クリエイターのためのLinkedInを目指すThe Dotsが400万ポンドを調達

LinkedInのようなプロフェッショナルなソーシャルネットワークは、長い間ビジネスの柱となって来たが、もしあなたがLinkedInでは息苦しさを感じる、クリエイティブな人材だったらどうだろうか?米国では、Behanceというクリエイターのためのネットワークが650万ドルを調達したが、大西洋の向こうでは同様のアイデアが、The Dotsという形で実を結んだ。

いわゆる「ノーカラー」(襟なし)プロフェッショナル(お望みならTシャツを着たクリエイターと呼んでも構わないが)たちのための組織を対象として、400万ポンドの投資ラウンドが行われた。主導者は「企業ビルダー」のHambro Perksだ。その他の注目すべき投資家としては、広告代理店業界の大物John Hegarty卿や、所有するThe Garage Sohoを通して投資を行ったTom Teichman、そして女性中心の投資家であるAngel Academeが含まれている。

今回の投資は、国際展開に先立ち、The Dotsの「クリエイターのためのLinkedIn」としての地位を強化するために使用される。

Pip Jamiesonによって2014年に開始されたThe Dotsは、採用のためには多大なコストがかかる、世界中でおよそ8000万人いると見積もられている「ノーカラー」のミレニアル世代のプロフェッショナルを集めようとしている。ある調査によれば、そのコストは年間110億ポンドにも及んでいるそうだ。

Dots自身は、現在の会員数を25万人だと述べている。現在の顧客にはGoogle、Burberry、Sony Pictures、Viacom、M&C Saatchi、Warner Music、Tate、Discovery Networks、そしてVICEなどが含まれている。

メンバーたちは実際にコネクトした他のメンバーたちと実際に作業をしているので、 Dotはプロジェクトを遂行する全チームのデータを収集することで、ネットワーキングを促進し、ネットワークを「信頼性の高い」のものにすることができる。

Dotはこうしたデータに基づいて機械学習を行い、クライアントに対してカスタマイズされた個別推薦を行うことを計画している。また長期的には個々人だけではなくチームとしての推薦も可能にしていく予定だ。

「誰もLinkedInには敵わないと思っていますが、それこそが、まさに私が破壊の機が熟していると考えている理由です」とJamiesonは語る。「LinkedInは、伝統的な『ホワイトカラー』労働者のネットワーキングの必要性から生み出されたものです。しかし、現在新たなプロフェッショナルクラスが登場つつあります、彼らはネットワーキングの嗜好が異なり、行動やキャリアの好みを反映した、代替ソリューションを必要としているのです」。

John Hegarty卿は次のように述べている。「伝統的な産業の様相は、自動化のために消えたり、急激に変化したりしようとしています。しかしクリエイティビティのためのアルゴリズムはありません。クリエイターたちこそが、私たちの未来の労働力なのです。だから、もし私たちの経済を繁栄させたいなら、アイデアを実現する人びとやチームを支援する必要があるのです。それがThe Dotsのすべてです。アイデアを生み出す人びと、チーム、ブランドを結びつけ、サポートし、支援するのです」。

(注:冒頭の写真の人物がPip Jamieson)

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(翻訳:sako)

視覚的な共有ボードでプロジェクトを管理―、Milanoteの開発元が78万ドルを調達

アイディアの種を発見したり、インスピレーションを刺激したりするのに役立つソフトを探しているクリエイティブな職業の人たちが選択肢に困ることはあまりない。Pinterestのような主流の画像共有プラットフォームから、デザインに焦点をあてたムードボード作成ツールのNiiceまで、さまざまなツールがネット上には存在する。しかし、ライターごとに好みの作業環境が違うように、ビジュアルコンテンツを作成する人たちのニーズもさまざまだ。そこでMilanoteの開発元であるオーストラリアのスタートアップは、まだこの分野にはチャンスが残されていると考えた。

Milanoteのプラットフォームからは、EvernoteやPinterestの影響を垣間見ることができる。Milanoteのチームも同プラットフォームのことを「クリエイティブ向けのEvernote」と呼んでいるくらいだ。基本的には、「ボード」と呼ばれるスペース上に、ドラッグ・アンド・ドロップで画像や文字を配置することで、ユーザーはアイディアをグループ分けしたり、ムードボードを作ったりすることができる。さらに、画像や文字を別のボードに移動することで、ボードがフォルダ代わりになるので、各アセットの保管やリンク付けにも便利だ。

