マイクロ流体バルブ利用の「空気圧ランダムアクセスメモリー」を採用したピアノを弾くソフトロボットが公開

カリフォルニア大がマイクロ流体バルブを使用し「空気圧ランダムアクセスメモリー」開発、ピアノを弾くソフトロボットを公開

UC Riverside

カリフォルニア大学リバーサイド校の研究者らが、トランジスタの代わりにマイクロ流体バルブを使用し、空気圧で動作する8ビットのRAM(ランダムアクセスメモリ)を開発しました。このRAMを使用し、ピアノ演奏を行うロボットの動画も公開しています。

空気圧で動作する、いわゆるソフトロボットというのは古くから利用されており、柔らかいゴム製のボディは人間が接触しても安全なことから、人に近い場所での利用が期待、あるいは実際に使用されています。しかし、これらのロボットも、動作には多くの電子機器が利用されており、それがコストやサイズなどの制約になっています。

これを解消するために開発されたのが、空気圧を利用したRAM。従来のトランジスタや電気回路の代わりに空気圧を制御するマイクロ流体バルブを利用します。大気圧(何もしていない状態)を「0」、真空状態を「1」として、8ビットのRAMとして動作するもので、加圧していないため、機器が破損したとしても飛散すいる心配がないのもメリットとなっています。

実際にこの空気圧RAMを利用し、ピアノを演奏するロボットも披露。3Dプリンタで作られた指を持つこのロボットは、真空の場合に指が曲がるようになっており、「Mary Had a Little Lamb(メリーさんの羊)」をゆっくりと演奏します。

ただし、現状では動作が遅く実用する上では様々な改善が必要です。それでも、理論的には電子機器を一切使用せず、バッテリーで操作する真空ポンプだけでロボットの制御が可能だとしています。

(Source:UC RiversideEngadget日本版より転載)

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カテゴリー:ロボティクス
タグ:カリフォルニア大学(組織)ソフトロボティクス(用語)マイクロ流体バルブ(用語)

バイオテックの巨大インキュベーター「Bakar Labs」、カリフォルニア大学に誕生

独自のインキュベーターとアクセラレーターを運営するなど、州内のスタートアップエコシステムを育んできたカリフォルニア大学。このたび、同大学はバークレー校に巨大なインキュベーター「Bakar Labs(バカールラボ)」を開設することになった。年間80ものスタートアップ企業に、大学の施設やネットワークへのアクセスを提供する場となる。

かつてバークレー美術館だった美しいブルータリスト様式のWoo Hon Fai Hall(ウー・ホンファイ・ホール)に設置されるBakar Labsは、大学内で継続的に行われている分野を横断した取り組み「Bakar BioEnginuity Hub(バカール・バイオエンジニティーハブ)」の一環という位置づけで、大学全体で起業活動を管理しているQB3(キュービースリー)によって運営される。従来バークレー校で行われていたバイオテクノロジーに特化した小規模なプログラムは廃止されることになる。

Bakar Labsは、アクセラレーターのように製品の適合性やチームの構築などのカリキュラムを提供するのではなく、世界的な研究機関であり、優れた教授陣と豊富なリソースを有するバークレー校の最高のシステムをふんだんに提供する。インキュベーター内の企業は、それらを(限定的に)利用することができる。

Bakar Labs内の研究室のイメージ(画像クレジット:UC Berkeley)

このハブは、安価なオフィスや研究室、そして前述の豊富なリソースを提供することで、世界中の創業者を誘致できるように計画され、参加条件にバークレー校との提携は含まれていない。生命体を集め、たくさんの栄養を与えて成長を見守る、まさしくインキュベーター(培養器)だ。

財源にも比較的手間のかからないアプローチが採用されている。参加する企業はラボの利用料を支払うだけで、バークレー校やその関連施設に出資したり、それらが優先権を得たりする契約はない。QB3の担当者によると、提携するVCファンドを通じて投資が行われる可能性はあるが、プログラムに組み込まれているわけではない、とのことだ。

また、バークレー校の別の起業プログラムである「Skydeck(スカイデッキ、バイオテック分野の内外で高い評価を得ている企業を輩出している大学の起業プログラム)」との関連もない。Bakar Labsの企業選考を支援するチームは、Skydeckの応募者選考もサポートしており、今後は友好的に住み分けることになりそうだ。

エントリーに際しては、企業のポテンシャル(ビジネスと科学の両方)が審査されるものの、具体的な要件や優遇措置は柔軟に対応されることになるだろう。Bakar Labsのマネージング・ディレクターであるGino Segre(ジーノ・セグレ)氏は「企業は、買収や金稼ぎよりも、もっと多くのことを考えて欲しい」と説明する。

同氏からのTechCrunchへのメールには次のように記載されている。「私たちは、人々の健康を向上させることを目的とし、利益の出るビジネスモデルを追求するという、二重の目的を持つチームの応募を奨励します。起業家精神があれば大丈夫です」「すでに、治療薬、診断薬、研究ツール、フードテック、アグテックに関心が集まっています」。

「2~15人で、少なくとも6カ月間の運転資金を持ち、プログラムを進めるために研究室を必要とする革新的な技術にてこ入れしようとしているチームが最も理想的です」と彼は続ける。Bakar Labsの利用には期限はないが、数年経てば起業に成功したかどうかは自ずと知れる。スタートアップ企業が資金を調達して、自社のオフィスや研究室に移ることが理想だが、それが可能になるまでは、ガレージや貸し会議室よりもこのインキュベーターの方がはるかに優れているだろう。

カリフォルニア大学のCarol T. Christ(キャロル・T・クライスト)学長は、バークレー校のニュースリリースで次のように述べる。「やる気にあふれ、変化を起こそうとする学生や教員、私たちの強力な研究機関、そして利益よりも社会的利益を最大化するイノベーターのコミュニティが結集する場として、Bakar BioEnginuity Hubには大きな期待を抱いています」。

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カテゴリー:バイオテック
タグ:カリフォルニア大学Bakar Labsインキュベーターカリフォルニア大学バークレー校

画像クレジット:UC Berkeley

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)