海外現地ツアー予約サイト「タビナカ」がエンジェル投資家らから資金調達——累計調達額は3億円

海外の現地ツアー予約サイト「タビナカ」は11月12日、エンジェル投資家らを中心とした第三者割当増資を実施したことを発表した。今回の調達金額は非公開だが、これまでの累計調達金額は3億円となる。

タビナカは、日本語ガイド付きの海外現地オプショナルツアーやアクティビティが予約できるサービス。ビーチアクティビティやナイトマーケットの探索といった、現地ならではの楽しみは、言葉が通じない地域だと、個人で動くにはちょっと不安なもの。タビナカでは、そうしたツアーやアクティビティも各地で提供している。

現在タビナカではバリ島、セブ島、台湾、カンクン、アメリカ・ネバダ州、バンコクの6カ所に子会社をもち、現地ツアーの商品開発・販売を行う。提携先のツアーも含めて、サイトでは、世界200都市、6000以上のツアーを紹介している。

タビナカは2014年1月の設立。タビナカでは当初、個人の旅行者と海外在住の日本人をつなぐ、CtoCの旅行ガイドサービスを提供していた。ところが、タビナカ取締役の今野珠優氏によれば、「利用が伸びるにつれ、質の担保ができなくなってきた」とのこと。そこで、2018年2月に現地ツアー会社の商品と個人客をつなぐBtoC、および自社開発商品を提供するDtoCのサービスへとシフトした。

現地法人を抱え、DtoC型でサービスを提供する理由について、今野氏はこう述べる。「ツアー商品の開発から提供まで一貫してサービスを行うことで、50〜70%というこの業界では高い粗利を確保できる。また、ツアーの備品である船や車両なども自社で保有することによって、取り回しがきき、顧客の満足度が非常に高くなる」

例えば「足が疲れたから、これからマッサージに行きたい」「お腹がすいたので(またはあまりすかないので)食事はこういうところに行きたい」といった、状況や人によって異なるニーズに即時対応できるのも、直営ツアーならではのメリットだと、今野氏は言う。

ほとんどプライベートツアーのようだが、実際の利用では「他の人が行っていて人気の場所に自分も行きたい、という人が8割。残りの2割が個人の趣向で行き先を決めたい、という人」だとのこと。利用者は「海外が初めてで日本語以外での会話は不安」という人と「道路や空調のコンディションなど、快適さにお金を使いたい」という旅の熟練者の2パターンに大きく分かれるという。

今野氏は、ニーズに合わせてツアーの内容が変えやすいように「ツアーの一部がカスタマイズできるような商品開発も考えている」と話している。

今回の資金調達はシリーズAラウンドとなるタビナカ。前回のシードラウンドと今ラウンドに参加した個人投資家、事業会社は以下の顔ぶれだ。

個人投資家
・佐藤裕介(ヘイ 代表取締役社長)
・菅下清廣(スガシタパートナーズ 代表取締役、国際金融コンサルタント)
・高山健(楽天 元最高財務責任者)
・千葉功太郎(Drone Fund General Partner)
・那珂通雅(シティグループ証券 元取締役副社長、ストームハーバー証券 元取締役社長)
・Paul Kuo(エジンバラ エンタープライズ CEO、クレディ・スイス証券 元最高経営責任者)
・藤野英人(レオス・キャピタルワークス 代表取締役社長・最高投資責任者)
・吉田行宏(アイランドクレア 代表取締役、ガリバーインターナショナル(現IDOM)元専務取締役)

事業会社
ソースネクスト
ベクトル

調達資金により、タビナカでは新規法人設立や現地法人のM&Aにより、海外拠点設立をさらに進めるとしている。また、これまではユーザーの予約申し込み後に行っていたガイドや設備の確保を、ツアー在庫を適時管理できるシステムを開発することで、予約と同時に確保、購入確定できるようにするということだ。今野氏は「在庫適時管理システムを開発することで、他のツアー会社へ在庫を卸す、BtoBの在庫やり取りも可能になり、ユーザビリティの向上も期待できる」と述べている。

このところ旅行に関するサービスの動きが目立つ。LINEがベンチャーリパブリックと運営する「LINEトラベルjp」のほか、バンクが手がける「TRAVEL Now」や「ズボラ旅」など、スタートアップからも新サービスが登場。安さ以外に、新たな切り口でサービスが提供されるようになっている。