米国カリフォルニア大学バークレー校(UC Berkeley)のJennifer Doudna(ジェニファー・ダウドナ)教授が、CRISPRテクノロジーの共同開発者であるEmmanuelle Charpentier(エマニュエル・シャルパンティエ)教授とともにノーベル化学賞を受賞した。 TechCrunchは9月に開催したTechCrunch Disrupt 2020で、ダウドナ教授にCRISPRテクノロジーと新型コロナウイルス対策への応用について詳しく話を聞く機会があった。またダウドナ教授はこのテクノロジーが医学全般、ことに将来のパンデミック対策として役立つ可能性についても強調した。
ダウドナ教授は以下のように説明している。
CRISPRテクノロジーで最も興味あるのは、現在の新型コロナウイルスだけでなく、将来現れるかもしれない別のウイルスも容易に検出ターゲットとすることができる点です。
私たちはすでに新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスを同時に検出できるようにする戦略で研究を進めています。 これ自身重要な意味を持つのは明らかですが、CRISPRはプログラムを書き換えて別のウイルスをターゲットとするよう素早くピボットすることができます。
これは多くの人が留意しなければならない点だと思いますが、ウイルス性のパンデミックがまったく消え去るということはありません。現在の新型コロナウィルスは将来のパンデミックに対する警告と考えるべきでしょう。私たちは将来の新たなウイルスによる攻撃に対する防衛体制を科学的に整えておくことが必要です。
最近の応用について考えると、CRISPRは新型コロナウイルスの検査体制を飛躍的に拡充できる可能性がある。このテクノロジーはスピードや信頼性を含め、検査の本質を根本的に変えるかもしれない。第一線で活動する医療専門家、医療機関の能力を大きく拡大するだけでなく、パンデミックへの対処体制にも革命をもたらす可能性がある。
ダウドナ教授は以下のようにも述べている。
私の経験からいって今年中にCRISPRを応用した新型コロナウイルスの検査方法が提供できると思います。当初、このテストには病院等の検査室で行われるでしょうが、医療の第一線におけるCRISPRの検査を実現すべく、カリフォルニア大学バークレー校のInnovative Genomics Institute、サンフランシスコ校のGladstone医療センターなどと共同して開発を続けています。 これは病院だけでなく介護施設や寮などあらゆる場所で検査に利用できる小型のデバイスとなるはずです。唾液や綿棒で拭ったサンプルを使った迅速なテストができるようにしたいと考えています。
ダウドナ教授へのインタビューの詳しい記事はこちら。教授はCRISPRについて感染蔓延に対する応用面だけでなく。開発の背景や意義について詳しく解説している。
カテゴリー:バイオテック
タグ:新型コロナウィルス、COVVID-19、ノーベル賞、CRISPR
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)