ウェブサイトを作成するプラットフォームや、オンラインのパブリッシングサービスを提供している企業は既に多数存在し、WordPressやWix、Zoho、Weebly、Duba Mobile、Squarespaceといった既存の企業が、MediumやLinkedInといった新規参入企業と熾烈な戦いを繰り広げている。こんな競争の激しい業界に新たに参入しようとしているUniverseは、モバイル端末で”ライトな”ウェブサイトをつくるというアプローチで、競合他社とは違ったポジションに立とうとしている。その売り文句は、「モバイル端末を使って”1分以内で”作るウェブサイト」。
ニューヨークのブルックリンに拠点を置くUniverseは、同社にとって初となるアプリをiOS向けに本日ローンチした。なおUniverseは、Box Groupがリードインベスターを務め、General Catalyst、Greylock Partners(シードファンドを通じて投資)、Eniac Venturesが参加したラウンドで320万ドルを調達している。
ファウンダーのJoseph Cohenは、ユーザーがUniverseを使って、Instagramのプロフィールページとリンクさせるような簡単なサイトを作るようになってほしいと語る。
「ミレニアル世代の消費者はSquarespaceのようなサービスは使っていません。私たちの狙いは、これまでとは全く違う方法でウェブサイトをつくる手段を提供することにあります」と彼は語る。Universeドメインのサイトのホスティングは無料だが、カスタムドメインを利用する場合の料金も月額2.99ドルと競争力のある価格に設定されている。
Universeのアイディアは、3年前にCohenが以前設立したLoreと呼ばれるエドテック企業を、Noodle Educationに売却したときに誕生したと彼は言う(Cohen自身2年生のときにペンシルベニア大学を中退し、その後大学には戻っていない)。
「それから3年間ずっとこの業界にはとても興味を持っていました」と彼は話す。「そもそものアイディアは、携帯電話を何かつくるためのクリエイティブなデバイスに変えたいという思いから生まれました。自分の存在を世に知らせるという意味では、ウェブサイトは今でも素晴らしいプラットフォームだと思いますし、そのウェブサイトをモバイル端末から作れるような手段が必要だと考えています」。
Universeは、クリエイティビティとスピード化のためのテンプレートのバランスをとるために、画面を3x5のグリッドで表現した美しいインターフェースを開発した。ユーザーはバックグラウンドを選んでから、文字や写真、動画、リンクなどの要素をドラッグ・アンド・ドロップで追加できるようになっている。
この仕組みからも、彼らはプロのディベロッパーや大企業向けに、巨大なバックエンドやプロセスが後ろに隠れている複雑なサイトをつくるためのサービスを提供しようとしているのではないことがわかる。
ローンチ時点では、何かを販売するためのモジュールなど、企業が必要としそうな機能さえ準備されていない(販売モジュールは将来的に追加される予定だとCohenは語っている)。さらに現在のところ、Universeのサービスをネイティブアプリ化する予定もないという。
「ネイティブアプリの開発については、かなりの間考えていましたし、プロトタイプもいくつか作りました」とCohenは話す。しかし最終的には「何にでもアプリが必要というわけではないという結論に至りました。アプリを広く流通させるのも難しいですし、カジュアルユーザー向けのサービスであればアプリはいらないと考えたんです」。
その代わりにUniverseは、シンプルな”ウェブ上の何か”をつくる手段を提供しようとしているのだ。その”何か”は、もしかしたらそれ自体がバイラルヒットしそうなウェブサイト(IsThisForThatやIs the L Train running?のようなサイトを思い浮かべてみてほしい)かもしれないし、ユーザーが開催するイベントの詳細を記載しているランディングページかもしれない。そういった意味では、UniverseのサービスはWixやSquarespaceの流れを組んだサービスというよりも、今はなきCheckthis(その後Frontbackを作った人たちによって作成された)やGIF作成サイトのように、ウェブ上で拡散しそうなコンテンツをつくるためのツールのようなものだ。
かつてはAOL傘下にあったプロフィール作成サービスに関連した私の質問に対して、Cohenは「About.meもデスクトップにフォーカスしすぎな感があります」と答えた。
さらに、現存するサービスはとても狭い見方でしかウェブサイト作成というコンセプトを見ておらず、単純に”手軽さが足りない”と気付いたときに、Universeのもととなるアイディアを思いついたとCohenは話す。
Cohen自身は、テクニカルな経歴やディベロッパーとしての経験を持っていないということも注目に値する。そのような彼のバックグラウンドがあるからこそ、テクノロジーの知識がない人でもウェブサイトを作れるという、Universeのサービス内容が生まれたのだろう。
投資家もUniverseの”非テック”の側面を強調する。GreylockのJosh Elmanは、Cohenの母親もイベント用のウェブサイトをUniverseを使って作ったと話す。
「一握りの革新的な企業が、私たちのコミュニケーションの在り方や何かを生み出すための手段を一新してきました。Universeは、積み木のようなインターフェースで、難解で時間のかかるウェブデザインというプロセスを、シンプルでクリエイティブなモバイル端末上での楽しい作業に変えようとしています」とGeneral CatalystのパートナーであるSpencer Lazerは声明の中で語った。
Universeで作られたサイトはデスクトップからでも問題なく開けるが、デスクトップ版のツールを開発する予定はないという。
「モバイルだけでもかなりのことができると思っています。携帯電話は、クリエイティブなツールとして大きな可能性を秘めていて、今後はもっと多くのウェブサイトがモバイル端末から作成され、アクセスされるようになると考えています」とCohenは語った。
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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter)