ディスプレイ広告と検索広告の4つの違い

アドテクの進化で昨年注目が高まったディスプレイ広告の復権ですが、RTB等、検索広告で培われてきた入札型の仕組みもあるせいか、検索広告の延長オプション的に利用しているマーケッターが多いようです。今回は検索広告とディスプレイ広告の違いについて、マーケティング上の位置付けから考え直したみた記事をサーチエンジンランドから。今年ディスプレイ広告に本格的に取り組んでいきたいあなたにはピッタリな内容です。 — SEO Japan

昨年、ディスプレイが検索に似ていると言う誤解を何度も耳にした。SEO業界の関係者なら、誰でも一度や二度は聞いたことがあるはずだ。この(一部においては的を射ている)誤解は1つのファクターが原因となり、発生している。それは、ディスプレイにおいて台頭した、オークションベースのマーケットである。

これから説明していくが、この理由が誤解を招くには幾つか訳があると私は考えている。

ディスプレイはオーディエンス&リーチが全て

広告ターゲティングの増加によって、ディスプレイにおいて、今まで以上にオーディエンスが重要視されるようになった。行動広告および検索リターゲティングは、ブランドがディスプレイ広告を使って、消費者を購入ファネルに動かそうとする、または、動かす取り組みを支援する、ファネルの中間または上部のアクティビティに焦点を絞っている。

一方検索に関しては、広告の精度は高いものの、接触範囲は限られている。キーワードベースの入札 vs 検索アクティビティ、オンラインの行動、心理学等から引き出すオーディエンスをベースとした入札も重要な違いの一つである。

リアルタイムのメディアはダイレクトレスポンスとは異なる

適切な広告を、適切なタイミングで、適切なオーディエンスに提供すると言うコンセプトは、検索およびディスプレイにおいて存在する。しかし、リアルタイム広告のレスポンスは異なる。

検索は、明確に決められたダイレクトレスポンスチャンネルそのものである。ユーザーが検索を行うと、直後に検索クエリに関連する広告が返され、その時点でアクションを起こしてもらうことを期待する。

ディスプレイ、具体的に言うならデータベースのディスプレイ広告においては、オーディエンスの情報に応じて、ディスプレイ広告のターゲティングが行われる。ウェブサイトを訪問したり、詳しい情報を求めたりして、すぐにアクションを起こさなくても、数日後、または数週間後にアクションを起こす可能性がある。

その間、他のディスプレイ広告が表示される。このタイプのリアルタイムのメディアでは、優先順位付け、頻度の制限、そして、検討期間中に消費者に影響を与えることが重要な鍵を握る。

ディスプレイにおいては、最高のタイミングで消費者に接触することが出来るかどうかは、クリエイティブ、メディア、そして、データの最適化の組み合わせに大きく左右される。

ディスプレイ & 検索は異なるメトリクスで計測される

簡潔に言うと、ディスプレイは検索とは異なるため、検索と同じクリックベースのメトリクスで測定するべきではない。検索マーケティングは複雑なトピックであり、厳格な規律が生まれている。キーワードの検索マーケティングは、電話帳の広告にとてもよく似ている。70年代では、会社を探す際は誰もが電話帳を使っていた。

ディスプレイは、クリックほど単純に、そして、容易にメトリクスに頼るタイプの広告ではない。ディスプレイは、マーケッターが利用可能な様々な接点を考慮する場合、最も計測しやすいチャンネルと言っても過言ではない。まず、接触範囲が広い。ディスプレイキャンペーンは、インプレッションをベースに購入が行われ、そして、露出を最大限に拡大することに焦点を絞っている(ターゲットが絞られているかどうかは別として)。

次にエンゲージメントだ。ディスプレイにおいては、クリエイティブにおける機会があり、この点においても、メトリクスを加えることが出来る。一部のディスプレイキャンペーンはサイトのビジター数に注目している – どの広告がサイトのコンバージョン、そして、コンバージョンとROIに貢献しているのかを把握するため。

要するに、ディスプレイに対するメトリクスは広告主によって、そして、キャンペーンによって異なるのだ。そのため、キャンペーンの目標と実際に利用するメトリクスを合わせることが肝要である。

例えば、ある小売業者がある製品の販売を望んでいる場合、1つの広告のみが売り上げに貢献していると言う状況は考えにくい。

検索でのキーワードの購入はキーワードレベルのディスプレイ広告とは異なる

検索リターゲティングは検索ではない。検索リターゲティングのコンセプトは、ディスプレイの戦略である。キーワードの利用においても、違いが見られる。

ディスプレイにおいては、検索履歴を基にターゲットに選んだオーディエンスに応じて、インベントリを購入する。一方の検索では、キーワードに入札する。

基本的な違いを説明しよう。まず、検索広告では、キーワードリストを使って、選択したワードに入札する。ディスプレイの場合、CPMで支払う金額が決まり、当該のワードだけでなく、関連するワードやカテゴリで検索を行ったオーディエンスをターゲットにすることで範囲を拡大する。

次にディスプレイにおいてだが、ディスプレイはファネルの早い時期に消費者に接触することが出来る。なぜなら、検索エンジンだけでなく – 複数の検索の要素全体で検索用語を活用するためだ。ほとんどの場合、検索リターゲティングは、純粋にディスプレイ戦略として利用されるが、検索を拡大するために、検索チームによって活用されることもある。

ディスプレイは、確かに今まで以上に検索のような特徴を持つようになったかもしれないが、基本的に品種が異なる。オーディエンスのリーチ、認識、そして、メトリクスの違いを見れば、この2つのチャンネルに異なる戦略が採用される点は一目瞭然である。

ディスプレイが検索に似ていると言う考えは2012年限りで引退させ、2013年からは様々なチャンネルを連動させる取り組みを取り入れてもらいたい。

この記事の中で述べられている意見はゲストライターの意見であり、必ずしもサーチ・エンジン・ランドを代表しているわけではない。


この記事は、Search Engine Landに掲載された「The Most Common Misconception Of 2012: Display Looks Like Search」を翻訳した内容です。

広告価値も違えばメトリクスも違う、それぞれの良さを理解して活用していきたいですね。記事にもあるようにファネルモデルを適用すれば、それぞれの意義も活用法、効果測定の値も比較的考えやすいかもしれません。目指せ相乗効果で一歩上のウェブマーケティング。 — SEO Japan [G+]

2013年の検索広告をワイルドに予想

2013年の予測シリーズ記事、1月最初に連発した後、少しご無沙汰してしまいました。1月中には紹介しておきたい、ということで今回は検索連動型広告のトレンドや進化に関する予想記事をどうぞ。PPCをやり込んでいるサーチマーケッター向けのかなりマニアックな内容、かつ米国の予想記事ではありますが、日本も多くがいずれそうなる?– SEO Japan

PPC smack-talking birds

Portentのブログで今まで一度も推測記事を投稿したことがないが、「PPCから幾ら稼ぐことが出来るようになるのか」を問われる回数がとても多い。私には占いの才能があるに違いない(ただし、この質問に答えたとしても、カートやアドワーズのアカウントが作ってもらえないことが多い)。

そこで、今回は2013年のPPCの展望を適当に占ってみよう。

エクステンション広告

2013年はエクステンション広告が増えるだろう。

  • 2年間プラスベータ期間を経て、ついにグーグルはコンタクトフォームのエクステンションを公開した。

  • 地図広告。ルート用のフィールド/ボタン付きのモバイル広告限定のエクステンションが、現在地を基にグーグルマップのナビゲーションを計算する。現在、グーグルマップは自然のリスティングで「ルート」ボタンを提供しているが、フランチャイズを展開し、顧客を増やしたい場合はどうすればいいのだろうか?あるいは、「best sushi Seatle」で検索を行ったユーザーに対して、結果ページでイェルプを出し抜きたいなら、1つ目の結果(広告)をクリックしてもらい、自分のサイトにアクセスさせる方が無難なのではないだろうか?

