ローンチから半年でiMessage App Storeの成長率が急降下―、使いづらいUIが一因か

ローンチ当初、iMessage App Storeは次の大型アプリプラットフォームになると謳われており、ディベロッパーの間では、同アプリストアが新たなユーザーと収益源獲得の場として期待され、ローンチ直後はiMessageアプリのダウンロード数が急増した。しかし、アプリストアの成長の鈍化と共に、今ではその盛り上がりも落ち着き始めたようだ。公開されているアプリの数を見てみると、iMessage App Storeのローンチからの数ヶ月間は、毎月100%以上の伸びを見せていたが、今年の1月から2月の結果を見ると、その数はたった9%まで落ち込んでいる。

アプリ調査会社のSensor Towerが新たに発行したレポートによれば、iMessageに対応したアプリの数は現在5000個に及ぶ。この数は、App Storeの初年度にリリースされたiOSアプリの数と同じだ。その後App Storeが成長を続け、2017年1月時点で220万個ものiOSアプリが公開されているというAppleの情報を考えると、iMessage App Storeの状況も悪くないように思える。

しかしiOS App Storeとは違い、ディベロッパーのiMessage App Storeに対する興味や盛り上がりには、既に陰りが見え始めているのだ。

iMessage App Storeがローンチされた昨年9月から10月の終わりまでに、iMeesageに対応したアプリの数は1100個へと約116%増加した。11月の終わりまでには、さらに108%増加し登録アプリ数は2250個に達した。しかし、多くの消費者が新たなiPhoneを手に入れ、アプリのインストール数の増加が期待された12月には、増加率が65%に落ちこみ、昨年末時点でのiMessage対応アプリ数は3700個にとどまった。

今年に入ってからもアプリ数の増加率は下落し続け、昨年12月から1月の増加率は18%、そして1月から2月はさらに9%へと下がっていった。

エンターテインメントやユーティリティ、ソーシャルネットワーク、写真・動画をおさえ、iMassageアプリの中では、ゲームが引き続き1番人気のカテゴリーだった。しかし、各カテゴリーに含まれるアプリの多くは、人気ゲームキャラクターを使ったものなど、ステッカーアプリが中心だ。

新しいプラットフォームの登場直後には、ディベロッパーが新規ユーザーを獲得するために、こぞって新しいアプリをリリースするので、ローンチからしばらくして成長率が落ちるというのは当然のことだ。しかし、ここまで早い段階で成長率が横ばい近い状態になったこということは、まだ多くのユーザーがiMessageアプリを受け入れていないということを示唆しており、AppleやiOSディベロッパーのコミュニティはiMessage App Storeの存続を心配していることだろう。

成長率鈍化の原因と思われるものはいくつかある。使いづらいユーザーインターフェースや、配信されているiMessageアプリの選択肢の少なさ(革新的なアプリの不在)、さらにはそもそもiOSアプリが多すぎるという可能性もある。

アプリ中毒の私でさえ、iMessageアプリはUIのせいで使うのが面倒だと感じている。iMessageアプリへのアプリストアの統合の仕方もあり、ユーザーの多くは、キーボードの下にアプリストアが隠されていることにさえ気付いていないかもしれないのだ。

さらにインストールしたiMessageアプリの数が増えてくると、小さなアイコンをスワイプして、自分が使いたいアプリを見つけるのが難しくなってくる。

また、ステッカー人気がここまで高まっているのであれば、他のアプリと並べて置くのではなく、インストールされたステッカーはキーボードから直接アクセスできるようにするべきだろう。

現状のUIだと、ステッカーにたどり着くだけでも一苦労だ。まず、テキストボックスの隣りにある矢印をタップし、アプリストアのボタンを押すと、前回使ったアプリが表示される。そして左下にある4つの点が記されたボタンをタップすると、インストール済みのアプリのリストが表示されるので、そこからさらにページをスワイプして友だちに送りたいステッカーを探さなければならない。

iMessageアプリを使うためには、会話の途中でこのようなプロセスを経なければいけないため、アプリによって新たな価値が加わるどころか、やりとりのスピードが落ちてしまう。

対照的に、Facebook Messengerや他のメッセージアプリを見てみれば、ワンタップでステッカーを使えるようになっていることがわかる。もしもAppleが、真剣にiMessageでメッセージアプリトップの座に上り詰めたいのであれば、他のプレイヤーの様子を注視し、何がうまくいっているのかということを理解して、必要な調整を加えなければいけない。そうすれば、もしかしたら次のiOSの大型アップデート時には、この問題が解決されているかもしれない。

もしもAppleにその気がないのであれば、ディベロッパーがiMessage App Storeに完全に見切りをつけて、自分達のアプリをもっと目立せられ、トラクションを稼ぐことができる他のプラットフォームに移っていったとしても、なんら驚きではない。

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter