The Wingの元CEOがコワーキングスペースの人種的平等に失敗したと自認

コワーキングスペースを運営するThe WingのCEOを6月に辞任したAudrey Gelman(オードリー・ゲルマン)氏は米国時間10月4日、The Wingの元従業員に先週送った書簡を公開した

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Over the past four months I’ve gone quiet, and gone inward to do some deep work around what happened at The Wing and my personal role in it. For a person whose life was lived across social media, this may have struck many as a cop out, and a way to hide. But it was important to me to do this work, and to begin private outreach to those parties who had been harmed as a result of working at The Wing. Last week I sent an email to @flewthecoup taking ownership of how my decisions, priorities and actions negatively impacted employees, and I want to apologize to them – this time publicly. I am also in the process of reaching out to a number of people private to make direct apologies. I’m no longer a part of The Wing, or on its Board of Directors. But I wanted to use my position of privilege as a co-founder of the company, and as a white woman to uplift their voices. If you aren’t aware of it, Flew The Coup has created a grant program that is providing support to former hourly employees. You can learn more about the program on their page. The original vision of The Wing sought to celebrate the sanctity of women’s friendships, create space for them to take big risks and stand up to injustice. But despite these intentions, we began to uphold the kind of societal inequality we set out to upend. My hope is that my errors will not discourage other women from taking big, ambitious ideas into the world, but that they can contribute to the creation of a blueprint for how to get it right in the future.

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その中でゲルマン氏は、The Wingで有色人種の女性に対する虐待と闘わなかったことを謝罪している。彼女はまた「成功と規模拡大を焦ったために、自分たちが掲げた価値観にマッチする健全で持続可能な企業文化が犠牲になり、チームが自尊心を持って仕事ができるような職場を作れなかった」と認めている。

そして「The Wingはホスピタリティー業界で伝統的に根深い人種差別を打倒せず、ただ、親切で優しい企業のふりをしていた」と続けた。

彼女のその書簡では、以下のような箇所も重要と思われる。

  • 会員を集めることが最優先され、それらの会員は白人であることが多く、彼らにはThe Wingの会費を納めるだけの経済力もあった。
  • 白人であることの特権と専横が黙認され、会社が掲げた価値観が二の次になった。
  • 「The Wingもスローガンがあるだけでは何も変わらない」という認識が定着するに伴い、さらに多くの人が傷ついた。私たちのは違うと主張していたスペースが逆に、有色人種の女性、特に黒人女性の旧来のパターンを強化し、彼女らは白人女性と、私たちの女性尊重思想の限界に幻滅を感じた。

ゲルマン氏とThe WingのCOOを務めるLauren Kassan(ローレン・カッサン)氏からの公開謝罪は、The Wingの元スタッフが作ったグループFlew the Coupの会員が求めていたものの1つだ。もう1つの要求は、契約書にある守秘義務合意をThe Wingが取り下げることだ。

このグループは6月に、Instagramに「私たちのほぼ全員が、経営陣や本社スタッフ、それに会員からの人種差別や、反LGBTQIA的なレトリックに直面しました。私たちは、The Wingのさまざまな場所で肉体的および精神的な暴力に遭い、昇進に関しても差別を受けたのです」と書いている。

グループの主張によると、The Wingは女性とノンバイナリーのための安全で差別のないスペースをうたっていたが、「このミッションとはまさに正反対のものを見続けてきた」という。

The Wingは、New Enterprise Associates、AlleyCorp、Sequoia Capital、Serena Williams(セリーナ・ウィリアムズ)氏、Kerry Washington(ケリー・ワシントン)氏など複数の投資家から1億1750万ドル(約123億6900万円)を調達した。TechCrunch Disruptでワシントン氏は、The Wingのドラマに関する感想を次のように述べた。

「スキャンダルにはいまさら驚かないが、あの会社の最初のビジョンには本当に感動したし、今でも感動しています。いまは新型コロナウィルスだけでなく、いろんな感染拡大があります。人種差別に対する、みなさんの意識もそうでしょう。いまは、多くの企業や人々が反省して自分の考え方を変えるべき好機ではないでしょうか。社会の力学を変えるべき余地は、まだたくさんあります。投資家の一人として、そして有色人種の女性の一人として言えば、中でも重要なのは透明性と説明責任の強化だと思います」。

