インドのフードデリバリーZomatoが約263億円調達し企業価値約5672億円に、2021年前半にIPO予定

2カ月前に6億6000万ドル(約693億3000万円)のシリーズJラウンドを終えたばかりのZomato(ゾマト)が2億5000万ドル(約262億6000万円)を調達した。インドのフードデリバリースタートアップは、2021年中のIPOに備えて軍資金を蓄えている。

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Kora(1億1500万ドル、約120億8000万円出資)、Fidelity(5500万ドル、約57億8000万円出資)、Tiger Global(5000万ドル、約52億5000万円出資)、Bow Wave(2000万ドル、約21億円出資)、およびDragoneer(1000万ドル、約10億5000万円出資)が、創立12年のインド、グルーガオン拠点のスタートアップに資金を投入した。Zomatoの上場済み投資家であるInfo Edge(インフォ・エッジ)が地元証券取引所に提出した書類でわかった。この投資によってZomatoの投資後企業価値は2020年12月の39億ドル(約4096億1000万円)から54億ドル(約5671億5000万円)に増えた、とZomatoの18.4%を保有するInfo Edgeは述べている。

新たな出資は、2020年資金調達に苦労したZomatoに対する投資家の信頼を強化するだろう。Zomatoは2020年初めにUberのインド国内フードデリバリー事業を買収し、Prosus Venturesが支援するSwiggy(企業価値36億ドル、約3781億4000万円)とインド国内で競っている。2社合わせて44万以上のデリバリーパートナーを擁し、この数字は同国の郵政機関であるインディア・ポストが雇用している従業員よりも多い。

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三番手のAmazon(アマゾン)も2020年フードデリバリー市場に参入したが、営業地域はバンガロールの一部に限られている。

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Bernsteinのアナリストがクライアント向けに書いたレポートによると、インドのフードデリバリー市場は2022年には規模が120億ドル(約1兆2630億円)に急増すると言われている。約50%の市場シェアを持つZomatoは現在3社の中でリードを保っている、とBernsteinのアナリストは述べている。

「インドのフードテック業界はユニットエコノミクスの回復とともに持続可能に成長する好位置にいます。インドのテイクレート(受託販売手数料率)は20~25%という最高水準にあり、消費者人気も高まっています。この市場はZomatoとSwiggyが合計80%以上を占める複占状態です」とBank of Americaのアナリストが最近の記事に書いていた。

ZomatoとSwiggyはここ数年年財務状態が改善しており、フードデリバリー市場で利益を上げることが難しいと言われているインドでは、ことさら魅力的だ。配達商品価格の平均が33ドル(約3470円)の米国をはじめとする欧米諸国と異なり、インドでは同じような商品が3~4ドル(約320〜420円)で販売されている。

どちらの会社も2020年新型コロナウイルスパンデミックの影響を受け、何百もの人員を削減した。ZomatoのファウンダーでCEOのDeepinder Goyal(ディープンダー・ゴヤル)氏は2020年12月に、フードデリバリー市場は「新型コロナの影響から急速に這い上がろうとしています」と語った。

「2020年12月は当社史上最大GMV(流通取引総額)の月になります。現在私たちは前回のピークだった2020年2月より25%近く高いGMVを達成しています。これから起きること、お客様とデリバリーパートナー、レストラン・パートナーのために私たちが与える影響のことを思いワクワクしています」と彼はいう。

2020年9月に送った従業員宛メールでゴヤル氏は、「Zomatoは2021年『前半のどこか』でIPOを実施する予定であり、『将来のM&Aや我が社のさまざまな分野におけるライバルからの攻撃や価格戦争』に備える軍資金を蓄えるために資金調達を行っている」と語っていた。

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook

インドのTata Groupが食料品宅配BigBasketの過半数株式を取得に合意、アリババは撤退か

インドのコングロマリットであるTata Group(タタ・グループ)は、食料品宅配のスタートアップBigBasketの過半数株式を取得することで合意に達したと、この件に詳しい2つの情報筋がTechCrunchに語った。

塩からソフトウェアまで幅広く手がける同グループは、インドのスタートアップであるBigBasketを18億ドル(約1908億円)から20億ドル(約2120億円)の間で評価する取引で、株式の60%以上を購入する、と取引はまだ非公開であるため匿名を要求した情報筋は語った。BigBasketはTata Groupとの取引に先立ち、7億5000万ドル(約795億円)以上の資金調達を行っている。

BigBasketの30%近くの株式を所有している中国のインターネット大手Alibaba(アリババ)と他の一握りの投資家は、Tata Groupとの取引の一環として、同スタートアップからほぼ完全に撤退する、と情報筋は述べている。インド政府は昨年、中国の投資家がインド企業に投資することを困難にする規制を導入した

1つの情報筋が明かした取引条件によると、BigBasketは早ければ来年までに上場を目指すという。BigBasketの共同創業者2人とTata Groupからは、コメントを求めたが得られなかった。

