ZOZOSUITが新しくなったーーセンサーではなくマーカー読みとり方式へ変更

2017年11月にスタートトゥデイが発表した、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」。発表後から大きな話題を呼び、10時間で23万件の予約が発生。生産の遅れにより配送遅延が生じていた。

そんなZOZOSUITの到着を心待ちにしていた人にとっては、良いニュースかもしれない。スタートトゥデイは4月27日、新型のZOZOSUITを発表した。

水玉模様が特徴的な新型ZOZOSUITでは、このドット上のマーカーをスマホのカメラで360度撮影することで体型サイズを計測する。スーツにはスマホを立てかけるためのスタンドが同梱されるため、テーブルなどにスマホをセットして撮影。音声案内がガイドする。

旧型のようにセンサーを活用していないため、電池切れの心配がなく洗濯も可能。なにより大量生産ができるようにもなるという。

撮影した体型のデータは3Dモデルとしてアプリ上に表示され、自身の体型を様々な角度からチェックすることが可能だ。

ZOZOSUITの現状や今後の展開については本日スタートトゥデイが公開した資料に詳しい。スタートトゥデイでは本日約4000の新型スーツを出荷したことを公表。これまででZOZOSUITの予約件数は100万件を突破しているというが、現在までの予約については7月中旬ごろを目処に配送を完了する予定。今期中に600万〜1000万のスーツを無料で配布する予定だ。

なお旧ZOZOSUITはニュージーランドのソフトセンサー開発企業StretchSenseと共同で開発していたもの。スタートトゥデイでは将来的に同社を100%子会社化することを選択的に可能とするコールオプション契約を締結する予定である旨を2017年11月22日に発表し、注目を集めていた。

同社は本契約について本日開催の当社臨時取締役会において、締結を中止することを決議したと公表。主な理由については契約条件面で合意に至らず、交渉が長期化していたため。そしてスタートトゥデイ研究所が2月15日に3億円で買収することを発表したアイデアを基に、より高精度な体型計測技術の開発に成功したためだとしている。

70億人のファッションをITで変える「スタートトゥデイテクノロジーズ」発足、VASILYなど3社が合併

スタートトゥデイは4月2日、子会社のスタートトゥデイ工務店、VASILY、カラクルを合併する形で新会社スタートトゥデイテクノロジーズを発足したことを明らかにした(発足は4月1日)。新会社では「70億人のファッションを技術の力で変えていく」をミッションに、グループの持つ技術力を集約。保有するビッグデータの活用や技術革新の加速を目指す。

スタートトゥデイ工務店を存続会社、VASILYとカラクルを消滅会社とする吸収合併の形式で、合併後はスタートトゥデイ工務店へ権利義務を承継。VASILY、カラクルの事業はスタートトゥデイテクノロジーズの社内組織として発足する事業部に引き継ぎ、サービスを継続する(なおVASILYは2017年10月、カラクルは同年12月にスタートトゥデイの子会社となった)。

新会社の代表取締役には旧スタートトゥデイ工務店代表取締役社長の久保田竜弥氏と、旧VASILY代表取締役社長の金山裕樹氏が就任。久保田氏は代表取締役社長として「ZOZOTOWN」の開発やプライベートブランド販売サイトの事業を担当し、金山氏は代表取締役CIO(Chief Innovation Officer)として「WEAR」、「IQON」などの運営、新規事業の開発、スタートトゥデイ研究所などイノベーション創出を担当する。また旧カラクル代表取締役社長の大久保貴之氏は、執行役員として研究所福岡拠点のリーダーを務めるという。

今後は現在提供しているサービスの開発業務全般に加えて、スタートトゥデイ研究所によるR&D、テクノロジードリブンな新規事業の創造を行っていく予定。同社では「これまで感覚的に語られてきたファッションという分野を科学的に解明し、テクノロジーによって実用化することで、世界中の人がよりファッションを楽しむことができる世の中を目指します」としている。

なおスタートトゥデイテクノロジーズでは「7人の天才と50人の逸材」を募集する求人サイトも公開。機械学習や人工知能を専門とする研究員や、エンジニア、デザイナーなどを募る。最大7人の“天才枠”には1000万円から1億円、最大50人の“逸材枠”には400万円から1000万円の報酬が与えられるようだ。

ZOZOTOWN用の採寸ボディースーツをスタートトゥデイが無料配布(ただし送料はかかる)

ファッションECサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは11月22日、採寸用ボディースーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を無料配布すると発表した。初回無料、同一ユーザーの2回目以降の購入は3000円(税込)で予約申込が可能。ただし配送には、「送料自由」の試験導入結果を受けて11月1日より変更された「一律200円」の送料がかかる。発表当日の22日より予約受付を開始し、11月末ごろから順次配布される。

ZOZOSUITは、上下セットで着用し、スマートフォンをかざすことで体の寸法を瞬時に採寸できる、伸縮センサー内蔵の採寸ボディースーツ。スマートフォンとBluetooth通信で接続することで、寸法を計測し、データをZOZOTOWNアプリに保存することができる。スタートトゥデイが、ニュージーランドのソフトセンサー開発企業StretchSenseと共同で開発したという(StretchSenseには2016年6月にスタートトゥデイが出資を行っている)。

採寸データはZOZOTOWN、および同日発表され、11月末ごろスタート予定のプライベートブランド「ZOZO」での活用を予定。スタートトゥデイでは、計測した体型データの活用で、ファッションECの課題である「サイズの不安」を解消すべく、さらに商品検索機能やレコメンド機能の充実を図るとしている。なお、ZOZOで提供されるアイテムの購入には、ZOZOSUITでの事前の計測が必須となるようだ。

スタートトゥデイの時価総額が初の1兆円超え

日本企業で時価総額が1兆円を超えるのは全体の約3%程度だ。ファッションECの「ZOZOTOWN」などの運営で知られるスタートトゥデイは、8月1日の株式市場でその3%に仲間入りした。

8月1日のスタートトゥデイ株の終値は3395円で、それに発行済株式数を掛けあわせた時価総額は1兆580億円となった。スタートトゥデイの創業は1998年。創業から約20年で1兆円企業に成長したことになる。

「ところで時価総額1兆円って、どんなもんなの?」と思ったTechCrunch Japan読者のために比較すると、トヨタの時価総額は約20兆円で、ファッション業界の巨人ファーストリテイリングは約3.5兆円だ。

時価総額が1兆円付近の企業を並べていくと、大和証券、TDK、マツダ、住友化学、中部電力、東芝、ネクソンなどがある。他のインターネット企業と比較するとすれば、カカクコムが約3200億円、サイバーエージェントは約4300億円だ。

スタートトゥデイの2018年3月期1Qの決算資料によれば、売上高は前年同期比39.4%増の約294億円、営業利益は同59.3%増の約80億円となっている。なかでも主軸のZOZOTOWN事業は好調で、商品取扱高は約578億円にまで拡大。前年と比べると43.4%の伸び率だ。

TechCrunch Japanでは2017年3月、スタートトゥデイが子会社を立ち上げて東南アジアの投資を強化すると伝えていた。スタートトゥデイの株価推移は以下の通り。