現在Androidプラットフォームでは、iOSより多数のアプリケーションがダウンロードされている。しかし収益という点では、AppleのApp Storeがずっと優位性を保ったままだ。そこでGoogleは、この収益の差を縮めるために、新興市場のユーザーのために新しい支払い手段を導入することにした ―― 現金である。同社が米国時間5月8日に発表したのは「ペンディング取引」(Pending Transaction)と呼ばれるもので、これによってユーザーに対してクレジットカードや従来のオンラインペイメント手段以外の支払い手段が提供される。
クレジットへのアクセス手段が存在していないことが、新興市場のユーザーたちが有料ダウンロードやアプリ内購入ではなく、無料でプレイできる広告付きのゲームやアプリケーションを好む理由の1つになっている。
この問題に対処するために、Googleは他の支払手段を、既に何年も前から導入してきた。例えばeWalletsや、インドのUPI、そしてキャリア決済などだ。過去1年間で、20以上のキャリア決済パートナーシップを結び、このオプションを提供するキャリアの数は世界で170を超えるようになっている。この手段で支払っているユーザーの数は10億人以上に及んでいる。
しかし、キャリア決済は普遍的な選択肢ではなく、いつでも好まれるものでもない。
ということで、より現金を頼っているユーザーに届けるために、Googleが今回また別の支払いオプションを提供するのだ。
「新興市場はみなさんの成長のためのキーとなるエリアだと思っています、それこそが『ペンディング取引』の発表に私たちが興奮している理由なのです」と本日Google I/O開発者会議で語ったのは、PlayストアとGoogle Play上のゲームを担当するエンジニアリングディレクターであるオーラス・マボッド(Aurash Mahbod)氏である。
「これは、現金、銀行振込、口座振替などと同様の新しい支払い手段です」と彼は説明した。
このオプションを使用すると、Androidユーザーは、アプリケーションまたはアプリ内購入の支払いを行う際に、これまでとは違う支払い方法をチェックアウト時に選択できる。例えば、登録されたクレジットカードに請求する代わりに、ユーザーはペイメントコードを受け取ることを選択することができる。ユーザーは受け取ったペイメントコードを使って、近隣の店舗でキャッシュ支払いを行うことができる。
店舗に入ったユーザーは、ペイメントコードをレジ係に提示して支払いを行うのだ。支払いを行ってから10分以内に購入手続きは完了し、支払い証明が添付された電子メールを受け取る(しかし細則を読んでいくと、購入手続きの完了に最大48時間かかることもあると書かれている)。
これを使うことで、現金しか使えないAndroidユーザーにとっては、アプリやアップデートの支払いが簡単になる。だが、後ほど払い戻しが必要になった場合には、現金での返金ではなく、PlayStoreのクレジットとしてのみ払い戻される。
ペンディング取引オプションは、新しいGoogle Play Billing Library(Version 2.0)に含まれている、いくつかのアップデートのうちの1つだが、新興市場での有料トランザクション数を増やすという意味では最も興味深いものである。
もう1つの注目すべきアップデートは「Subscribe&Install」オプションだ。これはユーザーがワンクリックでアプリをインストールする際に、同時に無料試用サブスクリプションも提供するというものだ。
この機能は現在早期アクセス版として利用可能だが、このオプションを使用したパートナーは有料サブスクリプションが平均34%増加した、とGoogleは述べている。
Google Play Billing Library 2.0(現時点でGoogle Play Billingとアプリを統合する正式な方法となった)は、Javaで利用可能である。C++とKotlinのサポートも間もなく開始される。
新しいオプションの詳細については、こちらのAndroid Developersサイトに投稿されている。
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(翻訳:sako)