個人がビットコインでアフリカのソーラー発電インフラに投資できるSun Exchange

南アフリカを拠点とする再生可能エネルギーのスタートアップであるSun Exchange(サン・エクスチェンジ)は、300万ドル(約3億2000万円)を調達してシリーズAラウンドをクローズし、投資額は合計で400万ドル(約4億3000万円)となった。

同社は、世界中の誰もが個人でアフリカのソーラーインフラに投資できる、ピアツーピアの仮想通貨(暗号通貨)に対応した事業を展開している。どういう仕組みなのだろう?

「あなたは個人としてSun Exchangeから購入したソーラーパネルを通じて、南アフリカの学校に電力を販売するのです」と同社のCEOであるAbe Cambridge(エイブ・ケンブリッジ)氏は説明する。「私たちのプラットフォームは、あなたのソーラーパネルの発電量を測定します。その電気を、あなたが指定した電力消費者が購入できるように調整し料金を徴収して、Sun Exchangeのあなたのウォレットに利益を振り込みます」と続ける。

参加するには、ソーラーセル1基あたりおよそ5ドル(約540円)かかる。取引はSouth African Rand(ランド)またはビットコインで決済する。

「私たちがビットコインを選んだ理由は、米1セントの100万分の1まで扱うマイクロトランザクションを可能にする全世界共通の支払いシステムが必要だったたからです」とケンブリッジ氏はTechCrunchの電話取材で話した。

彼はアフリカの再生エネルギーインフラを発展させようと、2015年にケープタウンに本社を置くこのスタートアップを共同設立した。「ソーラーの可能性は膨大だと気づきました。南アフリカだけでの話ではありません。アフリカ大陸全体です」とケンブリッジ氏。「必要なのは、アフリカをソーラーパワー化するための新しいメカニズムでした」。

国際エネルギー機関(IEA)によると、サハラ以南のアフリカの広大な土地には、およそ10億人が暮らしているが、電気が使えるのはその約半数に過ぎない(IEAのレポート)という。

このところ、Sun Exchangeの主要マーケットであり、その地域でも最高のインフラを誇る南アフリカは頻発する停電に悩まされている(Bloomberg記事)。

画像クレジット:Sun Exchange

Sun Exchangeのデータによると、同社には南アフリカ中の学校、企業、施設のためのソーラー発電プロジェクトに投資した会員が全世界に162名いるという。

Sun Exchangeの400万ドルのシリーズAをクローズした300万ドルは、ロンドンのARCH Emerging Markets Partners(アーク・エマージング・マーケッツ・パートナーズ)のAfrica Renewable Power Fund(アフリカン・リニューアブル・パワー・ファンド、アフリカ再生可能電力基金)からの投資だ。

この資金で、同社は新しい市場の開拓を計画している。「私たちは、サハラ以南の別の国々にも進出します。私たちのロードマップには、いくつもの明確なチャンスが記されています」とケンブリッジ氏は、Sun Exchangeが調査した市場のひとつであるナイジェリアを引き合いに語った。

ケニヤやナイジェリアといったアフリカ最大クラスの経済とテクノロジーの拠点では、豊富な資金を有するソーラーエネルギースタートアップ数社が事業展開している。東アフリカでは、M-Kopa(エムコパ)が家庭用のソーラー発電ハードウェアキットをクレジットで販売し、設置代金は携帯電話からM-Pesa(エムペサ)のモバイル送金を使って支払えるようにしている。このベンチャーは、Steve Case(スティーブ・ケイス)氏やRichard Branson(リチャード・ブランソン)氏を含む投資家から1億6100万ドル(約174億円)の支援を受けている。

ナイジェリアでは、Rensource(レンソース)が住宅用ハードウェアのビジネスモデルから、より大きな市場や商業施設向けのソーラー発電によるマイクロユーティリティーの構築にシフトしている。

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Sun Exchangeはソーラーパネルの設置や製造を行う他の企業とは異なり、資産を持たないモデルで運用されている。

「私たちは供給業者にはまったく依存していません。アフリカ大陸で事業をしているソーラーパネルの設置業者のほうから、私たちにアプローチがあります。その中で最良の企業と提携しています」とケンブリッジ氏。彼は2017年にベルリンで開催された米国TechCrunchnのStartup Battlefield(未訳記事)でそのビジネスモデルを紹介していた。

「私たちは、ソーラーパネルのユーザーをソーラーパネルのオーナーやソーラーパネルの設置業者につなぐマーケットプレイスなのです」。

Sun ExchangeでCEOを務めるAbe Cambridge(エイブ・ケンブリッジ)氏

Sun Exchangeはソーラーパネルの販売マージンと、購入と発電したキロワット時あたり手数料から利益を得ていると、ケンブリッジ氏はいう。

アフリカでの事業拡大に加え、同社は中南米と東南アジアでの中長期的な展開も視野に入れている。

「これらの地域も、展開の早さと、ソーラーが牽引する環境の改善といったソーラーエネルギーの恩恵を大きく得られる場所です」とケンブリッジ氏は話していた。

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(翻訳:金井哲夫)

パナソニックはTeslaへのバッテリ供給だけではなく、自動運転技術での協業にも意欲

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パナソニックは、バッテリ事業でのTeslaとの協業関係が実りあるものになったことを受けて、Teslaとの更に近い協業関係を望んでいる。この日本企業は、Teslaにセンサの共同開発を提案することで、その自動運転システムの製造に食い込むことを考えている。

パナソニックの津賀一宏社長は、木曜日(米国時間19日)に配信されたロイターによるインタビューの中で、Teslaの自動運転技術への意欲を表明した。

「Teslaの自動運転システムに大変関心を持っています」と、津賀社長はロイターに語った。「私たちは両者の協働関係をデバイス、例えばセンサーの共同開発を通して、拡張していけたらと思っています」。

現在パナソニックは、Model SならびにModel Xを含む、Teslaの車載バッテリーを独占的に供給するパートナーである。同社はもうすぐ発売されるModel 3に対する供給も行う。Teslaはこのモデルを初年度に50万台売ることを目標にしているため、供給量の大幅な増加が要求されることになるだろう。

パナソニックはTeslaのGigafactoryの共同出資者であり、50億ドルの設備のうち16億ドル分を負担している。そしてこの先Teslaのソーラーエネルギー製品で、さらに緊密な協働作業を行う予定である。同社はまた、CMOSイメージセンサーも製造していて、現在は高速で移動する物体を、通常現れる歪を起こすことなく検知する新しいバージョンの開発に向けて、取り組みが進められている。

イメージセンサーは自動運転車の基幹部品の1つである、この精度が上がれば上がるほど、写真イメージ、レーダー、そしてライダー(LiDAR)センサー情報を統合して得られる統合センサー情報の質が向上する。

パナソニックとセンサー技術でチームを組むことで、テスラはその部分の技術を更に社内に取り込むことができるようになる、この動きは、より安いコストで高度な統合システムの構築を狙う、元Googleの自動運転車プロジェクトのWaymoの戦略に倣ったものだ。

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(翻訳:Sako)