Pinterestに商品をバーチャルに試せる機能が登場した。まずはリップだ。エスティ ローダー、Sephora、ベアミネラル、ニュートロジーナ、NYX Professional Makeup、イヴ・サンローラン・ボーテ、ランコム、Urban Decay from L’Oréalなどの製品を、購入前に試すことができる。この機能を使うには、まずPinterestの検索でスマートカメラの「Pinterestレンズ」を開く。そして「バーチャルトライ」をタップすると、さまざまなカラーのリップを試すことができる。製品を購入するには、上へスワイプするだけだ。

Pinterestの検索エンジンに「マット・リップスティック」や「レッド・リップ」など、リップに関連する語を入力して、この機能を利用することもできる。
Pinterestによれば、この機能に使う写真には美肌などの効果は適用されないため、実際の自分にリップが似合うかどうかを試せるという。さらにこの機能は肌の色の選択機能と統合されているため、ユーザーは自分の肌の色に合うリップを購入できる。
メイクやビューティーはInstagramやYouTubeなどのプラットフォームで人気のトピックだが、Pinterestもコスメやケアアイテムを購入する人々がよく利用するプラットフォームだ。Pinterestによると、米国で毎月5200万人がビューティー関連コンテンツを検索し、エンゲージしているという。
GfKの2018年の調査によれば、コスメやケアアイテムにピンを作成するユーザーの87%が、製品の購入を前向きに検討する際にPinterestを見るという。また、ユーザーは定期的にPinterestを見て、「グロッシー・リップ」「ピンク・リップ」といった定番リップや、「オンブレ・リップ」(濃淡2色使いのリップ)「ブラック・リップスティック」といったトレンドリップなど、具体的なリップのタイプを探す。これらはいずれも、2019年の検索上位のリップだ。
バーチャルトライをリップから始めたのは、最も多く検索されるビューティー関連アイテムのひとつだからだと、Pinterestは説明している。ただし、ほかのメイクアイテムに比べるとリップのバーチャルトライは開発が容易だったからということもあるはずだ。
Pinterestは、将来的にはリップ以外の製品やカテゴリーも試せるようにすると述べている。

バーチャルメイクができるのはPinterestが初めてではない。昨年、YouTubeにビデオを見ながらARで仮想メイクを試せる機能が登場した(これも最初はリップからだった)。しかしこれはYouTubeの基本機能としてではなく、YouTubeのブランドコンテンツ部門であるFameBitと連携するブランドがYouTubeのインフルエンサーを通じてマーケティングするためのオプションとして提供されたので、動画全体で広く利用できるようにはなっていない。
バーチャルメイクにはほかに、YouCamメイク、Sephora Virtual Artist、UltaのGLAMLabなどのARビューティーアプリがある。FaceApp、Perfect365、Facetuneなど、セルフィー編集アプリもある。ロレアルはウェブサイトでライブのバーチャル試用機能を設け、昨年はFacebookと協力してバーチャルメイクアップ機能を公開した。TargetのオンラインBeauty Studioでは、多くのブランドの製品でバーチャルメイクができる。

Pinterestの場合、買いたいブランドや色をまだ決めていない顧客の注意を引き、自分に似合うものが見つかるまでさまざまな色を試せるようにしている。重要な目的は、AmazonやGoogleでブランド名を入力して検索する前に、Pinterestに注意を向けさせることだ。そうすれば顧客はPinterestから販売サイトに直接行くようになる。
とはいえ、バーチャルトライはPinterestにとって広告プロダクトではないし、レベニューシェアもない。Pinterestは広告による収益化をこれからも続ける。新機能は買い物をしようとしているユーザーを引き込むためものものだ。すると結果として、Pinterestの広告に投資するブランドのエンゲージメントが増すことになる。
参加するブランドは、バーチャルトライのようなショッピング機能の効果に関する知見を得られるかもしれない。しかしブランドが個人データを収集することはない。エンゲージメントとコンバージョンに関する情報は統計的に処理され、Pinterestユーザーに関連性のあるおすすめを表示する際に使われるはずだ(そしてユーザーはパーソナライズの設定を無効にすることができる)。
GoogleはPinterestに対抗する機能である「コレクション」というブックマークツールをアップデートして、Pinterestの守備範囲に少しずつ食い込もうとしている。GoogleのスマートカメラであるGoogleレンズを活用した新しいショッピング機能もある。
このようなタイミングで登場したPinterestのバーチャルトライ機能は現在米国で、iOSとAndroidのモバイルデバイスで利用できる。今後は世界各地で、また、その他のプラットフォームでも利用できるようになる。
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(翻訳:Kaori Koyama)