Apple TV+が「コーダ あいのうた」でストリーミングサービスとして初めてアカデミー作品賞を受賞

Apple TV+がNetflix(ネットフリックス)を抑え、前者の「CODA(コーダ あいのうた)」がアカデミー賞授賞式で作品賞を受賞し、ストリーミングサービスとして初の快挙を成し遂げた。

さらに「CODA」で主人公の父親役を演じたTroy Kotsur(トロイ・コッツアー)氏が助演男優賞を受賞し、男性ろう者の俳優としては初、ろう者の俳優としては「CODA」の共演者であるMarlee Matlin(マーリー・マトリン)氏の1986年の「Children of a Lesser God(愛は静けさの中に)」での受賞以来、2人目となった。脚本・監督のSian Heder(シアン・ヘダー)氏は脚色賞を受賞した。

これら3部門でのアカデミー賞は、2019年末にサービスを開始したApple TV+にとって初の受賞となる。

Wall Street Journalの報道によると、Apple(アップル)は、Child of Deaf Adult/s(CODA、映画のタイトルの由来となった、きこえない・きこえにくい親をもつきこえる子どもを指す概念)であるEmilia Jones(エミリア・ジョーンズ)氏が演じるRuby(ルビー)が、家業の漁業に加わる予定だったが、音楽の道に引き込まれていくというストーリーを描く「CODA」のオスカーキャンペーンに推定1000万ドル(約12億3600万円)を費やしたという。

Appleは、Apple TV+で現在ストリーミング配信されている「CODA」の配信権に2500万ドル(約30億8900万円)を支払い、同作は劇場でも限定公開された。同部門の他の候補には、Netflixの「The Power of the Dog(パワー・オブ・ザ・ドッグ)」が含まれていた。Netflixは過去数年の間、Martin Scorsese(マーティン・スコセッシ)監督の「The Irishman(アイリッシュマン)」やAlfonso Cuarón(アルフォンソ・キュアロン)監督の「Roma(ROMA/ローマ)」などで、いくつかの作品賞にノミネートされてきた。

Netflixはこれまでアカデミー賞の最高賞を獲得することはできなかったものの、監督賞(「ROMA/ローマ」のキュアロン監督「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のJane Campion / ジェーン・カンピオン監督)、助演女優賞(「Marriage Story / マリッジ・ストーリー」のLaura Dern / ローラ・ダーン氏)、外国語映画賞(「ROMA/ローマ」)、短編アニメ賞(「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」)など、合計116回ノミネートされ15部門で受賞した実績を持っている。

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(文:Catherine Shu、翻訳:Den Nakano)

Netflixオリジナル作品が第93回アカデミー賞で7部門を受賞

非常に奇妙な第93回アカデミー賞授賞式ですべてが締めくくられ、終わってみるとNetflix(ネットフリックス)がリリースしたオリジナル作品が7つのオスカー像を獲得していた。

同ストリーミングサービスの受賞内容は「Mank(マンク)」が2部門(美術賞と撮影賞)「Ma Rainey’s Black Bottom(マ・レイニーのブラックボトム)」が2部門(メイクアップ&ヘアスタイリング賞、衣装デザイン賞)「My Octopus Teacher(オクトパスの神秘:海の賢者は語る)」の長編ドキュメンタリー賞「If Anything Happens I Love You(愛してるって言っておくね)」の短編アニメ賞、そして「Two Distant Strangers(隔たる世界の2人)」の短編映画賞となった。

一方、Amazon(アマゾン)の「Sound of Metal(サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~)」は音響賞と編集賞を受賞し、Facebook(フェイスブック)のOculus StudiosとEA傘下のRespawn Entertainmentは、共同制作した「Colette(コレット)」により短編ドキュメンタリー部門で初のオスカーを獲得した。

この年はパンデミックにより映画館が閉鎖または収容人数を減らして運営しており、映画芸術科学アカデミーは授賞式の延期や受賞資格の変更を余儀なくされた。また、劇場公開作品とストリーミング作品の区別も実質的になくなった。例えばSearchlight Pictures(サーチライト・ピクチャーズ)は、作品賞を受賞した「Nomadland(ノマドランド)」を劇場とHulu(フールー)で同時公開した。

Netflixは合計36部門にノミネートされ、最も多くノミネートを受けたスタジオとなり、中でも「マンク」が最多部門のノミネートを獲得した作品となった。また、同社の7部門での受賞は、2020年の2つの受賞から大きく前進している。

前評判でも「ノマドランド」が作品賞の最有力候補と見られていたが、それでも、Netflixの経営陣には落胆する理由があった。ほとんど前例のないことだが、式典の夜の最後の賞は作品賞ではなく「マ・レイニーのブラックボトム」での演技が評価された故Chadwick Boseman(チャドウィック・ボーズマン)の受賞が広く予想されていた主演男優賞だったのだ。そのため、(出席していなかった)Anthony Hopkins(アンソニー・ホプキンス)が「The Father(ファーザー)」で受賞したときには、かなりがっかりくる夜の終わりとなった。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Netflixアカデミー賞動画配信

画像クレジット:Gisele Schmidt / Netflix

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)