お手軽なTwitter用ビデオダウンローダーボット

Twitter上のすべてのボットがスパマー民主主義ハッカーというわけではない。例えば長いスレッドを読みやすい形に「まとめて」くれるThread Readerアプリボットへのリクエストを見たことを思い出す人もいるだろう。

そして最近ではたくさんのTwitterユーザーたちが、ビデオの添付されたツイートに、新しいボット(@this_vid)をタグ付けしていることを気が付いているかも知れない。この便利なボット(別名DownloadThisVideo)は、ビデオとGIFの両方をより簡単にオフラインで視聴できるように、Twitterのサイトからダウンロードする方法を提供する。

@this_vidのアイデアは、ナイジェリアで生まれ育ち、現在はラゴスに住んでいる、バックエンド開発者のShalvah Adebayo氏によるものだ。Shalvah氏は、高校の最終年だった2013年に開発の道に入ったのだと言う。

「周りの人たちが畏敬の念をもって話している下級生がいたんです。『あの子はプログラミングを知っている!』ってね」とShalvah氏は説明した。「その時は、それがどういう意味なのかはわかりませんでした」と彼は続けた。「彼が作成したコマンドラインクイズアプリケーションを見て、感動しました。数ヶ月前にあるコンペでラップトップは手に入れていたので、翌日唯一知っていたコンピューターショップに行って、『プログラミングビデオ』が欲しいと言ったのです。店員はC++関連のビデオを渡してくれました。その日はそれを家で見て、翌日には本当のソフトウェア(IDE、統合開発環境)を買いに行きました。そうやってC++を書くことを始めたのです」と彼は語った。

それ以降、Shalvah氏はC++からAndroid開発に進み、そしてウェブ開発へと移った。彼は大学に行き、そして中退し、ハイテク産業で働き始めた。現在Shalvah氏は、南アフリカのエンジニアリングコンサルタントおよび製品設計会社であるDeimos Cloudの、リモートソフトウェアエンジニアとしてフルタイムで働いている。

彼はサイドプロジェクトとして空き時間にアプリケーションを開発している。これまでもリマインダーをツイートで設定できる@RemindMe_OfThisや、Facebookの「過去のこの日」のTwitter版であるTwitterThrowbackなどをオープンソースとして公開してきた。

しかし、Twitterのビデオダウンローダーボットは、彼の最も人気のある作品の1つとなって、現在1日あたり約7500(ピーク時には9500)のユーザー要求を受け取っている。

Shalvah氏は、このアプリのアイデアは、個人的な不満から思いついたものだと言う。彼が住んでいる場所でのインターネットアクセスは不安定で、Twitterアプリが提供するビデオ体験は理想的なものではなかった。彼はビデオをダウンロードしてオフラインで視聴したいと思ったが、そうするための簡単な方法を見つけることができなかった。

「それを実現するためのサイトとアプリがいくつかあることは知っていましたが、アプリをインストールするのは好きではありませんでした。またサイトを使う際の煩わしさも嫌いでした」と彼は言う。「それに、私は非同期処理を望んでいました。『ちょっと、こいつをダウンロードしたいな』と言っておいて、そのままTwitterをブラウズし続け、後でダウンロードするために戻って来られるようにしたかったのです」。

さらにShalvah氏は、誰かがビデオをツイートした人気スレッドのほぼ全てで、Twitterユーザーたちが、どうすればビデオをダウンロードできるかを尋ねている様子をたくさん見たのだという。

このボット(@this_vid)は、2018年5月から稼働している。まず最初に自分のフォロワーたちにそれを伝えた後、Shalvah氏はスレッド上でビデオを入手する方法を尋ねるひとをみかけるたびに、ボットについて知らせ始めた。このことによって、Twitter界隈でその人気が高まることになった。

「私はこれで本当にたくさんの人たちの問題を解決したと思います。だからこれほど人気が出たのでしょう。そして友人か見知らぬ人かを問わず、本当に多くの人たちが、このボットについてフォロワーたちに対してツイートしてくれました。それは一種有機的な成長でしたね」と彼は言った。

@this_vidがダウンロードできないビデオもいくつか存在している。これは投稿者、しばしばスポーツ団体(例えばThe NFLなど)だが ―― がダウンロードを制限しているからだ。しかしほとんどの場合には、元のツイートへの返信で@this_vidをメンションするだけでよい。そうすれば数分以内にビデオのダウンロードリンクを受け取ることになる。

このボットは、ツイートデータの問い合わせにTwitter APIを利用して、メディアのURLを取り出すことによって機能する。

Twitterは頻度制限がかかっているため、3時間あたり300回のツイートしか行うことができない。このためShalvahは、それぞれのユーザーが覚えやすいダウンロードリンクを用意した。アドレスはdownload-this.video/Twitterアカウント名だ。これを使えば、ボットが返信できない場合にもダウンロードにたどり着くことができる。

ボット自体は無料で使用できる。これはオープンソースで、Patreonからの寄付を通じてサポートされている。

このようなボットを使うことによって、第三者が勝手に権利を持たないビデオをダウンロードしたり、他の場所に自分の名前で公開してしまうのではという懸念がある。Shalvahは、このボットがTwitterの著作権ポリシー、開発者規約、またはルールに違反しているとは考えていないと語る。

これまでのところ、ほとんどの人はボットを個人的な用途で使用しているようだ。しかし、Twitterはサードパーティの開発者に対して、常に親切な態度をとってきたわけではないので、この先@this_vidがどのくらい続くのかは不明だ。

Shalvah氏は、@this_vidを無料のままにしておき、今後も開発を続けたいと語っている。

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(翻訳:sako)