  • 営業時間エクステンション広告。現在、ロケーション広告では、営業する時間/日を入力することが出来る(あるいはグーグルローカルからデータを抽出する)。このエクステンションは、今後、営業時間内はテキスト「open now」(ただ今営業中)を表示し、店が閉まっている間は、営業時間/日を表示するようになるのではないだろうか(グーグルローカルは営業時間を正確に把握していることもあれば、間違えていることもある。休暇シーズンに営業時間を変更し、グーグルローカルがその情報を把握するまで待ちたくない場合はどうすればいいのだろうか?)
  • ユニバーサルアナリティクスが展開されているため、クーポンエクステンションがあったら、最高だと私は思う。広告をクリックするとクーポンコードやバーコードが生成され、プリントアウトして、店に持っていく。店でコンバージョンの数、量、そして、クーポンが使われる頻度を計測することが出来る。
  • さらに一歩進み、携帯電話に結びつけてみよう。モバイル広告クーポンをクリックすると、電話のアプリに読み込まれ、レジで利用することが出来る。モバイルアプリのエクステンション広告と組み合わせることも可能だ。

グーグルショッピング

皆さんの考えを聞かせてもらいたい。

  • CSEで進むこのアービトラージに対して、または、自分自身と競争してCPCを上げている人達に対して、誰かが訴えを起こすだろう。(ヒント: フィードを管理するためにShopping.comを利用するなら – 無理をしてヒーローになる必要はなく、また、アドワーズでも実施するべきである。グーグルが何を言おうが、現時点では、クリックの価格を自分自身、または自分のアフィリエイトに対して上げようとしている行為を特定することが出来るほど、グーグルのシステムが高度だとは私には思えない)。
  • 製品リスティング広告には、ショップがグーグルウォレットの利用を認めている場合、google.comのSERPでグーグルウォレットのロゴが表示されるようになるだろう。

  • グーグル版のMagento(マジェント)アプリ推測と言うよりも願望) グーグルにお願いがある ? マジェントコミュニティに属するサイトのために、必要な属性を生成させ、ユーザーに独自の属性(ラベル、グループ)を容易に編集することが可能な無料のアプリを作ってもらいたい。グーグルの新たな収益源になるはずだ。
  • Volusionやワードプレス等のメジャーなショッピングカートが再び登場する。障害を取り払えば、必ずこの手のプラットフォームは台頭するだろう(サポートにおいて混乱が生じる可能性があることは理解しているが、グーグルローカルで現在実施しているフォーラム/無視するプロセスを続けることも出来る。最高の解決策ではないが、何もしないよりはましである)。
  • アドワーズのアカウントと同じようにグーグルマーチャントのアカウントにリンクさせる機能。アドワーズ内のマーチャントセンターを見る限り、必要なテクノロジーをグーグルが持っていることは分かっている。あとはエクスポートさせてもらうだけだ…。
  • 1つの製品を検索するか、1度に1つの製品を掘り下げていく現在の手法の代わりに、製品レベルのデータをマーチャントセンターからエクスポートする機能。
  • google.comの結果 vs. google.shopping.comの結果のトラフィックを比較する機能(100%実現しない)。少なくとも、google.comで6つのページまたは8つのページが表示される確率 vs. google.shopping.comのページでその他の多くの結果に掻き消される確率を教えてもらえないだろうか?

