ナイト財団は、”インターネット上の信頼性があり、公な情報”を発見することを目的とした、ナレッジエンジン・プロジェクトに助成金を与える。
*記事内のリンク先は全て英語となっています。
Wikimedia財団はナレッジエンジン・プロジェクトにより、検索の世界に帰ってくるようだ。ナレッジエンジン・プロジェクトはWikipedia.orgを、オンラインの百科事典ではなく、より検索エンジンに近しいものにする試みである。
The Registerが報じたとおり、ナイト財団は$250,000の助成金をWikimedia財団に与えることを認証した。Wikimedia財団はWikipedia(と、その他のwiki)を運営している非営利組織である。この助成金は昨年の9月に認証されており、プロジェクトについての説明も記載されている。
この助成金は、以下の内容に使われる。Wikipediaによるナレッジエンジンをサポートすることで、情報を探し出す新しいモデルを構築するためだ。これは、インターネット上の信頼性があり、公な情報を発見するシステムだ。
我々はGoogleを作るわけではない。
ここでは”インターネット上の公な情報”と言及されているが、Wikipediaが一般的な検索エンジンの作成を計画しているかは定かではない。ナイト財団の昨月のニュースリリースによると、このプロジェクトを、”Wikipediaとその他のWikimediaのプロジェクトにおける、検索とブラウジングの調査”、と説明している。ナレッジエンジンについてのMediaWikiのページには、”我々はGoogleを作るわけではない”、という記載がある。
しかし、該当のページをさらに読み進めると、OpenStreetMapの地図情報や、”潜在的に我々が利用できるデータセット”などのWebコンテンツを、検索結果に表示できる余地があるようだ。”目的は知識の拡大と、テキストベースの検索以上のコンテキストの拡大である。我々は、クエリに基づいた適切な言語を含む、その他のwikiによるプロジェクトからコンテンツを表示させることを出発点としたい。”、という記載がある。
(注:MediaWikiのページでは、このプロジェクトを”ナレッジエンジン”とは呼んでいないことを示唆している。しかし、代替名が一般的になるまで、我々は”ナレッジエンジン”という言葉を用いることにする。)
伝統的な検索エンジンへの依存を減らす目的。
Wikimedia財団はもう1つのGoogleの作成を試みてはいないかもしれない。しかし、ナレッジエンジンの目的は、GoogleやBingなどの伝統的な検索エンジンに影響を与えるだろう。Wikipedia.org(とその他のWikimedia財団のコンテンツ)が、伝統的な検索エンジンで上位に表示されていることはよくある。しかし、ユーザーはWikipedia.orgでコンテンツを閲覧した後、より多くのコンテンツを探すために、再び検索エンジンに戻ってしまう。そうしたコンテンツは、すでにWikipediaにあるにもかかわらず。ナレッジエンジンは、こうしたユーザー行動を変えたいと思っているのだ。
我々が取り組んでいる内容とは、下記のような検索体験ではない、検索体験を提供することだ。
1.GoogleやBingなどで検索する。
2.Wikipediaへのリンクをクリックする。
3.コンテンツを読む。
4.Wikipediaから去り、GoogleやBingに再び戻る。なぜなら、Wikipediaの記事を探しているにもかかわらず、CirrusSearchでは探すことができないからだ。
(注:”CirrusSearch”とはWikipedia内の検索機能の名前である。)
つまり、Wikimedia財団は一般的な検索エンジンを構築するつもりではないかもしれないが、Wikipediaを検索エンジンとし、伝統的な検索エンジンへの依存を減らすことで、結果的にネガティブな影響をGoogleやBingに与えることになるかもしれない。Wikipedia自身のデータによると、検索エンジンからは、1日の内に、2億以上のリファラを獲得しているとのことだ。
Wikipediaの共同創始者であるジミー・ウェールズ氏は、数年前に検索の世界に飛び込もうとしてる。2008年に”Wikia Search”をローンチしたが、14ヶ月後に、そのサービスを閉じている。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Wikimedia Foundation Secures $250,000 Grant For Search Engine Development」を翻訳した内容です。