SpaceX(スペースX)は、今年13番目となるロケットであり11番目となるFalcon 9の打ち上げに成功した。同社は、2019年には2機のFalcon Heavyも打ち上げている。今回の打ち上げでは、これまでに2回使用されたFalcon 9ブースターステージを再利用しているが、今回も洋上のドローン船上に着陸させて回収に成功した。さらに、2つに分かれたノーズフェアリングの回収も試みられた。これは宇宙船の貨物を保護するためのもので、上段が目標軌道に到達する前に剥がれ落ちるようになっている。
今回の打ち上げでは、ボーイング製の衛星が搭載され、Kacific(カシフィック)とスカパー JSATに通信サービスを提供することになっていた。この衛星も予定どおりの軌道に投入されたと考えられている。これが第1のミッションだったのは確かだが、その成功は課題の半分に過ぎない。SpaceXにとって重要なのはむしろ残りの半分である、同社の打ち上げシステムのより多くの部分を、徐々に再利用可能なものにしていくということだ。
Elon Musk(イーロン・マスク)氏が創業したロケット会社であるSpaceXは、2015年からFalcon 9ブースターを回収してきた。さらに最近では、Super Heavyも回収している。これまでに合計47回の第1段ロケットの回収を成功させているが、ノーズフェアリングの回収システムは、ごく最近に導入されたものだ。SpaceXでは2017年に、まずフェアリングの降下をコントロールし片方を回収しているが、いったん海に落としてからの回収だった。その後、海中からすくい上げなくても済むように、はしけ型の回収船を使った方法にトライするようになった。そして、今年6月に打ち上げられたFalcon Heavyでは、2分割されたノーズフェアリングの片方の回収に初めて成功したのだった。
しかし今回、フェアリングを回収する試みは成功しなかった。SpaceXはTwitterで、2枚のノーズフェアリングはいずれも「もうちょっとのところで」待機していた船から外れてしまったと明かした。回収チームは、それらを海中から引き上げ、今後のミッションで再利用できないか方法を検討中だという。SpaceXは、以前に回収されたフェアリングを11月に初めて再飛行に使った。マスク氏は以前、この部品を再利用することで、SpaceXは1回のミッションで600万ドル(約6億5700万円)を節約できると述べていた。これは総打ち上げ費用の10%程度に相当する金額だ。
[原文へ]
(翻訳:Fumihiko Shibata)