Googleは、自らデザインし製造を手掛けた新しいPixelとPixel XLスマートフォンで、そのハードウェアに対するアプローチを大幅に再考した。またそのデバイスの売り方も、同時に新しいGoogle Shopで再考中だ。
この秋にはGoogleはPixel、Chromecast Ultra、Daydream View VRヘッドセットを発表し、顧客にそれらのデバイスで何ができるかを見せて販売を促進するために、同社は北米カナダのBest Buy店内に、ストア内ストアをオープンした。
イベントでPixelを発表したとき、Googleは同時にGoogle Wifi、Google Home、Daydream Viewの初お披露目も行った。Googleはその際にその新しい機器を試すことができるようにニューヨークに一時的なExperience Store(体験店舗)を用意することも発表した。だがカナダにオープンしたGoogle Shopは一時的なものとしてはデザインされていない;Googleはそこを現行のそして将来のデバイスのためのショウケースとして期待しているだけはなく、デバイスのユーザーたちのためにコミュニテイのような役割を果たす場所にしようとしているのだ。
どこかで聞いたような話だって?それはそうだろう – Google Shopは一般に解放された様々なアクティビティを用意している、これはAppleが運営しているインストアプログラムと類似したものだ。内装も似通っているが、明らかに審美的にはGoogleテイストである。明るい木目調とグレーの布地が遊び心のヒントに満ちた(Google調の)明るい色と組み合わされている。ここはショップ内ショップであるため、空間は貴重である、しかしGoogleはこの限られた空間を特製のモジュラー家具を使って活用している。立つ場所が少ない時には重ねられ、例えば学生たちの小さなグループが詰めて座ったりするときには簡単に並べられるようなものだ。
プロダクトはグループごとにまとめられているが、組み合わせたときに意味があるもののために特別な場所も用意されている、例えば;ChromecastとPixel、あるいはPixelとDaydream Viewといった具合だ。ダイヤルで制御できるマルチスクリーンがスペースの一角を占めていて、来場者たちは大画面でGoogle Earthを楽しむことができるし、ホリデイシーズンのスペシャルイベントではサンタを追跡したりHangoutをすることもできる。
「人びとがやってきて、発見し、遊び、楽しむのを見るのが大好きです。それがたまたまテクノロジーを使っているというだけで」と話すのは、GoogleのリテールマーケティングディレクターのJanell Fischerだ。「なので私たちは本当に、色々な没入型の体験を重ねようとしています、プロダクトやプロダクト機能の直接的なデモもありますが、より探求的で楽しいものも用意しているのですよ」。
と言いながら、Fischerは「Portal」を紹介した。上で述べたインタラクティブマルチスクリーンを使って、顧客をGoogle Earth上で飛行させたり、太陽系への旅へ誘ったりするものだ。GoogleはまたYouTuberたちを招いて特別ワークショップやセッションを行っている、その中には、クリスマスをテーマにした不格好なセーター(ugly sweater)を自作するTheSorryGirlsによるデビューイベントなども含まれている。
Fischerは、この空間をこうしたイベントや「グーグルガイド」が行うプロダクトチュートリアルに向けて「超プログラマブル」に仕上げたと語った。なおグーグルガイドとはGoogleと提携したフルタイムスタッフで、Best Buyのスタッフではない。例えば「Google Assistantを使って行うホリディシーズン旅行計画」などがチュートリアルの例として挙げられる。そしてガイドは同時にもっと日常的なタスクに関する手助けを行うこともできる、例えば基本的なデバイス操作などだ。
Googleはまた英国にDixonと協力して3店舗を出店していたが、Fischerによれば、Google自身のハードウェアデバイスの発売を受けて、エクスペリエンスの全てを再デザインしたということだ。Dixonの店舗は、ソフトウェアとサービスに焦点が当てられていた、とFischerは語る、しかしハードウェアの登場により、それらをどのように組み合わせて利用すれば良いのかを紹介するという点に焦点が当たり、促進されるようになったのだ。ここでも、これはAppleのアプローチに似たやり方に聞こえる – 実際Fischerも3年前にGoogleに入社する前はAppleのリテール部門で働いていたのだ。Googleによる物理的な小売へのアプローチはしかし、増加し進化するハイパーローカル要素(小さなコミュニティや地域の特性に考慮した要素)を取り込むもののように思える。
「このスペースの素晴らしいところは、新しいプロダクトが発表されたらすぐにアップデートを行うことができるところです、デジタルコンテンツも素早くアップデートすることが可能なので、このスペースに特化したPortal向けの新しいアプリも作っていきます」とFischerは説明した。「私たちはここに来店する皆さんから多くのことを学んでいます、そして彼らにコンテンツが受け入れられるところを見たいのです」。
ローカルな企画を超えて、Best BuyのそれぞれのGoogle Shopは、それぞれの店舗が存在する街にむけて、カスタマイズされたデジタルコンテンツを提供することができる – たとえばここでは、店舗が存在するトロントの郊外を示す「Mississauga」という大きなデジタルサインがPortalを飾っている。
小売店の存在は、プレミアムモバイルデバイスの大きくて忠実な顧客ベースを構築するためのキーとして大切なものだ。そしてそれは以前のNexusプログラムの際にはGoogleが持っていなかったものである。Google Shopは、そうした活動へのよいスタートを切ったように見える。なぜなら明らかに着手細部へのこだわりがたくさんあり、今後小売を前に進めるためのアプローチを進化させるためにフィードバックから学ぼうという意志を持っているからだ。
アプローチは有望だが、少なくとも今のところ、これは英国とカナダに限定されているようだ。「私たちは、現在米国では何もする予定がありません」とFischerは私に語った。しかし、この投資と彼らの気の回し方は、これがより大きな小売計画のプロトタイプであることを示唆している。
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(翻訳:Sako)