インドのニュースネットワークET Nowは現地時間2月16日に、2つの企業が事前交渉を行っていると報じたが、その兆しは2四半期前から地元メディアが報じ始めていた。

この動きは、2019年に1130億ドル(約12兆円)の収益を報告し、ジャガーランドローバーや紅茶メーカーのTetley(テトリー)などいくつかの人気ブランドを運営する、ムンバイに本社を置くTata Groupが、より多くの消費者向け事業に進出しようとしており、世界第2位のインターネット市場で、いわゆるスーパーアプリの開発に取り組んでいる中でのことだ。

バンガロールに本社を置くBigBasketは、ソフトバンクが出資するGrofersReliance Industries(リライアンス・インダストリーズ)のJioMartと競合している。同社はインドの25都市で事業を展開しており、プラットフォーム上での売上が急上昇したことで、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まって数ヶ月後に黒字化した。近年、BigBasketはアイテムの自社ラベルを拡大しており、これが利益率の改善に役立っている。

BigBasketとGrofersのユーザーベースは昨年、80%も急増したとCitibank(シティバンク)のアナリストは最近推定している。インドの最も裕福な実業家Mukesh Ambani(ムケシュ・アンバニ)氏が経営するJioMartが、すでに強力なライバルとして台頭し始めているとも。

Bank of America(バンク・オブ・アメリカ)のアナリストは、クライアントへの最近のレポートの中で、オンライン食料品配達市場は2023年までにインドで120億ドル(約1兆2720億円)の価値が出る可能性があると推定している。

「BigBasket/Grofersのような大規模な垂直セクターや、横並びのAmazon/Flipkartのような競争が激しくなり、組織化されていない市場を組織化されたものに変換しようとしています。最近まで、この分野のNo.1プレーヤーはBigBasketで、年商10億ドル(約1060億円)のGMVを達成し、毎日30万件以上の注文を販売していました。Reliance Industriesは、2020年5月に200都市でJioMartアプリを立ち上げ、この競争に名乗りを上げました」と彼らは書いている。

昨年、インド最大級の工業企業であるReliance Industriesがeコマースに進出したことで、Tata Groupはデジタルへの取り組みを加速させたのかもしれない。アンバニ氏は昨年、Facebook(フェイスブック)やGoogle(グーグル)などの著名な投資家から、通信・小売事業を展開するJio PlatformsとReliance Retailのために260億ドル(約2兆7570億円)以上の資金を調達した

Tata Groupは、早くも2016年には複数の消費者向けデジタルサービスへの拡大に取り組んでいたが、役員会でのクーデターにより、これらの計画はすべて後回しにされたとThe Information誌は2020年12月に報じていた。

関連記事:ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

カテゴリー:フードテック
タグ:インド フードデリバリー

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(文:Manish Singh、翻訳:Nakazato)

ローカル配送のgoPuffが同業の英Fancy買収に向け協議中

独自の「マイクロフルフィルメント」ネットワークを運営し、市販薬、ベビーフード、アルコールなどを30分以内に届けることを約束している米国のスタートアップGoPuffが、英国のFancy Deliveryの買収に向けて交渉をしていることがTechCrunchにより明らかになった。

情報筋によると、買収の条件はまだ具体化されておらず、また買収自体もまだ実現していないという。しかし、早ければ数週間以内に発表があるかもしれない。GoPuffはコメントを拒否しており、Fancyの創業者も情報を明かしていない。

2020年末にローンチしたFancyは現在、英国の4都市で事業を展開しており、シリコンバレーのアクセラレーターY Combinatorの卒業生でもある。その事業モデルは潜在的な買い手と驚くほどよく似ており、小さなgooPuffと表現する人もいる。この2社は完全に垂直統合されており、それぞれが独自のドライバーと契約し、オンライン注文やハイパーローカル配送に特化して設計されたマイクロフィルメントセンター(「ダークストア」と呼ばれることもある)を運営している。

戦略的にはFancyの買収は相性が良さそうで、注目すべきはgoPuffがゼロから始めるのではなく、新興のローカルプレイヤーを買収することで英国に進出しようとしていることを示している点だ。情報筋によると、FancyはFancyブランドとして運営を継続し、goPuffは雇用やフルフィルメントセンターの追加開設など、成長のための投資を行う意向があるという。またある情報筋はTechCrunchに、今回の買収はすべて株式取引で行われるだろうと伝えている。

GoPuffは最近39億ドル(約4110億円)の評価を受け、これまでに13億5000万ドル(約1420億円)の資金を調達している(支援企業にはAccel、D 1 Capital Partners、Luxor Capital、SoftBank Vision Fundなどが含まれる)。同社はすでに米国の500都市で事業を展開しており、最近ではアルコール関連のBevMoを買収した。

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一方、ヨーロッパではgoPuffの垂直統合モデルにインスパイアされたスタートアップが続々と誕生している。ベルリンのGorillas、ロンドンのDijaとWeezy、フランスのCajooなどだが、これらはいずれも生鮮食品や食料品に重点を置いていると主張しており、利益率が厳しいのは間違いない。またステルス状態にあるが、より利益率の高いコンビニエンスストアの提供に力を入れているZappのようなスタートアップもある。

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タグ:goPuffFancy買収フードデリバリー

画像クレジット:Fancy Delivery

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(文:Steve O’Hear、翻訳:塚本直樹 / Twitter)

地産食料品宅配のGood Eggsが約106億ドルの資金を調達、南カリフォルニアでの開業計画も発表

食料品宅配スタートアップのGood Eggs(グッドエッグズ)が、新たに1億ドル(約106億ドル)の資金調達を行い、2021年夏か秋に南カリフォルニアでの事業開始を計画していると発表した。

Good Eggsのことをよく知る読者なら、この話の一部はすでに耳にしたことがあるかもしれない。このスタートアップは2018年、前回の資金調達ラウンドで5000万ドル(約52億8000万円)を調達した際、Bentley Hall(ベントレー・ホール)CEOが地理的拡大の計画についても言及していたからだ。

だが、Good Eggsはサンフランシスコのベイエリアに集中しながらも、成長の機会を十分に見出してきたように思われる。同社によると、過去1年間で収益は9桁(100億円以上)に伸び、従業員数は400人を超え、顧客ベースはほぼ倍増したという。

ホール氏はまた、2020年3月に自宅待避命令が発動する数日前、同社がオークランドにより大きな新しい倉庫をオープンしたことにも言及している。チームは新しい倉庫を運営し、食料品配達の需要の増加に対応しながら、その過程で労働者の安全を確保するのに多忙を極めた。

画像クレジット:Good Eggs

食料品の宅配市場はますます競争が激しくなっているが、Good Eggsは商品の品質と幅広さで際立っているとホール氏は主張する。同社の商品の70%は地産食材であり、大抵は収穫後48時間以内に配達される。

「食料品、ミールキット、料理やお酒を提供する業者はたくさんあります。私たちは特定の基準に基づき調達したそのすべてをお届けしています」と、ホール氏は語る。その結果、Good Eggsはその消費者の多くにとって、家庭における食品購入の65%から85%を占める「プライマリーソース」となっている。

2015年にロサンゼルス、ニューヨーク、ニューオーリンズでの事業を停止し、その後すぐにホール氏がCEOに就任してから、同社にとって好転の兆しが現れていることも注目に値するだろう。ホール氏は、新しい市場への進出を急いでいるわけではないようだ。

「私は(南カリフォルニアを)1つの大きな地域としてではなく、いくつかの小地域の集まりとして考えています」と、ホール氏はいう。「LA地域、サンディエゴ北部、オレンジ郡などがあり、これらの地域を合計すると、ベイエリアの2~3つ分の規模になります。これは当社にとって、アドレス可能な市場が大幅に拡大することになります」。

画像クレジット:Good Eggs

今回の新たな資金調達は、Glade Brook Capital Partners(グレイド・ブルーク・キャピタル・パートナーズ)が主導しGV、Tao Invest(タオ・インベスト)、Finistere Ventures(フィニスター・ベンチャーズ)、Rich’s(リッチズ)のほか、以前からの投資家であるBenchmark Partners(ベンチマーク・パートナーズ)、Index Ventures(インデックス・ベンチャーズ)、S2G、DNS Capital(DNSキャピタル)、Obvious Ventures(オブヴィアス・ベンチャーズ)も参加。Glade BrookのJ.P. Van Arsdale(J.P.ヴァン・アルスデール)氏は同社の取締役会に加わっている。

「食料品市場では根本的な変化が進行しており、電子商取引やより高品質な商品とサービスへのシフトが加速しています」と、ヴァン・アルスデール氏は声明の中で述べている。「Good Eggsは、強力なユニットエコノミクスで急速な成長を遂げており、カテゴリーを定義するリーダーとなるための絶好の位置にいます。今後の成長と拡大に向けて、彼らのチームとパートナーを組めることに興奮しています」。

今回調達した資金によって、Good Eggsは地理的な拡大のみならず、新商品の追加を続け、eコマース体験を向上させる方法を見つけることができるようになると、ホール氏は述べている。

Good Eggsは今回の資金調達に加えて、Vineet Mehra(ヴィニート・メーラ)氏を最高成長顧客体験責任者として採用したことも発表した。メーラ氏は、Walgreens Boots Alliance(ウォルグリーン・ブーツ・アライアンス)で最高マーケティング責任者兼最高顧客責任者だった人物で、それ以前にはAncestry(アンセストリー)でエグゼクティブバイスプレジデント兼グローバル最高マーケティング&収益責任者を務めていた。

カテゴリー:フードテック
タグ:Good Eggs資金調達食材宅配

画像クレジット:Good Eggs

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hirokazu Kusakabe)