グーグル

グーグルの従業員達は必死に働いている。

  • DSA(動的検索広告)はこの世を去る。ウェーブのように苦しみながら。
  • アドワーズで、タブレベルで異なるコンバージョンをフィルタリングすることが可能になり、サインアップのコンバージョン vs. セールスを見るためにコンバージョンのタブにアクセスする必要はなくなる。異なる「バリュー」を割り当てることも可能だが、キーワードタブで個別のキーワードを見ている際に、その場で5つの“コンバージョン”うちに幾つが購入で、幾つが無料のトライアルだったのか知りたくなるはずだ。
  • モバイルのアカウント。間もなく、モバイル専用のアカウントを設定し、必要なデフォルトの設定を維持し、尚且つダブルサービング(複数のアカウントで同じまたは同様のビジネスの広告を表示する行為)の警告を受けることを心配せずに、トラフィックを今までよりも遥かに容易に分割することが出来るようになるだろう。共有予算のおかげで更に使いやすくなるだろう(一部の人達は、既に難しい方法でこの作業を実施している)。
  • グーグルがこのプログラムを運営するために採用した第三者の企業があまりにも貪欲であるため、広告主がコストを蓄積し、悪魔のような借金取り立て人に追われる現象が起きている、アドワーズのビジネスクレジットの核心に迫るドキュメンタリー番組が作成されるだろう。

ビングの広告

  • ビング広告はようやく製品エクステンション広告を公開するだろう。あの「グーグルに騙されるな」キャンペーンを展開した後であり、これが限界だろう。
  • エージェンシーを招待する機能は期待通りの効果を上げるだろう。確実に。
  • キーワードリサーチツールは拡大し、ビングで、1人しか検索していないキーワードにさらに入札することが出来るようになるだろう。
  • ビングショッピング広告、「プレミアム」の位置に「無料」のリスティングを掲載。ビングは結果を完全に収益化する行為は避けるものの、すべて無料にする気もない。
  • RAIS(検索内リッチ広告)がUIデビューを飾る。エクセルのテンプレートをアップロードする必要があるが、設定するために繰り返す必要はなくなる。

  • トラベル広告。フェアキャスターがビング広告に統合される。ビングがスポンサーとなり、このツールの利用を呼び掛け、ユーザーに広告内から“価格予測”を始めさせる。

フェイスブック広告

再び資金集めに奔走したくないなら、広告をどうにかする必要がある。

  • フェイスブックは重い腰を上げて本格的に広告に取り掛かり、アドワーズのマイクライアントセンターやビングのエージェンシーアクセスのようなマルチアカウントの共有プラットフォームを作成するだろう。
  • パワーエディターはマルチアカウントで全てのアカウントに公開されるだろう。
  • キャンペーンレベルで時間/曜日ごとに広告スケジュールを決めることが出来るようになるだろう。
  • フェイスブックの広告認証プログラムがベータでリリースされるだろう。 無料で始められ、規模は小さく、シンプルではるものの、バッジを獲得しやすいプログラムになるだろう。出来ればもっと適当な名前を与えてもらいたい。例えば、「フェイスブックのスーパーフレンド」とか。

以上。推測に力を入れ過ぎた結果、誤った方向に進んでしまった気がする。コメント欄で皆さんの予測を聞かせてもらいたい。そして、今年の年末に推測を振り返って、一緒に大笑いしようではないか。

*注記 – 現在、私はアルファ、データ、ユーザー調査、フォーカスグループに参加していない。今年、メジャーな検索エンジンに対する情報を最も得たのは(このブログで不満をもらす行為を除き)、MS Usabilityの調査であり、この中で5時間半に及ぶビング広告の試験動画をテキストに起こすよう要請した。


この記事は、Portentに掲載された「PPC Predictions for 2013: Why Not?」を翻訳した内容です。

普段、検索広告に取り組んでいない私が読むと、かなりの項目が「そもそもそんなものがあったのか!」という驚きで読めてしまった記事ですが、検索広告に普段から取り組んでいるサーチマーケッターの方であれば、面白く読めた記事だったのではないでしょうか?全体的にはまだまだGoogleが一歩も二歩も先を行っている印象へ受けましたが、もちろんBingやFacebookも巻き返しを狙っているのでしょうし、さて今年の検索業界、どのように進化していくのでしょうか。– SEO Japan [G+]