イベント一元管理プラットフォーム運営のbravesoftが約4億円調達、キャッシュレスや整理券など機能拡充を進める

bravesoft(ブレイブソフト)は3月26日、第三者割当増資とデットファイナンス(借入)によって総額約4億円の資金調達を発表した。第三者割当増資の引受先は、ベネッセホールディングス、ディップなどを含む複数の事業会社。

同社は、初期費用30万円、月額10万円でイベントの申込管理やライブ配信、公式アプリ構築などを一元管理できるプラットフォーム「eventos」(イベントス)を開発・展開。そのほかにも「ボケて」や「TVer」「首相官邸」「31 アイスクリーム」など800件以上のアプリの開発実績がある。

eventosは、チケット・来場申込、情報収集、マッチングなどイベント前に使える機能のほか、スケジュール、ガイドマップ、待ち時間といった、イベント当日のストレスを軽減する機能、スタンプラリー、リアルタイムアンケートなど、イベントを盛り上げる機能、イベント後のアンケート、分析など、次回のイベントをより良くするための機能を備えているのが特徴だ。もちろん、ライブ配信によるオンラインイベントを開催することも可能となっている。東京ゲームショウや東京モーターショーなどでの運用実績があり、これまで100件以上のイベントで、累計100万人以上が利用したという。

同社今回の調達した資金を、無料版、キャッシュレス対応、整理券、高度な分析、グローバル対応など、ユーザーにニーズが高い機能の開発を進めるという。

ディップが完全無料の学生向け教育サービス「TRUNK」を関連会社化、同社のビジネスモデルとは?

写真左より、TRUNK CEOの西元涼氏、同CTOの布田隆介氏

求人情報サイトなどを運営するディップは、3月13日に学生向けの就業トレーニングサービスを提供するスタートアップのTRUNKを持分法適用関連会社化すると発表した。出資比率や取得金額などは非公開。

ところで、このTRUNKというスタートアップを知っているという読者は少ないだろう。彼らはこれまで外部調達などを行っておらず、メディアへの露出も極端に少なかったからだ。そこでTechCrunch Japanでは、TRUNKの代表取締役である西元涼氏、同CTOの布田隆介氏に同社のビジネスモデルを聞いた。

企業が提供する生のトレーニングを受けられる

TRUNKは学生に向けてエンジニアやデザイナーなど12職種の養成コースを提供するスタートアップだ。コースは現在12種類あり、それらはすべてオフラインで提供される。また、コースの中には企業との提携によって提供するものもあり、それらのコースを受講する学生は実際にその企業のオフィスに行って教育を受けることになる。そのため、TRUNKは単なる教育コンテンツだけでなく、「職業体験」の機会を学生に与えていると言える。

加えて、TRUNKは学生のために就職活動で使えるWebレジュメも発行。コースを修了することで、学んだことを「自分がもつスキル」としてアピールすることができる。提携済みの企業へのインターンも準備しており、学ぶだけではなく、就職することにも重点を置いている。一方の企業は、TRUNKと手を組むことで自分が提供する教育コースに来たやる気のある候補者を効率的に探すことができる。

TRUNK代表取締役の西元涼氏は、「TRUNKの提携先企業には2つのタイプの企業がある。1つは、インターンに応募してくる学生の数は多いが『少人数のやる気のある学生と会いたい』という企業。もう一方は、そもそも知名度がなくインターンの数が集まらない企業です。TRUNKはそれらの企業の課題を解決できる」と話す。

「学生完全無料」という信念

そんなTRUNKの最も大きな特徴は、同社は学生に対してこれらのコースを完全無料で提供しているという点だ。収益源は、提携先企業から受け取る年間180万円のサービス利用料だ。聞けば、「完全学生無料」というTRUNKの創業当初からの信念は、西元氏の原体験に基づいているという。

西元氏が学生のとき、父親が経営する企業が破綻。西元氏は自身で学費を負担しながら大学に通った。「生まれた環境に関係なく、やる気次第で誰でも活躍できるサービスを作りたいと思った」(西元氏)

この信念を守るため、これまでのTRUNKはあえて「外部資金を入れない」という選択をした。今回のディップによる株式取得が同社にとって初めての外部調達だ。

もちろん、学生にも月額で課金するほうがマネタイズ面では良い。しかし、外部からの圧力などで信念を曲げたくなかったとTRUNK取締役CTOの布田隆介氏は話す。

「創業当時のメンバーは西元と私を含め3名。当初は西元だけが正社員で、他のメンバーは副業社員だった。会社の売上が上がって給料が払えるようになったら徐々に2人を正社員化すると最初から決めていた」(布田氏)

TRUNKの創業は2015年7月。現在では提携企業数はmixi、GMO、エウレカなど約50社、受講する学生数は年間5000人にまで成長した。「ビジネスもやっと安定し、『お金さえあれば解決できる課題』が増えてきたため、外部調達を行うことにした」(布田氏)

今回新たな資金を調達したTRUNKは今後、受講できるユーザーの対象年齢を29歳にまで広げたり、オンライン講座を導入することで遠隔の学生でも教育を受けられるようなサービス開発に取り組むという。また、自治体との連携で主婦層への職業訓練を提供するサービスもはじめる予定だ。