ボードは共有可能なので、関係者でひとつのボードを一緒に更新していくこともできる。さらにMilanoteにはToDo機能も搭載されている。こうして全体を見てみると、このプラットフォームはデザイナーが色々と試すためのものというより(もちろんそれも可能だが)は、多目的ツールのように感じられる。その一方で、例えば研究の進捗を管理したり、画像つきのチェックリストを作ったり、出来事を記録したりするためのツールとしても使えるだろう。

Milanoteはもともと、別のビジネス(UXデザイン会社)用の社内ツールとして開発されたのだが、その後彼らは独立したプロダクトとしてMilanoteを開発していくことに決めた。2月にローンチされたMilanoteのユーザー数は、これまでに3万5000人に増加したとCEOのOllie Campbellは言う。さらに彼によれば、現在Milanoteを利用しているユーザーの主な職業は、「デザイナー、ライター、マーケターなどクリエイティブなもの」で、勤務先にはFacebookやApple、Uber、Dropbox、Google、Adobe、Sony、Nikeなどが含まれているという。

Milanoteのチームは、Simon Martin(MYOBの前CFO)がリードインベスターを務めたシードラウンドで、78万ドルを調達したばかりだ。この資金は、「ウェブ上からインスピレーションを刺激しそうなものをかき集める機能など、クリエイティブなタスクに欠かせないもの」とCampbellが表現する機能(既に「Pinterestスタイルのウェブクリッパー」は導入済)の開発に充てられるほか、動画などさまざまなファイル形式をサポートするためにも利用される予定だ。

さらに彼らはコラボレーション機能も強化しようとしており、顧客からのフィードバックを受け取る機能やアップデート内容にコメントをつける機能などの追加を予定している。

コアユーザーについて尋ねたところ、Campbellは「Milanoteは(TrelloやEvernoteなどのように)とても”水平的”なツールなので、建設作業員や詩人、アーティスト、作家、ゲームデザイナーなど、ユーザーにはさまざまな分野や職種の人がいます。中にはMilanote上で小説を書いている人や、教会での説教の内容を考えたり、美術展の準備をしたりする人までいます。しかし、私たちの主要なターゲット層は、”ビジュアル・クリエイティブ・プロフェッショナル”と私たちが呼んでいる人たちです」と答えた。

「クリエイティブな仕事で重要なのは、既存のアイディアを上手く組み合わせたり、合成したりして何か新しいものを生み出すということです。しかし多くの人は、作業内容に応じて異なるツールやプラットフォームを利用しているので、一か所で全ての作業を行えないという問題を抱えています。例えば、画像はPinterestでノートはEvernote、タスク管理はTrello、ファイル管理はDropbox、メッセージのやりとりはSlackといった具合です。ツールが細分化すると全体像が見づらくなり、なかなかゴールにたどり着けなくなってしまいます」と彼は続ける。

「Milanoteの売りは、全ての作業が一か所でできるということです。さまざまな情報を一か所に集め、それぞれの関係性を見つけることで、新しいアイディアが生まれやすくなるのです」

Milanoteはフリーミアムモデルを採用しており、無料会員だと使えるノートや画像、リンクの数に限りがある。料金は1人で利用するのか、チームで利用するのかで異なるが、有料会員であれば無制限に各アイテムをボード上に配置できる。

Milanoteはユーザーにプロジェクトの関連情報をプラットフォーム上にまとめることを推奨しているため、今後膨大なストレージ容量が必要になり、それが料金プランにも反映される可能性がある。しかし、そもそも”空間的なコミュニケーション”と彼らが呼んでいるコンセプトを求める人たちと、既存のツールをそれぞれのタイミングで(コミュニケーションにSlack、ファイルの保管と共有にDropbox、ムードボードの作成と共有にPinterest、共同作業にGoogle Docsといった具合で)使う人たちのどちらが多いかというのはまだ分からない。

アイディアをこねくり回すことが要される職業では、”餅は餅屋”と考えている人が多そうだが、Milanoteのチームは、彼らのプラットフォームが少なくともある程度の収益をあげるだけのポテンシャルを秘めていると考えているようだ。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter