動画配信サービスの利用率トップは「Amzonプライム・ビデオ」、Mastodonの利用率は2.8%

ジャストシステムは7月20日、Webサービスの利用状況などをまとめた「モバイル&ソーシャルメディア月次定点調査(2017年6月度)」を発表した。

このレポートは15〜69歳の男女1100人を調査対象にしたもので、彼らに“FacebookやTwitterは使っていますか?”など、主にWebサービスの利用状況にかかわる多くの質問を投げかけている。

その中から興味深い調査結果をいくつか紹介したい。

Mastodonの利用状況

2017年4月に急激に話題となったSNS「Mastodon(マストドン)」。ネット上では、“ポストTwitterだ!”なんて騒がれていたし、TechCrunch Japanでも特集したことがある。でも、実際のところの認知度はどうだろうか?

本レポートによれば、Mastodonを“現在利用している”と答えた人は全体のわずか2.8%だった。“以前は利用していたが、今は利用していない”と回答した人(2.5%)を加えても、5.3%と結構低い。

サービスの存在すら知らないという人も多く、その割合は全体の77.9%だった。性別や年代別に見てみると、10〜20代男性への認知度は比較的高い。その一方で、女性への認知度は全体的に低いことが分かる。

Apple PayとAndroid Pay

TechCrunch Japanでは以前、日銀が発表したモバイル決済の利用率についてのレポートを紹介したことがある。日本の普及率が6%に対して、中国は98.3%という少しショッキングな内容だった。

ジャストシステムのレポートでは、モバイル決済のなかでも「Apple Pay」と「Android Pay」に絞って利用状況を調査している。

やはり、このレポートの調査結果をみてもモバイル決済の利用者数が多いとはいえない。だが、興味深いことに、利用していると答えた人の割合はApple PayとAndroid Payとのあいだに大きな差がある。Apple Payを利用している人は全体の32.9%だったのに対して、Android Payは4.5%だった。

現在、Android Payが対応するのは「nanaco」や「楽天Edy」などのショッピング系電子マネーのみ。一方のApple Payは、ショッピング系に加えて、交通系の「Suica」にも対応している。交通系ICカードの普及が進む日本では、そこに対応しているApple Payには利便性を感じる人が比較的多いのだろう。

定額制動画配信サービス

「Netflix」や「Hulu」などに代表される動画配信サービスの利用状況についての調査結果もある。本レポートによれば、数多くある動画配信サービスのなかで利用率が最も高かったのは「Amazonプライム・ビデオ」だった。

個人的には、これが一番意外な結果だった。海外ではよく、「I’m skyping」や「Google it」など“サービス名が動詞として使われると本物だ”なんて言われることがある。

その点、僕の周りでは、休日何している?と聞くと「Netflix観てる」と答える人も多くて(昔は「ビデオ借りてきて観てる」と答えてた気がする)、日本でもやはりNetflixが強いのかなと思っていたからだ。TechCrunch Japanの編集部にいる僕は、海外から流れてくるNetflixの情報に触れる機会が多いこともあって、周りの環境が偏っていたのかもしれない。自分の感覚と日本マーケットの現状に差があるということを改めて感じさせれた。

上の図にあるように、2015年10月の横並びの状態からAmazonプライム・ビデオの利用率が急激に上昇しているところを見ると、ダウンタウンの松本人志氏を起用したTVコマーシャルや、2017年2月から放送開始した独占配信コンテンツ「バチェラー・ジャパン」などの功績が大きのだろうか。

これらの調査結果を含むレポート本文は、こちらから無料ダウンロードできる。

日本の未公開ベンチャー、資金調達総額が2000億円を突破——1社当たり調達金額が大型化

日本の未公開ベンチャー企業による資金調達の総額が、2016年の1年間で2000億円を突破し、2006年以降で最高額となったことが、ジャパンベンチャーリサーチ(JVR)による集計で明らかとなった。

2006年から2013年まで下降・低迷していた未公開企業の資金調達総額だが、2014年以降は増加に転向。2014年は1390億円、2015年は1716億円となり、2016年にはさらに増加の勢いが加速し、2006年の集計開始以降で最高額の2099億円に到達した。これは対2015年比で22%以上の伸びとなる。

一方、資金調達を行った企業数は2015年の1192社に対し、2016年は979社。集計は2017年4月28日時点のデータをもとに行われているため、今後増加は見込まれるが、2015年に比べると減少傾向にあるとJVCは報告している。

1社当たりの資金調達額がより大型化

総額の上昇と社数の減少から推測できるのが、1社当たりの資金調達金額の大型化。これを裏付けるのが、1社当たりの資金調達額の中央値と平均値の集計値だ。

2015年、2016年は過去と比べて特に大型化が顕著だ。2016年の1社当たりの資金調達額の中央値は1億円、平均値は2億9610万円と3億円に迫る金額で、いずれも2006年以降で最高額を記録している(下記グラフ)。

実は、こうした資金調達の活発化、大型化は資金を投資する側にも見られる。2017年3月にJVRから発表されたレポートによれば、2016年のファンド総額は2763億円と2008年以来最高を更新している。

国内のコミュニケーションロボット市場が成長――2020年度は87億4000万円の規模に

2014年に発売されたソフトバンクの家庭向け人型ロボット「Pepper」。このPepperを皮切りに、コミュニケーションロボットに関するニュースは事欠かない。最近では「変なホテル 舞浜 東京ベイ」では全客室にコミュニケーションロボット「Tapia(タピア)」が設置されたり、横浜銀行 大船支店には人型コミュニケーションロボット「PALRO(パルロ)」が導入されたりと、ずいぶん日常に生活に浸透してきた。

3月28日に矢野経済研究所が発表した調査結果によれば、2015年度の国内のコミュニケーションロボット市場の規模は23億8500万円、前年度比で279.9%と大きく成長したという。

新製品の投入で市場が急成長

コミュニケーションロボットの定義は様々だが、この調査では人の言語や顔、存在などの認識機能や人からのボディタッチ(接触)の検知機能、得られた外部情報に応じて自律的に反応する機能を持つロボットとしている。

そんなコミュニケーションロボットは、主に会話型、非会話(動作)型、会話&動作複合型の3つに分類されるが、とりわけ注目を集めているのがPepperに代表される会話&動作複合型のものだ。すでに実感している読者も多そうだが、2015年頃に会話&動作複合型のコミュニケーションロボットの新製品が続々と投下されることによって市場は大きく成長。前年度比279.9%という大幅な成長につながったというわけだ。

2020年度には87億円市場に

筆者の周りでも2016年頃からは“ロボット”という単語は頻繁に耳にするようになっていたが、実用化というと正直ピンと来ていなかった。だが調査によれば、今後コミュニケーションロボットの市場はさらに成長していく見込みだという。

2016年度に入ってから国立研究開発法人日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development:AMED)による介護施設を対象とした大規模実証調査が実施されている。これによって医療、介護現場におけるコミュニケーションロボットの導入機運が高まるほか、2020年に向けたインバウンド需要の拡大によって交通機関や各種施設での観光案内などの役割としても期待が高い。

2016年度以降も市場は順調に拡大していき、2020年度にコミュニケーションロボット市場は87億4000万円の規模になるとしている。

photo by Kate McCully