ジェイファーマは1月7日、ラウンドDにおいて、第三者割当増資による総額5億円の資金調達を発表した。引受先はEight Roads Ventures、F-Prime Capital Partners。ラウンドDの累計調達額は総額22億4600万円となった。
今後は、現在治験実施中の低分子化合物「JPH203」の胆道がんでの国内の臨床開発を進める。同時に、Eight Roads VenturesおよびF-Prime Capital Partnersの有する海外、特に米国でのコネクションと専門知識を活用してJPH203のグローバル展開の基盤づくりを進めていく予定。
また、OKY-034の膵臓がんでの臨床開発、さらには、アミノ酸トランスポーター「LAT1」(SLC7A5)阻害剤の自己免疫疾患への応用を進めるとともに、日本発の新規薬剤標的を厳格な臨床試験の中から立証し、医療への応用を積極的に推進していく。
JPH203は、ジェイファーマが独自に見出した新規の低分子化合物。細胞が増殖または活性化されエネルギーを緊急に必要とする際に、アミノ酸を取り込むために細胞表面に発現するLAT1を選択的に阻害する。LAT1を創薬標的とし臨床開発を進めている世界初の化合物であり、医薬品の承認を取得すれば、日本発のファースト イン クラス(FIC / First In Class。画期的医薬品)の新薬となるという。
また、固形がん患者対象の第1相試験において良好な忍容性を確認していることから、がんに対する治療効果が示唆するものとしている。現在、標準的化学療法に不応・不耐となった進行性の胆道がん患者を対象に第2相試験を実施中。この第2相試験では、患者の背景因子に基づき層別し試験を実施しており、コンパニオン診断薬の開発も同時に進めている。
OKY-034は、JPH203と同じ創薬標的LAT1に対してアロステリックに結合することでLAT1の働きを阻害する新規の低分子化合物。ジェイファーマは、OKY-034の物質特許を保有する大阪大学および神戸天然物化学より全世界での独占的な専用実施権を得ている。
現在OKY-034は、標準的化学療法に不応・不耐かつ外科的切除不能すい臓がん患者を対象に大阪大学で医師主導の第1/2a相試験が進行しているという。
ジェイファーマは、細胞膜表面のSLCトランスポーターを創薬標的とした創薬ベンチャー企業。2005年に杏林大学を退官した遠藤仁元教授により設立され、これまでに様々なSLCトランスポーターを標的とした新規薬剤の研究開発に取り組んできた。近年は、Lタイプ・アミノ酸トランスポーター(LAT1/SLC7A5)阻害剤の研究開発に特化し、標準的化学療法が不応・不耐となった進行性がんの治療を目的に複数の新規薬剤(JPH203とOKY-034)の臨床開発を進めている。
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