これまでの数か月間ワシントン氏は、投資家としての彼女の役割は「この変化を支えるリーダーの一人であること」であり、また、「リーダーたちに、透明性と説明責任を求める「深い欲求」を伝えていくことだ」と言い続けてきた。

The Wingは、ほかのテクノロジー企業と同じく新型コロナウィルスの感染拡大に苦しんでいる。同社は、4月には多くの労働者をレイオフないし一時解雇した(The Wingブログ)。そして、7月にはさらに56名をレイオフした(NewYork Business Journal記事)。

Flew the Coupは、グループとしての活動の一環として、The Wingをレイオフされた人々の支援金を募集している。米国時間10月14日現在で1万5000ドルを集めたが、目標は10万ドルだ。

TechCruchはThe Wingにコメントを求めているので、得られ次第この記事をアップデートする。

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タグ:The Wing、人種差別

画像クレジット: Getty Images、Evelyn Hockstein

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

ベイエリアの黒人テックリーダーが人種差別的不公正に向けた行動を呼び掛け

人種差別主義者の警官による暴力という、米国の塞がらない傷口に多くの注目を集めた抗議の1週間が嵐のように過ぎた。そして、企業の創業者、人権活動家、投資家などを含む黒人リーダーの連合が、テック業界の黒人に、黒人の生活を脅かし続けている組織的な圧力に対抗する行動を起こそうと呼び掛けた。

Black Tech for Black Lives」(黒人の命のための黒人のテクノロジー)と名付けられたこの運動は、「より公正な世界築くために最前線で働いているリーダーたちの支援」を目指した、具体的で実行可能な行動を集約するものだ。サンフランシスコ湾岸地区(ベイエリア)のテクノロジー産業の中心地で、警察改革、地方選挙、テック業界により多くの有能な黒人を採用し支持するといった具体的な指針と目標を掲げて活動するコミュニティーリーダーたちの地位を高めることを誓約している。

またその誓約には、警官の過剰な暴行により8分間以上にわたり首を押さえ付けられ死亡した一般市民、George Floyd(ジョージ・フロイド)氏の名誉(NewYork Times記事)についても訴えている。この事件は全国的な運動の引き金となり、50のすべての州での警察の蛮行に抗議する歴史的なデモ行動に結びついた。

この誓約に署名した主要人物には、ReadySetのCEOであるY-Vonne Hutchinson(イボンヌ・ハッチソン)氏(未訳記事)、Black and Brown FoundersZebras UniteのAniyia Williams(アニヤ・ウィリアムズ)氏、FastlyのMaurice Wilkins(モーリス・ウィルキンス)氏(未訳記事)、 Just CitiesTechEquity CollaborativeのDarrell Jones III(ダレル・ジョーンズ3世)氏などが含まれている。 発表では、悲嘆に暮れるこの時期の、テック業界に対する、そして今回の事件につながる人種差別主義者による暴力という長い歴史に対する、彼らに共通する特有の観点が示された。

テック業界は共犯者です。テック業界の黒人として私たちは、黒人への身体的暴力に対抗できる特別な立場と条件を有しています。私たちは、この苦痛を身近に感じられる立場にありながら、最悪の身体的暴力をほとんど回避してきました。しかし、私たちも衝撃を受けています。職場や外の社会で、私たちの訴えはほとんど聞き入れられず、精神と心に傷を負っています。

彼らは、すべての人に対して、次の5つの目標のうちひとつでも協力してほしいと訴えている。

  1. 警察の公正化を求める研究所であるCenter for Policing Equityや公民擁護団体Color of Changeなどの団体を支持して、ジョージ・フロイド氏、Ahmaud Arbery(アーマド・アーベリー)氏、Breonna Taylor(ブレノア・テイラー)氏、Tony McDade(トニー・マクデール)氏を殺害した人物の速やかな起訴に向けて行動する。
  2. メッセージの発信、または人権団体のElla Baker Center for Human Rights、オークランドの警察の説明責任を求める連合Coalition for Police Accountability、ソーシャルメディアや公共の場での人種の特定に反対する団体SF Interrupting Racial Profilingなどへのボランティアや寄付を通じて、警察の改革と説明責任を求める。
  3. ベイエリアの警察署長や警察組合のリーダーたちに圧力をかける。
  4. 黒人従業員の雇用、黒人企業創設者への投資を行い、黒人の昇進、指導、金銭的援助によって成功への支援を約束する。
  5. さまざまな人種を支援し、人種的および社会的公正化に尽力した人権擁護の実績を持つ人たちを、市長、市議会議員、地方検事などの市の要職に選挙で送り込む。
  6. 行動の呼びかけの全文と支援団体へのリンクは、Black Tech for Black Livesのサイトにある。

この誓約の署名者は150人を超えて増加している。Y CombinatorのMichael Seibel(マイケル・シーベル)氏、Backstage CapitalのArlan Hamilton(アーラン・ハミルトン)氏、Erica Joy(エリカ・ジョイ)氏、Bärí A. Williams(バリ・A・ウィリアムズ)氏、元オバマ財団のCTO、Leslie Miley(レスリー・マイリー)氏、Kapor Capitalのパートナー、 Ulili Onovakpuri(ウルイ・オノバクプリ)氏、We Read TooのKaya Thomas(ケイヤ・トーマス)氏、Wayne Sutton(ウェイン・サットン)氏、PitchBlackの創設者Stephen Green(スティーブン・グリーン)氏、The Human Utilityの創設者Tiffani Ashley Bell(ティファニー・アシュレ−・ベル)氏、TechEquity Collaborativeの共同創設者Catherine Bracy(キャサリン・ブレイシー)氏、そしてTechCrunchからはMegan Rose Dickey(ミーガン・ローズ・ディッキー)も署名した。

「今回の事件で明らかになったのは、もう元には戻れないということです。黒人の命も、黒人の将来も、どちらも重要であることを団結して確認しましょう」と団体は書いている。

この運動では、抑圧された人たちの擁護に消極的な立場を取り「共犯者」になってしまわないよう(Indigenousactio記事)、白人にも行動を促した。たとえそれが、法律を超えて組織的な黒人差別に立ち向かうことを意味するとしても、平等と公正のための積極的なアプローチを呼び起こす活動の枠組みに参加を呼び掛けている。

TechCrunchの取材に対して、ジョーンズ氏は誓約の背景について、そして今の警察の不公正な行動と組織的黒人差別に対する抗議の波が本物であり、過去の全国的運動に比べても、国家的な苦痛を恒久的な変革へつなげる可能性があると信じる理由を聞かせてくれた。

「今のアメリカの黒人運動の状況は、ファーガソン氏のときの黒人運動の状況に比べて、明らかに切実です。それは新型コロナウイルスと時期的に重なったことが大きい」とジョーンズ氏はTechCrunchに話した。

「失業率のレベルを見ても、コミュニティーでの新型コロナウイルスによる健康被害の程度が不均衡な状況(NPR記事)を見ても、事業の損失の大きさの違い(PBS記事)を見ても、さらには官民パートナーシップやその他同様の取り組みから資金を供給される事業の配分の差を見ても、すべての分野において、いまだに私たちは、不当に不利な立場にあります」。

パンデミックにより数百万人の米国人が経済的な打撃を被るや、突如として無条件のベーシックインカムが大きな話題になったように、新型コロナ禍は組織的差別によってアメリカ黒人の健康転帰に重大な影響が出ているという議論(NewYork Times記事)も加速させているとジョーンズ氏は考えている。

こうした議論が進めば、連邦政府の「ある程度信頼できる、理性的で慈悲深いリーダーの不在」が、地方で起きている変化(本当の改革が起きている)に大きな注目が集まるようになるとジョーンズ氏は言う。

「全国の人々がこぞって議論に参加するようになれば、全国的なリーダーの不在は埋められるでしょう。しかし、この状況を変える上でみんなができる最大のことは、まさに今、自分が住んでいるその場所を変えることなのだと、みんなに理解して欲しい。少なくとも、意識して欲しいのです」とジョーンズ氏は話していた。

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(翻訳:金井哲夫)

Airbnbが前アメリカ司法長官Eric Holderと差別禁止ポリシーの策定にあたる

NEW YORK, NY - MARCH 22:  Eric Holder attends Aretha Franklin's Birthday Celebration at Ritz Carlton Hotel on March 22, 2015 in New York City.  (Photo by Rob Kim/Getty Images)

こんな文章を書くことがあるとは思っていなかったが、前アメリカ司法長官のEric HolderがAirbnbに加わり、民泊プラットフォーム上の差別と戦おうとしている。

Airbnb CEOのBrian Cheskyは、今回の人事について本日(米国時間7月20日)のブログポストで発表し、そこには差別根絶に向けたその他の同社の取り組みについても記載されていた。Airbnbは、LGBT(編集部注:性的マイノリティを指す。Lesbian, Gay, Bisexual and Transgenderの略)や有色人種のゲストに対する差別を黙認していたことから最近やり玉にあげられている。ハーバード大学の調査によれば、黒人系の名前のゲストは宿泊予約をとれないことが多く、さらに黒人のホストは白人に比べて、プラットフォーム上で家を貸し出して受け取る収益が少ないことがわかった。LGBTのゲストも同様にAirbnb上での差別に直面しており、安心してサービスが利用できるよう、サイト上に「LGBTフレンドリー」のオプションを求める動きもある。

連邦議会黒人幹部会(The Congressional Black Caucus)は、先月Cheskyに対してこの問題に取り組むよう求めるとともに、なぜサイト上にここまで差別が蔓延しているのかと問い詰めた。Airbnbはきちんと耳を傾けているようで、Holderをアドバイザーとして迎える他にも、アメリカ自由人権協会(American Civil Liberties Union)元会員のLaura MurphyにAirbnbのバイアス解析を依頼した。発表自体は本日行われたが、HolderとMurphyは既にAirbnbでの仕事を開始している。

「私たちは、前アメリカ司法長官のEric Holderがチームに加わって、世界に通用する差別禁止ポリシー策定のサポートをすることに合意したことを大変誇りに思っています」とCheskyはブログポストにつづった。「Airbnbには既に差別を禁止するポリシーがありますが、それをもっと強固なものにしたいと考えています。今後は、私たちのプラットフォームを利用する全ての人が、差別禁止のポリシーを読んでそれに従うと認めなければならないようにします」(現在、ホストは登録前に差別禁止ポリシーを読む必要がなく、自分たちでポリシーを探さないと読むことができない)

Cheskyはさらに、これまでAirbnb上の差別への取り組みがあるべきスピードで行われていなかったことを認めた。「これまでは、この分野での取り組みに失敗してしまったと理解しています」とCheskyは述べ、なぜAirbnbの差別問題への取り組みが遅れてしまったかについて長らく考えていたと加えた。「プラットフォームをつくったときには、差別問題を十分に意識できていませんでした。利用者の方々と話をする中で、私たちの差別問題への取り組みに緊急性が時折欠けていたことが分かり、すぐに是正する必要があると思っています」

もちろんHolderは、多様性や差別禁止のイニシアティブに精通しており、これまで司法長官としての仕事のかたわら、数々の再建策を指揮してきている。過去には、司法省の差別申し立ての項目に性別認識を加える活動を行っていた。

「私は、Airbnbと共に世界的な差別禁止ポリシーの策定・実施を行うのを楽しみにしています」とHolderは声明の中で語った。「Airbnbは、誰であっても、どんな見た目をしていても、全ての人が所属できるようなコミュニティを創ることに献身的に取り組んでいます。多様性の受け入れにコミットしているAirbnbと同じ気持ちを持っている企業にとってモデルとなるようなポリシーを策定すべく、私は是非Airbnbをサポートしていきたいです」

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(翻訳:Atsushi Yukutake/ Twitter