ナイキがキッズシューズのサブスク「ナイキアドベンチャークラブ」開始

ナイキは米国時間8月12日、新学期向けの買い物に間に合うように、ナイキアドベンチャークラブ(Nike Adventure Club)という名の、子供向け「スニーカークラブ」を立ち上げて、サブスクリプションサービス市場への参入を公式に発表した。この新しいプログラムは、急成長する子供の靴のニーズに追いつくのに苦労している親たちの買い物をより簡単にするために、特別にデザインされたものだ。子供を店に連れていって、気に入るものを次々に試させる代わりに、この新しいナイキアドベンチャークラブは、毎年4足から12足の靴を米国内どこにでも送ってくれる(送られてくる数はサブスクリプションのオプションによる)。

Clubが靴を提供するのは、靴のサイズ4Cから7Y(10センチから24センチ)の子供たち、あるいは2歳から10歳までの子供たち向けだ。

クラブのサブスクリプション価格は、90日ごとに新しい靴が送られてくる月額20ドルからスタートする。月額30ドルを支払えば、子供は1年に6足を受け取れる。そして毎月50ドル支払うことで、子供は毎月新しい靴を手に入れることになる。まあこれは、毎日スニーカーを履いてスポーツをしたり、靴を短期間で破壊したりすることが多い最も活発な子供を除けば、過剰なオプションだろう。

ただし、最低限の年4足でも、年長の子供を持つ親たちには少々多すぎることもある。

American Orthopedic FootAnkle Society(米国の足の外科学会)によれば、16カ月未満の幼児は、2カ月ごとに足のサイズの半分以上が成長して行く。16カ月から24カ月の間は、3カ月ごとに平均で足のサイズの半分程度が成長する。そして24カ月から36カ月までは、足の半分分の成長が4カ月ごとに行われる。その後成長は遅くなっていく。

3歳以上の子供は、4〜6か月ごとに足のサイズの半分程度が成長していく。すなわち、年長の子供の中には、過度の磨耗や破れがなければ、年に靴を2回だけ交換すれば済むものもいるということだ。

とはいえ、ナイキは保護者に対して、任意の時点でサブスクリプションをアップグレードしたり、ダウングレードしたり、場合によって停止することも認めている。

サインアップすると、親たちは、子どもたちと一緒に100種類以上のナイキシューズとコンバースシューズを選択できる電子メールを受け取る。そしてどの靴を受け取りたいかを選べば、子供の名前が書かれたボックスに入れられて靴が自宅に届くのだ。また、このボックスには、両親が子供と一緒に行うアクティビティやゲーム、ステッカー、そして小さな贈り物に満ちた「アドベンチャーキット」も同梱されている。このキットは、非営利団体のKaBoomと協力して作成されているものだ。KaBoomは、子供たちが健康的なライフスタイルを推進できることに焦点を合わせている団体だ。

靴のサイズが間違っていた場合には、配達から1週間以内の交換は無料だ。

おそらく、このプログラムの最も優れている点はリサイクルコンポーネントだ。

ナイキは年に2度、料金支払い済のバッグを送ってくる。親たちはこれに子供が履いた靴を入れて送り返すことができる。こうした靴は状態が良いものは寄付に回され、そうでないものはNike Grindを通じてリサイクルされる。Nike Grindはゴム、フォーム、皮革、そして生地部分を分離し、顆粒状にした上で、新しい履物、洋服、そして遊技場の床材などの新しい製品へと生まれ変わらせるプログラムだ。

「ナイキアドベンチャークラブサイトは、単なる最初の子供向けスニーカークラブというだけでなく、ナイキのなかでもユニークな位置を占めるものとみなしています」と開始声明の中で語るのは、ナイキアドベンチャークラブ担当副社長のDave Cobban(デイブ・コバン)氏だ。「子供たちに幅広い選択肢を提供するのと同時に、彼らのために買い物をするご両親にとっての面倒な点を取り除きます」。

ナイキはこのプログラムを、Easy Kicksと呼ばれていた2017年からテストしてきた。同社によれば、テスト会員は1万人に達したという。

ナイキは、子供向けのサブスクリプションを開始した最初の企業ではない。そして大手の小売業者たちも気付いてきた。今年Foot Lockerは、子供服のサブスクリプションを行うRockets of Awesomeへの少額出資を行いWalmart(ウォルマート)は子供服のスタートアップのKidboxと提携した

Stitch Fixは、子供向けのスタイリングサービスも提供する。また、Amazonはサブスクリプションなしで購入前に試着できるショッピングサービスPrime Wardrobeを提供している。Amazonの場合は、両親が自宅での試着用の、洋服、靴、そしてアクセサリーをボックスに詰めて取り寄せ、かつ簡単に返却できるようにするオプションを、男の子用、女の子用それぞれに提供している。

ナイキアドベンチャークラブは本日開始されるが、新規顧客の登録はウェイトリストを使うことで簡便化されている。

【Japan編集部追記】英語版の規約を読む限り、「We provide this Platform for use only by persons located in the United States.」とあるので、現段階では米国内に限定されたサービスのようだ。

[原文へ]

(翻訳:sako)

NIKEアプリ日本版が登場!デジタル担当VPが語る“店舗・アプリ連携戦略”

ナイキジャパンは12月11日、限定商品やユーザーに合わせた商品が買えるほか様々な機能を実装した「NIKEアプリ」日本版の提供を開始した。iOSとAndroidのどちらにも対応した同無料アプリはすでにアメリカやヨーロッパを含む計7ヵ国で提供されている。

NIKEアプリは同社のトレーニングアプリと連動し、各ユーザーに合わせた商品を提案。アプリ起動後、性別やスニーカーのサイズを選択肢、興味のあるスポーツ(僕の場合はスケートボード)などを選択することで、一人一人のニーズに合わせて情報を紹介し、よりパーソナライズされた購買体験を提供する。

  1. Interest_Selection

  2. Womens_Member_Shop

  3. MyShop

公開に合わせ展開を始める限定サービスや体験にはメンバーのみがアクセスできる「メンバー・ショップ」やナイキのエリートアスリートたちが提供するエピソード、アドバイスなどのコンテンツがある。プロダクトの誕生秘話やルックブックなども興味深い。

ナイキジャパンは同アプリを通じてナイキプラスメンバーの「実店舗やデジタルリテールでの体験を大きく高める」各種サービスなども提供する。

ちなみにアプリ公開後に展開する限定プロダクトには「ナイキ ズーム フライ SP」や「ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%」、「ナイキ エア ヴェイパーマックス 2019」などのスニーカーが予定されている。

プレゼンを行うマイケル・マーティン氏

アプリ公開に合わせて来日していたナイキのグローバル・デジタル・プロダクツ担当ヴァイスプレジデント マイケル・マーティン氏はローンチ前日の12月10日、プレス向けにプレゼンテーションを行い「ナイキは常に“アート”に長けていた。だがこれからはより“サイエンス”を取り込んでいく必要がある」と同社のデジタル戦略について語った。

マーティン氏は「私たちのサービスモデルは非常にシンプルだ。それは、それぞれの顧客に“ナイキに愛されている”と感じてほしいということだ」と話した。それを実現するには、買い物が「モバイルファースト」となった今、「フィジカルとデジタルの連携」「シームレスなカスタマージャーニー」「素早さ」「利便性」など「様々な要素が求められている」と同氏は加えた。

マーティン氏は「フィジカルとデジタルの連携」の重要性を力強く説いていたが、それもそのはず、本国アメリカなどで同社はアプリと実店舗を連動させた買い物体験をファンに提供し始めている。プレゼン後、その連携の最新事情に関してマーティン氏に詳しく話を聞くことができたので、その内容をみなさんにも共有したいと思う。

あらかじめ説明しておくと、ナイキは2018年7月、「Nike by Melrose(ナイキ・バイ・メルローズ)」という新コンセプトストアをロサンゼルスにオープンしている。同社が「デジタルとフィジカルが融合した実験的なリテール」と説明しているこの店舗では、アプリでスニーカーの試着を予約することが可能だ。客はスマートフォンを使い予約したスニーカーが収められているロッカーを開けることができる。

さらに、同社は2018年11月、ニューヨークに「House of Innovation 000(ハウス・オブ・イノベーション 000)」と名付けられた新フラッグシップストアをオープン。アプリの使用が前提とされている同店舗ではスタイリストからのアドバイスの予約や支払いまでアプリで完結することが可能だ。上海にも同様の店舗が展開されている。

アプリの登場は実店舗の来客にどのような影響をもたらしたのだろうか。マーティン氏は「ネガティブな」影響は決してないと答え、「私たちが求めているのは顧客に来店し続けてもらうことではない。彼らの実店舗での経験をより“豊か”にすることだ」と述べた。

「ナイキ製品の購入にいたるまで、顧客は平均して7日以上検討を続ける。それはデジタルとフィジカル双方で行われる。Nike by Melroseのオープン後、その地域のオンライン販売は伸びた。そしてNIKEアプリはその店舗の来客数を増やすことに貢献した」(マーティン氏)

アプリを使いメンバーのPASSをかざすことで「NikePlus Unlock Box」という自販機のようなマシーンからNikePlusメンバー特典を受け取ることができ、これをきっかけに平均して7分に一人のペースでNike by Melroseには来店があるそうだ。

NIKEアプリで表示できるPASS

2018年7月にはNike by Melroseのような「Nike Live」コンセプトストアが2019年春以降、東京にもオープンすると発表されているが、マーティン氏はそれ以上の詳細については語らなかった。

だが同氏は「ナイキはデジタル・フィジカルの連携において最先端にいる。特に日本のような重要なマーケットでは常に最先端にいることが重要だ」と加えた。

「私たちの企業としてのゴールは、顧客の願望・目標の達成に向け可能な限りのサポートをすること」「NIKEアプリでは他にはない経験を提供できる。私たちが目指すのは顧客にプロのアスリートと同じレベルの体験を提供すること。プロのアスリートと同じ利益や特権を提供することだ」(マーティン氏)