米中貿易摩擦の影響で今年の世界スマホ出荷台数は減少するとの予測

調査会社Canalysが今年の世界スマホ出荷台数予測をアップデートした。それによると、2019年の出荷台数は前年比3.1%減の13億5000万台となる見込みだ。

この数字は、米国と中国の貿易協議の先行きの不透明性と、国家安全上の観点からトランプが先月、米国企業に対してファーウェイを含む中国デバイスメーカーが製造したキットの使用を禁じる大統領令に署名したことを受けたものだ。この大統領令によりGoogleはHuaweiへの主要なAndroidサービスの提供を中止したとのことだ。

「米国と中国の貿易協議をめぐる多くの不透明な要素、5月15日に署名された大統領令、そしてこれらに付随する動きにより、Canalysは先行きが不透明な点を反映させて出荷台数予測を下方修正した」とアナリストは書いている。

この予測は、Googleなどに現在認められている90日間の猶予が切れたら、ファーウェイとの取引制限が厳密に適用されるという仮定に基づいている。この猶予は2019年5月20日から8月19日までで、取引が制限されると世界第2位のスマホメーカーであるファーウェイは、短期的には新デバイスの展開が特に中国外で難しくなる。

「中国外に起因する要因がしばらく影響を与えるだろう」とアナリストは分析する。「米国と中国はゆくゆくはファーウェイへの圧力を緩和するための取引協定を結ぶだろう。しかしそれが本当に実現するのか、実現するにしてもいつになるのかは不透明だ」。

「マーケットの不確実性により、ベンダーが難しい状況の中で短期・長期的影響を最小限に抑える戦略を加速させる方向に動いているというのは特筆に値する。その戦略とは、例えば関税リスクヘッジのために生産拠点を他の国にシフトさせることなどだ。しかし米国はそのほかの国からの輸入商品にも関税をかけると最近発表していて、テック産業はしばらく対応に追われることになるだろう」とCanalysのVPであるNicole Peng氏は発表文の中で付け加えている。

Canalysはまた、ファーウェイが苦境に陥っていることで出てきた短期的チャンスを他のスマホメーカーがとらえるために資金注入を模索すると予想していて、アグレッシブな端末戦略と素早く生産を強化できる能力を持つことからそうしたスマホメーカーの中で最も恩恵を受けるのは韓国のSamsung(サムスン)だと予測している。

主要モバイル供給チェーンやファーウェイの縮小を和らげるためのチャネルにおける緊急時の対応計画が実行に移され、また5Gデバイスの展開加速により、2020年までには状況は少し落ち着いているだろうとCanalysはみている。

また、5Gや他のハードウェアのイノベーションが消費者の需要を刺激するとCanalys見ていて、スマホの出荷台数は地域によって差はあるもののグローバルでは2020年には成長路線に戻り、3.4%増の13億9000万台を予測している。

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(翻訳:Mizoguchi)

中国の2018年スマホ出荷台数は14%減

スマートフォンの数字があちこちで落ち込んでいる。しかし最近では特に中国で顕著だ。Tim Cookは世界最大のスマホ市場での需要の落ち込みが、Appleのガイダンス下方修正の主な要因とした。そしてピンチと感じているのはAppleだけではない。Canalysは今日、中国における2018年のスマホ出荷台数が大幅に落ち込んだとするレポートを発表した。

Canalysによると、2018年の中国のスマホ出荷台数は前年比14%減だった。出荷台数が前年割れとなるは昨年に続いて2回目だ。中国のスマホ出荷台数は5年以上急成長を続け、これにより中国は米国を抜いて第1位になった。だが昨年の出荷台数は3億9600万台で、2013年以来最も低い水準となった。

中国企業のHuaweiとVivoは共になんとか成長し、出荷台数はそれぞれ第1位と3位だった。OppoとXiaomiはわずかに数字を減らしたが、それでも第2位と4位の座を確保できた。トップ5に入った唯一の米国企業であるAppleは前年に続き第5位だったが、台数は13%減だった。一方で、この5社以外の数字は前年比60%減と大幅に落ち込んだ。

この数字が示しているのは、あちこちで馴染みのあるものだ。成熟したマーケットというのはアップグレードサイクルの減速を意味し、ユーザーはより長く同じ端末を使用する。しかしながら、さらに明白なのは、中国における経済成長の鈍化と購買力の低下の組み合わせだろう。

原文へ 翻訳:Mizoguchi)