難しく、先進的な戦術を採用するあまり、基本的なSEOの原則を見落としてしまうこともある。
最近、クライアントからの質問に共通点があることに気が付いた。検索者の意図についての調査も多いため、このタイミングでこのテーマを再度取り上げようと思っている。実際、検索者の意図は非常に複雑であり、複数の科学的な研究(PDF)や調査(PDF)が行われている現状がある。
とはいえ、自社内で研究チームを抱えていない場合、検索者の意図や、それらが与えるSEOへの影響度などを分析することは難しいだろう。
この記事では、我々Page One Power社がクライアントと共に行っているプロセスを紹介したいと思う。SEOのターゲットキーワードの背後にある、検索者の意図をよりよく理解する手助けとなるプロセスだ。
クライアントがターゲットキーワードのリストを我々に提示する際に、我々は常に2つの質問を彼らに尋ねる。
- あなたのサイト・ページはそのキーワードで上位表示されるべき内容か?
- (上位表示された際)それらのキーワードが果たす役割はなにか?
この質問を投げかけることで、我々自身とクライアントが、SEOの戦略のために特定のキーワードやテーマを設定する”以前に”、オーディエンスや検索行動の分析に注視するようになる。
成功するSEO戦略とは、検索者の意図の明確な理解に基づいているのだ。
検索者の意図の種類
検索者の意図とは、特定の検索キーワードの背後にある、”なぜ?”の部分に言及することだ。検索者が達成したいことは何なのであろうか? 検索者の意図は下記の4つに分類することができる。
- インフォメーショナル(Informational):情報収集型
- ナビゲーショナル(Navigational):案内型
- コマーシャル(Commercial):購買型
- トランザクショナル(Transactional):取引型
検索キーワードをこの4つに分類することで、どのような種類のページを検索者が求めているかを、よりよく理解できるようになるだろう。
インフォメーショナル:情報収集型
このタイプのキーワードで検索する場合、検索者は対象やトピックについての情報を得たいと考えている。これは検索において最も定番の検索意図であり、概して検索ボリュームも大きい。
このタイプの検索はマーケティングファネルの上位に位置づけられている。いわゆる”発見”の段階であり、ここではいきなり訪問者が消費者へとコンバート(転換)することは少ない。
彼らの疑問に対し、簡潔にわかりやすく回答しているコンテンツが豊富なページが求められるだろう。そして、検索結果もこの傾向を反映されたものとなっているはずだ。
ナビゲーショナル:案内型
検索者が特定の企業やブランドのサイトに訪問することが決まっているが、たどり着くまでの案内が必要とされる場合の検索である。特定のブランド名(外部記事:The importance of targeting branded searches)、商品名、サービス名などが、具体的なキーワードの例として挙げられる。
検索結果には、トップページ、特定の商品やサービスの専用ページなどが表示されているはずだ。また、特定のブランドに関するニュース記事も含まれるかもしれない。
コマーシャル:購買型
コマーシャルは、インフォメーショナルとトランザクショナルの混ぜ合わせとして存在している。
このタイプの検索は、購買目的の検索が含まれている。検索者は何かを購入しようとしているが、その判断を助けてくれる情報も同時に欲しているのだ。そのため、情報を提供しているページや、特定の商品やサービスのページなどが検索結果に表示されている。
トランザクショナル:取引型
購買に最も関連する検索である。こうした検索には、「価格」や「セール」といった言葉が併用されることが多い。
このタイプの検索結果では、商業的なページ(商品、サービス、定期購読などのページ)が表示される可能性がかなり高い。
ターゲットキーワードを上記4つに分類することで、検索者のニーズをより良く理解することができる。そして、ページの作成や最適化の方法にも影響を及ぼすだろう。
検索者の意図への最適化:自身のページは上位表示に値するのか?
異なる種類の意図があることを理解した上で、検索者の意図への最適化を進めよう。
我々は、クライアントからターゲットキーワードのリストをいただいた際に、「あなたのページはこうしたキーワードによる検索で上位表示されるべきページですか?」と尋ねるようにしている。
また、この質問をすることで、別の重要な質問へとつなげることができる。
- これらのキーワードで検索するユーザーの意図はなにか?
- Googleはそのインテント(意図)は何であると考えているだろうか?
- どのような種類の検索結果を検索者は求めているだろうか?
特定のキーワードやテーマに対して最適化をする前に、検索者の意図への最適化を行う必要がある。
調査を始めるにあたり、まず行うべきことは、検索結果画面を実際に確認することだ。
現状の検索結果画面を分析するだけでも、インテントの理解に対するヒントを得ることができる。検索結果に表示されているページは、ブログ記事だろうか、レビューや「TOP10」リストのようなページだろうか、商品の特設ページだろうか。
ターゲットキーワードの検索結果が、情報の豊富なガイド記事やリソース元となるような記事で占められている場合、商品のページが上位表示される可能性は限りなく低いだろう。
反対に、競合他社の商品ページで占められていた場合は、十分に最適化がされれば、あなたの商品ページが上位表示される可能性も十分にあるだろう。
Googleは検索者の意図に対する回答となるページを上位に表示したいと考えている。そのため、検索者の目的を達成するために、可能な限りのことを自身のページで行う必要があるのだ。オン・ページの最適化(内部SEO)やリンクは非常に重要だ。
しかし、検索者の意図への対応がなければ、上位表示を達成することはできないのである。
検索意図の調査を行うことは、コンテンツ作成の戦略(外部記事:Searcher intent: The secret ingredient behind successful content development)にも影響を与えるだろう。
上位表示されるためには、自身のページを”少なくとも”現状の検索結果に表示されるページと同等のものにする必要がある。もし、現状の検索結果に表示されるほどの質のページが無いのであれば、そうしたページを作成する必要がある。
(機会は少ないだろうが)検索者の意図にうまく答えていない検索結果に出くわす機会(外部記事:How using search opportunities can guide link-building content strategies)もあるだろう。その場合は、検索者の意図に応える適切なページを早急に作成するべきだ。
また、より深い洞察や「リンク設置の意図(外部記事:The Power of Link Intent)」を考慮することも可能だ。「リンク設置の意図」とは、「情報元やリンクを集めるに値する記事作成の機会があるかどうか?」ということだ。検索者の意図を分析することは、SEO施策における別の側面にも影響を与える可能性があるのだ。
自身に対し、既存のページ、またはこれから作成しようとしているページが、「そのキーワードで上位表示されるべきページであるか?」を尋ねてみよう。こうすることで、検索者の意図の特定と最適化への方法が見えてくるはずだ。
検索者の意図への回答:何を達成するものなのか?
我々が頻繁に尋ねるもう1つの質問は、「それらのキーワードが果たす役割はなにか?」である。
単純な回答としては、「より多くのトラフィックを得るため」となるだろう。しかし、実際にそれが意味していることは何なのだろうか?
キーワードに付随する検索者の意図に依るが、トラフィックが導くものは、ブランド認知、権威性の構築、コンバージョンの創出など多岐に渡るだろう。施策における見込みやKPIを設定するときは、こうした検索者の意図も検討しなければならない。
重要なことは、全てのトラフィックがコンバージョンを導く必要があるのではないと理解することだ。バランスの取れたSEO戦略とは、全ての見込み顧客があなたのブランドを発見できるために、マーケティングファネルにおける複数の段階をターゲットとしているのだ。
ブランドの親和性を高めることは、トラフィックを獲得する初期段階において重要となる。ブランド認知が高まることで、CTRが2倍〜3倍になること(外部記事:How to Use Brand Affinity to Dramatically Increase CTR)もあるのだ。検索者の意図に基づき、キーワードやフレーズを分類することは、ターゲットキーワードのギャップの特定と埋め合わせの手助けとなるだろう。
ターゲットとしているキーワードで上位表示された際、自身のビジネスにどのような影響を与えるかを考えよう。そして、それらの影響がマーケティングにおける最終ゴールに結びついているのかも考えよう。こうした作業をすることで、最も成果を生み出す機会(検索結果)を細分化し、注力する力を養うことができるだろう。
検索者の意図の理解とSEO
検索エンジン最適化の作業は、検索者の意図への最適化から始まるべきだ。検索エンジンはこれからも進化し続けるだろうし、ページと検索者の意図との合致をより正確に測定することができるようになるだろう。
また、上位表示されているページが、そのキーワードを使用した検索者の意図に最も答えているページであるか、を判断する力も伸び続けるだろう。
Page One Power社に相談にくるクライアントに対しては、検索者の意図に注力すべきとアドバイスしている。そのために、我々は下記の質問を尋ねている。
- あなたのサイト・ページはそのキーワードで上位表示されるべき内容か?
- (上位表示された際)それらのキーワードが果たす役割はなにか?
この質問を、あなた自身にも尋ねてみてほしい。
ターゲットキーワードにおける検索者の意図に対し、あなたのSEO施策は合致しているのか。今一度確認してみてはいかがだろうか。
SEOの施策においては、特定のキーワードにおける上位表示獲得を目指すことは避けては通れません。「そのために必要な作業や考え方とは何か?」が簡潔にまとめられていました。
また、こうしたSEOの施策が、「マーケティング戦略とうまく結びついているか?」の確認も非常に重要です。捉え方を間違えてしまうとせっかくのSEO施策も失敗と認識されてしまうこともあります。
SEOの施策が失敗と認識される事態を避けるためにも、検索意図への最適化と、マーケティング戦略との結びつきを確認しながら施策を進めていきましょう。