ユーグレナ、新株予約権の発行により約50億円の資金調達へーー2020年9月期までに売上300億円めざす

ユーグレナは9月20日、同日開催された取締役会においてSMBC日興証券を割当予定先とした第三者割当により新株予約権を発行すると発表した。これにより、新株予約権が行使された場合の資金調達額は約50億円となる。

ユーグレナは2020年9月期までをターゲットに、グループ連結売上高300億円の達成と、国産バイオジェット・ディーゼル燃料の実用化を掲げた中期経営計画を発表している。同社は今回調達した資金を利用して、シナジーや顧客基盤の強化が見込まれるヘルスケア分野などでのM&A、PR戦略による顧客基盤の強化、新規素材開発などの研究開発を推進するとしている。

同社はこれまでに、健康食品の通販事業を手がけるクロレラサプライ、女性向けサプリメント通販事業のフックなどを完全子会社化している。今後も、ユーグレナ本体の販路の拡大やシナジー効果を最大化するためのM&Aを積極的に行っていく方針のようだ。

なお、ユーグレナは新株予約権の発行という手段を選んだ理由について、「既存株主の利益に配慮
し当社株式の過度な希薄化の抑制や株価への影響を軽減するとともに、当社の資金需要や株価の
状況に応じた資金調達の柔軟性を確保すること、および中期経営目標の実現を図ることが可能な資金調達を行うことに重点を置いて、多様な資金調達方法を比較検討してきた」結果であるとコメントしている。

生産者と消費者を直接つなぐ「ポケットマルシェ」、メルカリなどから1.8億円調達

農家や漁師がスマホを通して生産物を消費者に直接販売できるアプリ「ポケットマルシェ」。同アプリを提供するポケットマルシェは9月29日、メルカリユーグレナPNB-INSPiRE Ethical Fund(以下、PIEF)を引受先とした第三者割当増資を実施した。調達金額は総額1億8000万円だ。

ポケットマルシェは、フリマアプリの「メルカリ」や「フリル」のような個人間で商品を売買できるC2Cサービスだ。しかし、それらとの大きな違いは、商品の出品者はすべて農家や漁師などの生産者であること。

アプリにはユーザーと生産者とがコミュニケーションを取りながら商品を購入できる機能も備わっており、生産者の顔を見ながら食品を購入することができる。

直接販売という手段をアプリで提供

ポケットマルシェは販売価格の15%を手数料として受け取り、消費者は別途送料を支払う。ポケットマルシェ取締役COOの本間勇輝氏は、「生産者がスーパーなどを通す場合、一般論として生産者が受け取るのは販売価格の30%と言われている」と話す。一方のポケットマルシェでは販売価格の85%が生産者の取り分になるので、生産者にとってメリットの大きいサービスだと言えるだろう。

生産者にとってのメリットはそれだけではない。通常の店頭販売とは違い、ポケットマルシェで商品に値付けをするのは、出品者である生産者自身だから、いわゆる「買い叩き」をされる心配もない。

また、スーパーなどは在庫が1キログラムにもならないような希少な生産物を流通に乗せることはあまりない。テレビの旅番組を観ているときに、地方の生産者が「これは珍しいから、東京では食べられないよ」と言っている場面を見たことはないだろうか? そんな希少な食べ物も、ポケットマルシェでは販売できることもメリットの1つだ。

2016年9月にリリースしたポケットマルシェ。現在は約330名の生産者がアプリを通して商品を販売している。商品を購入するユーザーの数は非公開だ。

「農林水産省が発表している統計を見ると、生産者全体は1年に10万人単位で減っている一方で、実は新規の就農者は増えていることが分かる。しかし、補助金を受け取ることができる5年を過ぎると、生計が立たず、その内の3割が辞めてしまう。そういった人たちに、選択肢の1つとして直接販売という手段を提供するのがポケットマルシェのミッションでもある」と本間氏は話す。

農林水産基本データ集より

メルカリとの資本業務提携

そんなポケットマルシェは今回、VCだけでなくフリマアプリを手がけるメルカリ、そしてミドリムシを活用した食品や健康食品を手がけるユーグレナから資金調達を実施している。

これらの事業会社との具体的な協働案については「これから」と本間氏は話すが、なかでもメルカリとの資本提携は注目すべきところだろう。メルカリはフリマアプリの「メルカリ」を軸に、本やCDに特化した「メルカリ カウル」、ブランド品に特化した「メルカリ メゾンズ」などをバーティカルに展開してきた。

そんなメルカリが「食」の分野にも進出する可能性は大いにあるし、“C2C”という共通点をもつメルカリとポケットマルシェの2社が共同で食分野の新アプリを提供するというのも、今後の展開としては十分に考えられるだろう。