米国のガソリンスタンドでAmzon Alexaによる音声決済が可能に

1月にAmazon(アマゾン)は、ガソリンスタンドでAlexaのユーザーが、Echo AutoなどのAlexa対応モビリティデバイスを使って、音声コマンドで代金を決済できる機能を発表した。同社によると米国時間9月1日、その機能が全米1万1500カ所のExxon(エクソン)とMobil(モービルのスタンドで使えるようになったと発表した。決済処理を開始するには、顧客がまず「Alexa, pay for gas」(Alexa、ガソリンの代金を払って)と言う。

アマゾンはFiservとチームを組んで、給油機の起動から、決済の安全を守るためのトークンの生成までを自動化した。ただし、取引そのものはAmazon Payが処理する。そして顧客のAmazonアカウントに保存されているのと同じ決済情報が使われる。

立ち上げに際して同社は、この機能はEcho AutoなどのAlexaデバイスで使えるようになるが、ほかにAlexa対応の車や、iOSやAndroidのAlexaアプリでも利用可能だという。

前述のように「Alexa, pay for gas」でこの機能は起動するが、そのときAlexaはガソリンスタンドの場所や給油機の番号を確認してから給油機を起動する。

この機能は、給油機に決済カードを挿入するだけのやり方に比べて早くはないし、容易でもないかもしれない。しかし、状況によっては便利だろう。給油機を認証しているときユーザーは社内にいられるから、寒いときは助かる。ガソリンスタンドで一人で給油するのが不安な女性などにも歓迎されるだろう。夜や知らない町ではなおさらだ。今の新型コロナウイルスの感染蔓延のご時世には、給油機の向こう側にいるお客と十分な時間ソーシャルディスタンスを保てるし、給油機を操作する時間も短い。

ただし残念ながら、給油そのものはAlexaがやってくれない。自分でやるしかない。

画像クレジット: Amazon

[原文へ]
(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

AndroidのGmailアプリでお金のやりとりができるようになった

Google Walletは、2013年以来ウェブ上でGmailに統合されていた、そして今日(米国時間14日)Googleはモバイル上での新しい統合を展開し始めた。AndroidのGmailアプリの利用者は、今日から誰に対しても、1タップで送金したりお金を請求して受け取ったりすることができるようになった(相手がGmaiアドレスを持っていなくとも構わない)。

Googleはその発表の中で、ユーザー体験は、お金の交換がファイル添付と同様に手軽に行えるようにデザインされている、と説明している。新しい機能にアクセスするには、添付ファイルアイコン(ペーパークリップ)をタップして、必要に応じて送金あるいは請求を選択する。金額を入力するウィンドウがポップアップし、さらにメモを追加して送信することができる。

すべての処理がGmailアプリの中で行われるので、Google Walletをインストールしている必要はない。そして受け取る側は、Gmailを介してお金が直接銀行口座に振り込まれるように設定をすることができる。Googleによれば、手数料は発生しない。

その目的は、ただGmailのアプリ内でお金を移動するための機能を提供することで、PayPal、Venmo、あるいはSquare Cashのような即時支払アプリを実現することのように見える。これは、お金に関する話題が既に電子メールの話題として出ているときには、便利な機能だろう。たとえば友人たちとの旅行を計画しているときや、両親へのプレゼントとして家族旅行を行う場合などだ。

しかし、夕食の支払いを割り勘にしたり、飲み代を友人に返したりする場合などの用途にGmailを利用するだろうかと考えると、少々戸惑う。

こうした1度きりのユースケースでは、ほんの数ドルを友人に返すために混み合った受信箱を開くのでなく、独立した支払いアプリでより簡単に扱うことができるからだ。

いずれにせよ、コミュニケーションアプリの中に、お金の交換機能を入れようとしているのはGoogleだけではない。少し例を挙げるだけでも、SnapchatはSnapcash経由で友人に支払いを行う機能を提供しているし、FaceboolはMessengerを介した似たような機能を持っている。また米国外に目を向ければ、WeChatがモバイル決済の巨人になりつつある。またいくつかのケースで、メッセージングプラットフォームは、たとえばMessengerにおけるPayPal、Stripe、そしてTransferWiseなどのような、第3者による支払いボットも提供している。

Gmail自身は、メッセージングアプリではないが、その電子メールアプリは市場で最も人気のあるものの1つである。Gmailのユーザーベースを考えれば、今やYahoo、Microsoft、AOL、その他は存在が霞みつつある。

興味深いのは、2013年には導入されていたこの機能がモバイルにやってくるまでに、これほど長い時間がかかったということだ。しかも開始に際してはAndroidしかサポートされていない。このことはGmailの送金機能がそれほど重要視されていなかった可能性を示している。あるいはモバイルに対するユーザーの要求が高まってきたのかも知れない。

Googleによれば、このお金交換機能は現在米国内のみで、ウェブならびにAndroidに対して提供されている。

[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)

Stripeが日本で正式ローンチ、三井住友カードが資本参加を発表

japan-flag

アプリやオンラインのショッピングサイトに数行のコードを加えるだけでオンライン決済機能を導入できるStripeが、アジアに攻勢をかけている。2週間前のシンガポールでのローンチを皮切りに、Stripeがついに日本でも正式にローンチする。それに併せ、同社への新しい出資者も発表された。日本国内最大のクレジットカード会社、三井住友カード株式会社がStripeに資本参加するのだ。

三井住友カードからの出資金額は非公開ではあるものの、今回の出資は戦略的な意義を持つ。2015年5月に日本でベータ版公開して以来、Stripeと三井住友カードはパートナーであり続けてきた。

日本で初めてVisaとパートナーシップを結んだという経歴をもつ三井住友カードは(VisaはStripeの出資者でもある)、Stripeの正式版の発表を全面的にバックアップしている。三井住友カードの協力により、日本のStripeではマルチカレンシー対応が実現したのだ。これにより、日本の事業者が自社の製品を世界130ヵ国の通貨で販売することが可能となった。日本円での販売のみに制限されている現行のバージョンを考えれば、これは大きな進歩だと言えるだろう。

(単純な計算による推測ではあるが、今回の出資金額は少なくとも1000万ドル規模であり、前回のラウンド以降、継続的に出資が行われていたと考えられる。Crunchbaseに掲載されているStripeの合計調達金額は2億9000万ドルであり、Stripeが今回のローンチに併せて発表したプレスリリースには「これまでで合計約3億ドルを調達」したとある。同社のバリュエーションは50億ドルで、この数字は2015年7月に行われた前回の資金調達時と変わらない)

これまでのベータ版を公開してきたこともあり、Stripeは正式ローンチに先駆けて日本でも相当数の顧客をすでに獲得している。全日本航空、Eコマース・プラットフォームのBUYMA、イベントアプリのPeatix、SumartHRなどがその例だ。Stripeの発表によれば、世界全体の顧客数は10万社にものぼり、マーケットプレイスのGoFundMe、オンデマンドのモバイルファースト・ビジネスであるLyftやInstacartなどもStripeの顧客企業だ。

Stripeの料金体系は1回の取引につき3.6%の手数料報酬型だ。この手数料率は他の国とほぼ変わらない。API自体は無料で提供されている。

慎重に動き、築き上げる

今回の日本への進出により、Stripeは世界25ヵ国でビジネスを展開することになる。また、日本でのローンチ発表の翌日には、同社にとって26ヵ国目となるスペインでのローンチも発表されている。Stripeはすでにグローバル企業ではあるが、今回発表された日本進出はいくつかの点において重要な意味をもつ。その一つに、Stripeにとって日本市場は攻略すべき巨大市場だという理由がある。(中国に次いで)アジア第2の市場規模を持ち、GDPの規模という点で考えても日本は世界有数の巨大市場だ。

すでに日本市場には楽天PayPalなど、オンライン決済事業を手掛ける企業が数多く存在している(楽天はStripeの競合企業の一つであるWePayにも出資している)。しかし、マルチカレンシー対応のオンライン決済機能(日本円だけではなく130ヵ国以上の通貨で取引が可能)はStripeが日本初だと同社は話している。

従来では、日本企業が日本円以外の通貨を取り扱う場合には個別の銀行口座や事業体を組織する必要があった。その理由の一つとして、日本でのStripeのビジネスを指揮するDaniel Hehhernanは
「日本の金融インフラは他国とはまったくの別物であり、そのことが日本企業のグローバル展開を難しくさせています」と話している。

「この数十年間、日本はテクノロジー発展の中心地として機能してきました。しかし、世界全体の経済にまでビジネスを展開させられたのは、ほんの一握りの企業だけでした」とStripeの共同創業者兼CEOのPatrick Collisonは語る。「Stripeが目指すのは、日本企業がもつクリエイティビティと野心を世界に送り出す手助けをすることなのです」。

Stripeの新サービスでは詐欺防止機能が加わるなど、セキュリティが強化されている。また、その他の国での例と同じく、ベーシックなオンライン決済機能だけでなく、より大きな金融エコシステムを構築することで利益率を高める方針だ。

その例として、会計サービス、請求書管理サービス、セキュリティ、PCIコンプライアンス、そしてApple PayやAndroid Payなどのサードパーティ・サービスへのアクセスなどが挙げられる(Stripeが先月開始したInstant Payoutsなど、サービスの中には現状アメリカ国内での利用に限られているものもある)。

Stripeが日本にオフィスを構えたのは2014年6月だ。それにもかかわらず、正式ローンチまでにこれ程までの時間がかかった理由をHeffernanに聞いてみた。

「Stripeは世界各国でまったく同じサービスを展開するのではなく、それぞれの新しい市場を深く観察しようとしています。時間をかけて市場が持つニュアンスをさぐり、その国ならではのニーズや問題点を理解しようと努めるのです」と彼は語る。「そうすることで切迫したニーズに応えることができ、そのマーケットにとってベストなサービスを提供することが可能になります」。

Stripeをマルチカレンシーに対応させるためにも相当な労力が必要だったようだ。

「マルチカレンシーは日本市場向けにゼロから構築してきた機能です。これを実現させるためには相当な時間と労力をかける必要がありました」とHeffernanは話す。「マルチカレンシー対応の決済サービスは日本初の試みであり、これを日本で実現させたいと思ったのです」。

つい先日、三井住友グループがフィンテック分野のスタートアップへの出資に関心があると報じられたばかりだということを考えると、三井住友カードのStripeへの資本参加はとても興味深いニュースだ(言い換えれば、フィンテックへの資本参加はこれが最後ではないかもしれないということだ)。

日本市場の状況として、2016年以前はフィンテック企業への出資機会は少なかったことが挙げられる。その理由は日本金融市場の規制が厳しいこと、そして東京で起きたマウントゴックスの破綻をきかっけに、新しい金融モデルに対する視線が厳しくなったことが考えられる。

そのため、かのStripeへの出資に際しても、ある程度の調査は行われたようだ。「私たちはFacebookやTwitter、Kickstarterなど、洗練された世界レベルのテクノロジー企業を観察しました。すると、それらの企業すべてが決済処理のためにStripeのサービスを利用していることを知ったのです」と三井住友カード社長の島田秀男氏は話す。「Stripeは日本のビジネスに新しい金融技術インフラをもたらす企業であり、彼らの手助けができることを嬉しく思います」。

次のステップとして、いまだベータ版の公開に留まっている香港市場がある。Heffernanは、(現在同社がサポートしている)東南アジア各国ではStripeに対する注目度は高いと話し、東南アジア市場におけるStripeのビジネスは「まだ初期段階」だとも話している。「今後数カ月というタームでは、アジア市場はStripeにとって最重要項目であり続けるでしょう」。

Stripeへの出資者には三井住友カードの他にも、Sequoia Capital、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Visa、American Express、Peter Thiel、Max Levchin、そしてElon Muskなどがいる。

[原文]

(翻訳: 木村 拓哉 /Website /Facebook /Twitter