溶かして楽しむ冷凍コーヒーのCometeerが約39.4億円を調達し、本格的に製品販売を開始

マサチューセッツ州グロスターに本社を置く「Cometeer(コメテア)」は、設立から9年目を迎えた。この間、同社はコーヒー業界に新風を吹き込むために、マッドサイエンティストのようなコーヒー科学者、機器、プロセスを構築してきた。元冷凍魚介食品工場を拠点とする同社は、瞬間冷凍する小さな「パック」で、豆の風味を損なわないようにカプセルに封入するため、数百万ドル(数億円)をかけて独自の生産ラインを構築している。これで、10倍に抽出されたコーヒーが、すぐに楽しめる。

豆を選ぶ。焙煎する。豆を挽く。水を入れる。飲む。本来コーヒーは複雑である必要はないのだが、毎年十数社の新しいスタートアップが、さえない無意味なテクノロジージャーナリストに、コーヒーの味とカフェインを注入すべく新しく革新的な方法を見つけようと躍起になっている。それらのスタートアップ企業の大半は、年末に「各社の現在の状況」記事を書こうと思う頃には消滅しているので、安心して無視していい。しかし、ひと握りの投資家が総額1億ドル(約114億円)をスタートアップ企業に投じるとなれば、どんなにコーヒーを飲んでいない記者でも、しぶしぶ爪楊枝を突っ込んでまぶたを開き、注意を払ったほうがいいだろう。

前回のラウンドは5000万ドル(約57億円)で、2020年の4月にクローズした。今回の資金調達では、D1 Capital(D1キャピタル)、Elephant(エレファント)、Tao Capital(タオ・キャピタル)、Addition Ventures(アディション・ベンチャーズ)、Avenir(アベニール)、Greycroft Partners(グレイクロフト・パートナーズ)、TQ Ventures(TQベンチャーズ)に加え、コーヒーに精通したエンジェル投資家から3500万ドル(約39億9400万円)を調達した。同社は、今回の資金調達ラウンドの評価額を公表していない。

ポッドを淹れるには、お湯または水を入れたカップにパックを入れて「溶かし」、少し待てば、新鮮なコーヒーを飲むことができる。必要なのは水、もしホットコーヒーを飲みたいのであれば、その水を温める道具だけだ。カプセルは、冷凍庫で保管すれば3年間、冷蔵庫で保管すれば3日間は新鮮な状態を保つことができる。

Cometeerのカプセルは、味を保つために液体窒素で瞬間冷凍されている。冷凍庫に入れておけば、約3カ月間鮮度を保つことができる。(画像クレジット:Cometeer)

コーヒーは、すべて豆から始まる。

「私たちの焙煎パートナーは、Cometeerのバックボーンです。優れた味の焙煎と同様に重要なのは、コーヒー農家を支援し、フェアトレードの最低価格の何倍もの公正な価格で直接取引して購入することを決めているということです」と、Cometeerの共同設立者兼CEOのMatt Roberts(マット・ロバーツ)氏は説明する。「私たちは、ユニークな背景、調達技術、焙煎スタイルを持つ、多様な焙煎パートナーのグループを構築することに注力しています。これらのパートナーとともに、コーヒー業界の脱コモディティ化をサポートしていきたいと考えています」。

Cometeerは、過去数年間で非常に大きな成長を遂げており、前回の資金調達時には12人だった従業員が120人にまで増えている。今のところ、同社は消費者への直接販売に注力している。

「今は消費者向けのサービスに注力していますが、ボストンにあるGeorge Howell(ジョージ・ハウエル)カフェでオンプレミス環境でのサービスを試したり、企業へのギフトを中心としたB2Bのコーヒーソリューションを試験的に行っています」とロバーツ氏は説明する。

同社は本日、ウェイティングリストを閉じ、クレジットカードを持っていてコーヒーテクノロジーの新境地を求める人なら誰でもこのコーヒーを入手できるようにした。カプセルは2個入りで、価格は約2ドル(約220円)だ。基本出荷量はカプセル32個で64ドル(約7300円)となる。

画像クレジット:Cometeer 

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(文:Haje Jan Kamps、翻訳:Akihito Mizukoshi)

バルミューダがオープンドリップ式コーヒーメーカーBALMUDA The Brew発表、10月7日発売

バルミューダがオープンドリップ式コーヒーメーカーBALMUDA The Brew発表、10月7日発売バルミューダは9月8日、オープンドリップ式コーヒーメーカー「BALMUDA The Brew」(バルミューダ ザ・ブリュー)を発表した。直販価格は5万9400円(税込)。発売は10月7日。

BALMUDA The Brewは、独自の抽出方法「Clear Brewing Method」(クリア ブリューイング メソッド)の採用により、ストロングな味わい&クリアな後味を実現。緻密な温度制御、コーヒー豆の個性を引き出す0.2ml単位の正確なドリップ、クリアな後味を生むためのバイパス注湯といった3つの独自の抽出方法を組み合わせたもので、雑味を極限まで取り除き、コーヒーの理想的な味わいを楽しめるという。またREGULAR・STRONG・ICEDの3つのモードを搭載している。

温度制御では、従来のコーヒーメーカーにはないテクノロジーで注湯温度をコントロールし、蒸らし・抽出・仕上げと、過程ごとに最適な温度のお湯を瞬間的に沸かすという。ドリップでは、蒸らし時間や注湯の量・速度を自動観測し、的確な間隔で適量の湯を落とす。

また、抽出中に豆から雑味成分が溶出するタイミングを見計らい、ドリッパーへの注湯を停止。サーバーに抽出されたコーヒーの凝縮された成分と温度を調節するため、ドリップ時の注湯口とは異なる第2の注湯口から仕上げの加水を行うという。

バルミューダが「最良のコーヒー体験」とうたう「BALMUDA The Brew」ティザーサイト公開、9月8日に詳細発表

バルミューダが「最良のコーヒー体験」とうたう「BALMUDA The Brew」ティザーサイト公開、9月8日詳細発表

BALMUDA

バルミューダは8月26日、コーヒーメーカーと思われる製品のティザーサイトを公開しました。「BALMUDA The Brew」という製品で、9月8日に詳細を発表予定で「バルミューダがお届けする、最良のコーヒー体験」という一文が添えられています。

バルミューダはこれまでスチームトースターなどの白物家電や照明機器を展開してきましたが、近年はワイヤレススピーカーを発売し、京セラと協業でスマートフォンの開発を進めていることも発表しました。

バルミューダが5Gスマホ開発、京セラが製造パートナーで11月発売(2021年5月)

白物家電では高い人気と知名度を誇るバルミューダブランドから、どのようなコーヒーメーカーが登場するのでしょうか。高級調理家電には強いブランドだけに、期待が膨らむところです。

(Source:BALMUDA The BrewEngadget日本版より転載)

わずか2分でコールドブリューが楽しめるOsmaのハイテクコーヒーメーカー

まったく新しいコーヒーの淹れ方が発明されることなど、そうそうあることではないが、ほぼすべての淹れ方に共通する要素は「熱」である。つまるところ、熱湯を使えばコーヒー豆のフレーバーとコクをすぐに引き出せる。しかし、Osma(オスマ)という新しいコーヒーメーカーを使うと、今までとはまったく異なる技術によって、どの温度のお湯や水でも(何と、氷のように冷たい水でも)濃くて重量感のあるエスプレッソのようなコーヒーを作ることができる。これは業界の次なる目玉製品になりそうだ。

OsmaはデザイナーのJoey Roth(ジョーイ・ロス)氏が取り組んでいるプロジェクトだ。ハイコンセプトのスピーカー関連テック製品を手がけた後に紅茶・コーヒー関連テックに取り組むようになった同氏は今、まったく異なるこの2つの分野を、独特の振動抽出方法という形で統合させる方法を発見した。同氏は長年にわたりいくつものヒット技術を生み出してきたが、Osmaは同氏にこれまでで一番の利益をもたらすかもしれない。

その理由を知るには、コーヒーが通常どのように作られるのかを理解することが役立つ。普通は、コーヒーの粉を熱湯に浸すか、コーヒーの粉に圧力を加えるかしてコーヒーを淹れる。

熱湯に浸す方法の場合、お湯の熱によってコーヒーの粉から油分が溶け出して揮発し、フレーバーが抽出された後のコーヒーかすがフィルター内に残る。具体的にはドリップやポアオーバー、フレンチプレスなどが含まれる。

圧力を加える方法とはつまりエスプレッソのことだ。熱だけでなく、マイクロキャビテーション処理を加えることによってコーヒーの粉に含まれる芳醇なエキスが抽出される。熱と圧力によってコーヒーの粉から二酸化炭素が放出され、それが極小の泡となる。その泡はすぐに破裂するのだが、その過程でフレーバーとアロマが抽出される。

熱湯の代わりに冷水にコーヒーの粉を浸す場合もある。冷水を使うと、熱に弱い成分が消滅せずに残るため、ひと味違うフレーバーが生まれる。残念ながら、冷水でコーヒーを抽出するには何時間もかかるし、濃い目がお好みの場合は何日もかかる場合があり、美味しさに貢献する他の成分がその間に劣化してしまう。さらに、冷水ではエスプレッソは作れない。エスプレッソで抽出するにはスチームが絶対に必要だからだ。

このように、コールドブリューコーヒーには独特の不便がともなう。それにも関わらず、ここ10年ほどの間に一度でもカフェを訪れた人であれば誰でも、コールドブリューコーヒーの人気の高さに気づいたことだろう。季節は問わないが、特に人気が出るのは夏である。突き詰めて言えば氷の上に熱いコーヒーかエスプレッソを注ぐだけのドリンクなのだが、人気は途絶えることがない。ではもし、熱を加えたり、水で薄めたり、何日も待ったりすることなく、濃くて美味しいコーヒーを淹れられるとしたらどうだろうか。それを実現するのがOsmaなのだ。

画像クレジット:Osma

Osmaのシステムは、筆者が知る限り、他のどのブリュー方法とも異なっている。Osmaは基本的に、コーヒーの粉の中に水を繰り返し循環させつつ、それを立位圧力波のようなもので撹拌する。そうすると2分ほどで、エスプレッソほど濃縮されておらず、コールドブリューほどマイルドではないコーヒーが8~12オンス(約240~350ミリリットル)でき上がる。

画像クレジット:Osma

フレーバーの特徴について筆者が尋ねると、ロス氏は「これはまったく新しい方法で抽出されたコーヒーだから、一度味わってみないと分からないと思う」と答えた。同氏は、京都スタイルのスロードリップコーヒーにクリーミーな口当たりとエスプレッソのフレーバーを加えた感じに似ていると言った後、やはりこの例えでは説明しきれないという結論に達した。

ロス氏が安易に例えようとしない理由は理解できる。なぜなら、Osmaの抽出方法は他とは完全に一線を画しているからだ。熱湯ではなく冷水を使う点や、キャビテーション効果を得るために高圧ではなく音波を使う点もさることながら、水を一度限り通すのではなく、循環させる方法を採用している点でOsma Pro(オスマ・プロ)は独特の存在である。

ほぼすべてのコーヒーメーカーは単方向性だ。水が入ってコーヒーの粉に接触し、コーヒーが抽出される。ちなみにパーコレーターは例外だが、そもそもパーコレーターを一番好むというコーヒー愛好家はあまりいない。一方、Osmaの場合は、水を吸い上げてコーヒーの粉に通しつつそれを撹拌し、そこから出た水を元の筒に戻して、それをまた吸い上げ、コーヒーの粉に再び通す。

この循環プロセスは、お好みの重量感に合わせて、早目に止めることも長めに続けることもできるが、ロス氏によると、大抵の人の好みに合うベストな1杯を淹れるのに最適な循環時間は2分間だという。

