料理に必要な素材や調味料とレシピが一体になったミールキット。近年このミールキットを自宅にデリバリーするサービスが注目を集めている。6月末に上場したBlue Apronを筆頭に、関連するサービスも多い。直近ではベルリンに拠点を置くHelloFreshが上場間近と話題だ。
日本でも情報番組でミールキットの特集が組まれたり、新規でサービスをリリースする企業もでてきたりと少しずつ盛り上がり始めている。
人気シェフが手がけるミールキットを宅配する「Chefy(シェフィ)」を提供するシェフィも、この市場でサービスを展開する1社。同社は10月16日にKLab Ventures Partnersとエウレカ共同創業者の赤坂優氏から資金調達を行ったことを明かした。金額は数千万円規模だという。調達した資金をもとに人材の拡大を進める。
Chefyは2017年6月にリリースされたミールキットサービスで、全てのレシピを都内有名店のシェ
フが考案していることが特徴。素材や調味料など厳選された食材をレシピ通りに調理すれば、自宅でもレストランのようなメニューが楽しめる。「楽しく作って美味しく食べる」がChefyのコンセプトであるため、カット野菜は不使用。珍しい部位の肉など普段扱う機会が少ない食材も提供している。
料金プランは1回あたり1メニュー×2人前で3500円のプランと、2メニュー×2人前で6000円(いずれも税別)のプランの2種類。頻度は毎週、隔週、月1回の定期宅配がベースとなるが、定期宅配はキャンセル可能で特定のメニューのみ宅配することもできる。現在の配送エリアは北海道、四国、九州、沖縄を除く各都道府県で離島は対象外となる。
冒頭でも紹介した通り、国内でも少しずつミールキットサービスを手がける企業の数が増えてきた。食品ECの大手ではオイシックスドット大地が「Kit Oisix」を、らでぃっしゅぼーやが「私が仕上げる10分キット」を提供。スタートアップでは5月に7000万円を調達したブレンドの「TastyTable」がある。
加えて直近でも「ごちクル」運営のスターフェスティバルから「ごちレピ」、紀ノ国屋から「グルマンセット with KINOKUNIYA」、シャープから「ヘルシオデリ」が公開。セブン&アイとアスクルが11月28日からスタートする生鮮EC「IYフレッシュ」でもミールキットを扱う予定だ。
ただしシェフィ代表取締役の川野秀哉氏によると、国内でミールキットとして紹介されているものでもそのコンセプトは大きく異なるという。「日本では料理の手間を削減したり、簡単で手頃なことを売りにしているサービスも多い。Chefyの場合は時短などではなく食事をより楽しむ体験や、ライフスタイルを提供したいというのがコンセプトだ」(川野氏)
川野氏自身が前職でレストランプロデュースに関わっていたことに加え、シェフィにはフランスの星付きレストランで修行していたメンバーもいる。その知識やネットワークも生かして、スーパーなどではなかなか手に入らないような食材も提供できるそうだ。
「(リリースから4ヶ月ほど経つが)普段はあまり料理をしない男性にも使われるなど、新しいライフスタイルを提供できるのではという手応えはある。時短目的でミールキットを検討している人には合わないかもしれないが、毎日ではなくても特別な日にミールキットを活用するという新しい価値観や市場を作っていきたい」(川野氏)