カスタマーサクセス管理ツール「HiCustomer」が正式リリース

右から3番目がHiCustomer代表取締役の鈴木大貴氏

B2B SaaSを運営するサブスク事業者向けのカスタマーサクセス管理ツール「HiCustomer(ハイカスタマー)」を開発するHiCustomerは12月4日、同サービスの正式ローンチを発表した。

まずカスタマーサクセスを簡単に説明しよう。カスタマーサクセスとは顧客の潜在的な悩みに対し積極的にアプローチし、解決すること。顧客からの問い合わせを待つ受動的なカスタマーサポートとは異なり能動的に対応を行うのが特徴だ。顧客によるサービスの継続的利用が不可欠なサブスクリプションモデルにとってカスタマーサクセスは特に重要だと言える。そんなカスタマーサクセスを管理するためのHiCustomerは担当者が「今、何をするべきか」を教えてくれる便利なツールだ。

HiCustomerは顧客スコアリング、コミュニケーション管理、利用状況分析が全て備わったカスタマーサクセスのためのプラットフォーム。CRMと異なり、サブスクに特化している。顧客のサービス利用ログから退会やアップセルの可能性のある顧客を推定し、売上最大化のために必要なアクションを自動で生成し提案する。

まず1つ目の特徴として、HiCustomerは顧客の健康状態を表す「ヘルススコア」を自動で算定。活動・利用頻度や満足度などをもとに顧客のプロダクトとの関係性を「Good」「Normal」「Bad」といったステータスで表示することができる。無償トライアル中で有償契約可能性が高い顧客、契約更新前に退会リスクがある顧客、安定運用中でかつアップセル可能性のある顧客など、顧客のプロダクト活用フェーズごとに対応すべき顧客を明確化することが可能だ。

2つ目の特徴は顧客個別の利用状況を時系列で分析可能な点だ。HiCustomerいわく通常のアクセス解析ツールでは利用ユーザー全体をマクロ視点で分析するケースが一般的だというが、HiCustomerではプロダクトの活用状況を顧客ごとに時系列で分析することが可能。これにより、各施策がどの顧客に影響を与えたのかが判明するため、カスタマーサクセスのPDCAサイクルを回すことが可能となる。

3つ目は売上最大化のため、顧客に対して行うべきアクションを自動で生成する点。同プラットフォームでは顧客の退会・アップセル兆候を検知し「今、何を行うべきか」をアラートで通知することが可能だ。HiCustomer代表取締役の鈴木大貴氏は「良い悪いの状態がわかった後、どのようなアクションを取るべきなのか、というところをもう少し踏み込んでプロダクト側からサジェストしたほうがより現場のTo Doに繋がるというのが明確にあった。リリース前にはその部分を重点的に作っていた」と話した。

なお顧客のスコアが変わった時や新しく顧客がユーザーになったタイミングでSlackのチャンネルに通知を飛ばすことも可能だ。これにより移動中でもリアルタイムで顧客の状態の変化を把握することができ、チーム内で即時にコミュニケーションを取ることができる。

HiCustomerは2018年4月にクローズドβ版をリリースして以来、500社以上が事前登録している。現在は累計30社がトライアル導入を果たしており、順次正式版の契約に移行しているという。正式版の導入企業は弁護士ドットコム(CloudSign)、グッドパッチ(Prott)、ベーシック(ferret One)、Wovn Technologies(Wovn.io)、SCOUTER(SARDINE)など(カッコ内はプロダクト名)。

2018年を「カスタマーサクセス元年」と呼ぶ人もいる。鈴木氏は「カスタマーサクセスに取り組む会社は僕たちと同じように社内の全員がユーザー目線になる。なのでお客さんたちの喜んでいる姿や課題解決している様をちゃんと理解した状態で仕事ができる。この母数を増やすことに繋がってくるので、やりがいのある領域だしプロダクトだ」と話していた。

カスタマーサクセス管理ツールのHiCustomerが総額6000万円の資金調達

前列右がHiCustomer代表取締役の鈴木大貴氏

サービスの定額化が加速している。SaaSの普及により企業向け製品の多くはサブスクリプションモデルを採用するようになり、個人向けのサービスも定額制のものが増えてきた。

音楽はSpotify、映画はNetflixとAmazon Prime Video、読書はKindle Unlimited…僕の生活も定額化されつつある。最後にタワーレコードを訪れたのはいつだっただろうか。

世の中がそのようなシフトを迎えている中、SaaSを始めとするサブスクリプション経済の興隆の重要性にいち早く注目していたと自負し、「HiCustomer」というカスタマーサクセス管理ツールを開発しているのがHiCustomerだ。

カスタマーサクセスを簡単に説明すると、顧客の潜在的な悩みに対し積極的にアプローチし、解決すること。顧客からの問い合わせを待つ受動的なカスタマーサポートとは異なり能動的に対応を行うのが特徴だ。顧客によるサービスの断続的利用が不可欠なサブスクリプションモデルにとってカスタマーサクセスは特に重要だと言えるだろう。

同社いわく、2018年4月にクローズドβ版をリリースして以来、100社以上が利用事前登録を行ったという。導入済み企業として、アライドアーキテクツ、スクー、Wovn Technologiesなど、法人向けサブスクリプション事業を営む企業を挙げている。

そんな同社が7月4日、500 Startups Japan、BEENEXT、アーキタイプベンチャーズよりシードで総額6,000万円の資金調達を実施たと発表。同社に外部資本が入るのはこれが初めてだ。

HiCustomerはサービスの利用状況に応じて顧客をスコアリングするツールだ。解約兆候を検知し、顧客の意思決定前にフォローアップすることで売上の低下を予防することができる。一方、サービスをフル活用しているファン層を特定することでアップセルやクロスセルのコミュニケーションもスムーズに行うことが可能だ。

一般にはまだ公開されていないが、ダッシュボード機能を提供するサービスとなっており、活動・利用頻度や満足度などをもとに顧客のプロダクトとの関係性を「Good」「Normal」「Bad」といったステータスで表示することができる。

代表取締役の鈴木大貴氏は「フリートライアル、オンボーディング、契約更新前、みたいに、カスタマーが自分たちのプロダクトとのライフサイクルにおける今どこにいるのか、絞り込んで見れる」ことが同サービスの強みだと語った。

例えば「オンボーディングだと使い始めてから日が浅く、定着させるために利用開始してから一ヶ月以内でこの設定まで終わっていないと使っていかなくなる可能性が高くなるので、コミュニケーションをしよう」と判断できる、と同氏は説明した。

「お客さんに買ってもらうというだけでなく、ちゃんと活用してもらうことができないとSaaS系のサブスクリプションサービスはどんどん顧客基盤を失うことになる。なのでこのプロダクトの開発に踏み切った」(鈴木氏)

同社は今回の資金調達をもとに開発体制を強化、人員を増やすために使うのだという。