スマホで手軽にできるAR対戦アプリ「ペチャバト」はガチで身体を動かすシューティングゲーム

AR技術を使ったゲーム、といえば「ポケモンGO」を思い浮かべる人が多いだろうか。最近さまざまなARゲームが登場しているが、今日登場したのは身体を「ガチで」動かすゲーム。12月12日に正式リリースされた「ペチャバト」(iOS版)は、スマホで手軽にできるAR対戦シューティングアプリだ。

ペチャバトは、4人まで参加できる対戦型。スマートフォンを使って、雪合戦やドッジボールのように、タップして「弾」を投げ合い、相手のスマホの位置に表示される「的」に弾が当たってインクがはじけたら得点になる。必殺技を当てることができれば、より多く得点できる。

攻撃を当てながら相手の攻撃を避け、相手のHPを削りきるか、制限時間終了時によりHPが残っていたユーザーが勝利となる。

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ペチャバトを開発したのは、2017年8月創業のGraffity。空間を複数人のスマホで共有して“見る”ことができる、独自のAR技術が実装されていることが、ゲームのカギとなっている。

冒頭にも挙げたポケモンGOは、スマホで手軽に遊べる点はペチャバトと同じ。ただ、今年中に予定されている対戦モードの実装は、もうちょっとだけ待たなければならないようだ。

また先日、プロリーグ立ち上げが発表された対戦型ARスポーツ「HADO」では、リアルタイムに試合が楽しめるが、ヘッドマウントディスプレイとアームセンサーを装着してプレイするスタイルは「スマホで手軽に」というのとは、ちょっと違う。

Graffity代表取締役の森本俊亨氏は「スマホ同士でAR空間を、1秒以内という瞬時で共有できる体験を提供するのは、世界中でも初めてのことではないか」と話している。そして、ポケモンGOの対戦対応も相まって「AR共有の形が変わり、これから多くのアプリが出るのでは」と推測する。

「AR空間共有の一つの事例として、雪合戦や鬼ごっこのようなオフラインにデジタル化を持ち込んだ、世界初の事例がペチャバト。とてもイノベーティブなプロダクトだと考えている」(森本氏)

12月初めごろから一部ユーザーにテスト公開されてきたペチャバトは、ユーザー同士の招待により広まり、1週間で1万バトルの対戦が繰り広げられたという。ユーザーは、男子高校生・大学生を中心に想定しているそうだ。

利益化については「順調に推移したところで、ソーシャルゲームとしての課金と広告によるマネタイズを検討している」とのこと。広告については「当初は動画広告を想定しているが、AR独自の価値を使ったものも開発していきたい」と森本氏は話している。またAndroid版についても、iOS版での検証後に開発を予定。来年中には海外への展開も考えているという。

すべての現実空間を3次元データ化するARCloud構想

Graffityでは、これまでにも空間上に落書きを保存してほかのユーザーと共有できる「Graffity」を2017年11月にリリース。AR体験を共有できるビデオチャットアプリなども打ち出し、グローバルでの検証を行ってきた。

森本氏は「ARで人と人とのつながりにイノベーションを起こしたい」と話す。これまでコンシューマー向けのARプロダクトにフォーカスして開発してきているが、森本氏はそのこだわりについて「B2CのARは大きな領域。2019年、2020年に向けて本格的に立ち上がる分野だと考えている。その大きなところを取りに行きたい」と述べている。

Graffityはペチャバト正式リリースと同時に、総額8000万円の資金調達を実施したことも明らかにしている。第三者割当増資の引受先は國光宏尚氏、佐藤裕介氏、古川健介氏、中川綾太郎氏、伊藤将雄氏、大冨智弘氏、ほかエンジェル投資家2名とベンチャーキャピタル1社(企業名は現段階では非公開)。GraffityにとってはプレシリーズA調達に当たる。

調達資金は「人材獲得とマーケティングに投資する。またもちろん、プロダクトを育てることにも使っていく」と森本氏は話す。さらに「すべての現実空間を3次元データとしてクラウドに保存する」という「ARCloudプラットフォーム」構想についても説明。そこにも投資していく、と語っている。

これは実に壮大な構想で、2次元でそれを実現してGoogle マップに落とし込んだ、Googleがやっていそうな計画だ。森本氏は、ARCloudプラットフォームの実現には「データ、それもリアルタイムでのデータ取得が大事になる」という。

「Googleは屋外データは着々と取得していると思うが、我々は屋内・室内の3次元データをゲーミフィケーションで取っていこうと考えている。それがGraffityの中長期的なビジョンだ」(森本氏)

またB2Cプロダクトへのこだわりを見せた森本氏だが、「B2Bについてもいろいろと技術提供を始める準備をしている」とのこと。「これから他社とのコラボレーションで研究開発を本格化させる」と述べていた。