Osmaの仕組みは、半分は幸運な偶然、もう半分は創意工夫の産物である。ロス氏は、共同創業者のDan Yue(ダン・ユエ)氏と一緒に工業用真空槽の中で水を常温で沸騰させる実験を行ったことがあるそうだ。何とか成功したのだが、その装置はとてもじゃないが消費者に販売できるようなものではなかった。そこでユエ氏が、高温で加熱せずにコーヒーを抽出する鍵はマイクロキャビテーション処理にあるのではないかという仮説を立てた。

いい感じの仕上がりだ(画像クレジット:Osma)

ロス氏は次のように説明する。「ユエ氏の仮説を検証するために実験をいくつも行って、マイクロキャビテーションこそが魔法のスイッチだということを確認した。その後2年間を費やして、コーヒーの粉をぎっしり詰めたバスケットの中で音波を使ってキャビテーション処理を効率的に促進する構造を開発した。サンノゼでChromatic Coffee(クロマティック・コーヒー)を一緒に創業したパートナーであるJames(ジェームズ)とHiver(ハイヴァー)の助けや知恵を借りながら、この構造をOsma Proという製品に仕上げた」。

いつでも好きな時にエスプレッソやコールドブリューのような濃くて冷たいコーヒーを作れることは、カフェ業界の形勢を変える可能性がある。現在のところ、カフェで冷たいコーヒーを出すには、需要を予測して前日またはそれ以上前からコールドブリューを作り始めなければならないため、需要が供給を上回った場合は品切れになるか、もしくは熱いコーヒーを氷の上から注ぐという、一般的ではあるが考えてみればちぐはぐなアプローチを取るしかなくなる。

Osma Proの価格は695ドル(約7万6000円)だ。家庭用に購入するには少し高価だが、ほとんどのカフェで導入されているタイプの機器と同程度の価格である。ロス氏が手がけた他のプロジェクトと同様に、Osma Proの工業デザインはシンプルで美しい。場所を取らない(スタンド型コーヒーミルと同程度)ことや、貴重な冷蔵庫内スペースが大量のコールドブリューコーヒーに占領されることがなくなることを考えると、Osma Proの利便性にさらに納得できる。

生産台数は限定1000台、今のところは(画像クレジット:Osma)

ロス氏は(社名は伏せたが恐らく)有名なコーヒー会社がOsma Proの件で同氏と提携することに興味を示しているのはそのためかもしれない、とはにかみながら言った。小さなカフェを中心に数百台売れることはすばらしいが、ロス氏によると期待を上回る予約注文が寄せられているという。もし数千台規模で注文する大型パートナーが出てきたらどうなるだろうか。それこそ、グローバル展開の足がかりとなるだろう。

ちなみに、これらすべては、残念ながら今では機能していないであろう1台の機器から始まった。筆者が初めて使ったOsmaのコーヒーメーカーは、ロス氏から筆者に送られてきたもので、バッテリー駆動のポータブルタイプだった。そのうえ、生分解可能なコーヒー粉パックと簡略化された音波撹拌処理をテストするためのベータ版だった。しかし、このベータ版はその後の開発に行き詰まってしまった。一方で、その抽出技術は非常に興味深く、非常に美味しいコーヒーが作れたため、ポータブルタイプではなく、当時急速に開発が進んでいたカウンタートップタイプこそが同社の未来だということが早々に明らかになった。

現時点で残るただ1つの問題は、Osma Proで作ったコーヒーの呼び名だ。筆者は「coldpresso(コールドプレッソ)」はどうか、と提案した(「icepresso(アイスプレッソ)」の方が語呂がいいのだが「エスプレッソ」に語感が近すぎる)。ロス氏は「cold flash(コールド・フラッシュ)」という名称を考えたが、呼び方に関する自分のアイデアはどれも何だかあか抜けないと自分で言っていた。どんな名称になるにしても、Osma Proで作ったコーヒーを間もなく地元の「本格派」カフェで楽しめるようになるだろう。Osma Proのコーヒーを試した人、あるいは普段から冷たいコーヒーをたくさん飲んでいる人で、少々高額でもOsma Proを買いたいと思った人は、Osmaのウェブサイトで予約注文できる。

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カテゴリー:フードテック
タグ:Osmaコーヒーコーヒーメーカー

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(文:Devin Coldewey、翻訳:Dragonfly)