GraphPathの「サービスとしてのナレッジグラフ」は大企業へのAI導入を狙う

現在世の中は、AIと機械学習スタートアップの誕生には不足していない。しかし、まだ残されている最大の機会の1つは、AIを皆が、特にビジネスに、活用できるプラットフォームへと変えることだ。

近年、テクノロジー業界ではナレッジグラフ(知識グラフ)という名で知られるものと関連する形で、新しい分野が開発された。これは、特にセマンティックウェブとの関係で、長い期間知られていた概念だ。しかし最近までは、ナレッジグラフの開発と管理を一般化しようとする努力は、それほどなされてはいなかった。

だが、新しい会社GraphPathが、今そこに変化を起こそうとしている。親会社のAunken Labsによって創業された、スタートアップのGraphPathは、既にAIで長い歴史を持っている。創業者のDemian Bellumioは、10年以上にわたり機械学習コンポーネントを持つハイテク企業を経営してきた。もしこのアイデアを実現する方法を知っている者がいるとすれば、それは彼なのだ。

GraphPathは本日2つの主要なアナウンスと共に、公の場に姿を表した。1つ目のアナウンスは、Socialmetrixの買収である。

Socialmetrixは「多言語による社会分析と聴取空間のリーダー」と呼ばれている。GraphPathは、これを活用して、米国とラテンアメリカの企業に対する展開を加速する。Socialmetrixは、2011年に英国に拠点を置くDMGTから少額の投資を受けている。

第2のアナウンスとしては、GraphPathは、創業以来どのくらいの資金を調達しているのかを公表していないものの、そのウェブサイトに世界的に認められた顧問や投資家たちを掲載したということだ。AragoのChris Boos、そしてSentient TechnologiesのAntoine Blondeauの2人は、それぞれヨーロッパと米国における最も有名なAIの専門家たちだ。さらに、Prelude FertilityのMartin Varsavsky(過去にFon、Jazztelに在籍)、Higher Ground LabsのAndrew McLaughlin(betaworks、Google)、そしてIngenuのBabak Razi(Ostendo、Broadcom)も名を連ねている。

ナレッジグラフという言葉は、AlphabetのCEO、Sundar Pichaiが投資家への説明で頻繁に引用するものだ。先の5月に開催されたI/Oカンファレンスでも、新しいビジュアル検索ツールであるGoogle Lensを差別化するための要素として言及されている。

しかし、つい最近まで、それについての合意された定義を生み出そうとする試みはなされていなかった。そこで、昨年末にオーストリアのヨハネス・ケプラー大学リンツ校の研究者たちが、正式な定義を提出した:「ナレッジグラフは、獲得した知識を、オントロジーを使って統合し、推論を適用することで新しい知識を導き出すものである」。

GraphPathは、実際にこの定義を借用して、サイト上で用語を説明している。しかし、そこでの説明はさらに一歩進んでいて、彼らのコンセプトは「ナレッジグラフ・アズ・ア・サービス(Knowledge Graph-as-a-Service)」という名前で呼ばれている。これはグラフ・コンピューティング・フレームワーク、ウェブとAPIアクセス、機械学習ワークフロー、そしてクラウドまたはオンプレミスを対象とした展開、といった多くのビルディングブロックを含むものだ。

Bellumioによれば、大規模なグラフデータベースの展開、機械学習、そしてグラフ分析プロジェクトに関する彼らのチームの専門知識に基いて、このアプローチを開発したということだ。

GraphPathはSaaSとして提供されるため、顧客自身のソリューションと比較した時に、迅速かつ信頼性の高い実装を可能にする。また顧客はコンプライアンスの要求に従って、クラウドあるいはオンプレミスのソリューションを選ぶことができる。

GraphPathは、大きなデータを使用する大企業を対象にしている。たとえばそれは、携帯電話の基地局のデータや、携帯電話が基地局に接続した時にシステムが生成するデータに適用することができる。ユーザーの観点からは、課金履歴、アプリの使用状況、通話記録、ローミング料金などが含まれることになる。そして更には、特定のエリアの周辺で生成される、ソーシャルメディアネットワークから収集されたセンチメントデータなども含むこともできる。例えば都市のダウンタウンエリア周辺の、高価値の基地局クラスターから集められたそうしたデータを、ネットワークデータやユーザーデータと比較することができる。

つまり、例えば、センチメントデータが競合相手より20%以上悪い地域内で、ドロップコールの割合が最も高い基地局のリストを取得することができる、ということだ。

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(翻訳:Sako)