日本の民泊仲介サービスH2O Japanがサムスンなどから7億円超を調達

日本の旅行業は盛況だ。しかし宿泊先の不足という問題を抱えている。特に東京地域では、この夏のオリンピック開催を控えてホテル不足が深刻化している。

東京拠点のスタートアップであるH2O Japan が宿泊先仲介プラットフォームを立ち上げている。このサービスを利用して一般の不動産オーナーが部屋や家をバケーション向け滞在のために貸し出すことができる。米国時間2月3日、H2OはSamsung Ventures、Stonebridge Ventures、IMM Investment、Shinhan CapitalからシリーズBで700万ドル(約7億6000万円)のベンチャー資金を調達したことを発表した。これにより同社の資金調達総額は1800万ドル(約19億5500万円)となった。ちなみに同社は、エイチツーオー・ジャパンと読むが、同時にホスピタリティ2.0の意味にもかけてある。

H2Oは総合宿泊運営事業を手掛けており、各種の旅行サービスの宿泊先のチェックイン、チェックアウト、清掃、消耗品補給などの現場運営をオンラインプラットフォームで実実施している。同社が最近開始したのバケーション向けレンタル事業だ。これには人気の旅行スポットである大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパンの近隣のホテルなどが含まれている。

同社グループは2015年に韓国でWahomeとして出発した。これは宿泊施設の清掃、運営などのサービスだったが、その後何社かのトラベル・ホスピタリティサービスの企業を買収し、事業を日本に拡張した。現在H2Oのプラットフォームは25社のオンライン旅行サービスに対し5000室の運営を行っている。

創業者でCEOのWoong Hee(John)Lee(ウン・ヒ・ジョン・リー)氏によれば「2018年の第3四半期の創立以降、 四半期ごとに収入は倍増する急成長を続けている」ということだ。.

同氏はコーネル大学でホテル運営を学び、Morgan Stanley(モルガンスタンレー)では金融サービスに携わった。TechCrunchの取材に対しeメールで答えたところでは、日本におけるホスピタリティ事業が有望であると考えたのは次の3つのトレンドからだという。

  1. 旅行業自体が好調
  2. インバウンド客の増大
  3. 宿泊先不足が深刻

H20は当初、バケーション宿泊施設の現場管理を提供していたが、2018年に仲介、予約、支払いを含めた全面的なホスピタリティサービスに参入した。

リー氏は「ホスピタリティ産業の中心をなす価値は最終的には対象不動産の価値を高めるところにあると考える。施設後のハウスキーピング、つまりあるホテルが独自に予約、フロント、客室管理などの業務を実行するのは不動産の運用という観点からみて非効率極まりない」と述べる。

H2Oの宿泊施設管理システムは宿泊客、部屋、管理業務という3つの重要な要素を同期させるところに秘密があるという。つまり部屋の予約から部屋の消耗品補充、清掃、料金収納、不動産オーナーへの支払いなど一連の業務がオンラインプラットフォーム上でシンクロして連続的に実行されることで高い効率性が得られる。空室リスト作成から宿泊のスケジューリング、清掃までまでH2Oの高度なソフトウェアが処理するという。

このプラットフォームはまた不動産オーナーが多数の施設を持っていても予約から入退室管理まで同時に管理でき、またチャットベースで宿泊客のサポートも行う。

2019年6月に日本では民泊新法制定され、一般の民間不動産を利用して短期滞在客を宿泊させるAirBnbのようなサービスが公式に認められた。リー氏はすでに宿泊関係のサービスに関わっている不動産投資家多数が(新法により)民泊分野に参入することになるという見通しを述べている。H2Oはホテル、旅館、簡易宿泊所、住宅宿泊事業(民泊)それぞれの認可を得ているが、事業の大部分は民泊に分類され、B2B事業として成長が期待されている。

2019年にH2Oが取り扱った宿泊の料金は1泊あたり平均160ドル(約1万7400円)程度で、稼働率は平均87%だった。H2Oのユーザーの7割は不動産管理業者、2割が日本国内の不動産所有者、1割が海外の不動産ファンドだった。H2Oを利用したゲストの4割が国内の旅行者、6割が海外からのインバウンド旅行者だった。インバウンドの内訳は、4割が中国、4割が韓国、1割が他の東南アジア、1割がその他の国、地域となっている。

Samsung Venturesの上級投資マネージャーであるEric Kim(エリック・キム)氏は投資を発表した声明で「ホスピタリティ・サービスという日本における急成長市場でH2Oを支援できるのは喜ばしい。H2Oは日本においてプロダクトマーケットフィットが達成できたことをすでに証明している。 H2Oが今後日本の大都市圏の外にも拡大し、成長を続けていくものと確信している」と述べた。

画像:Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

Airbnbが新宿区と提携、民泊の環境と意識のレベルアップ目指す

Airbnbと東京都新宿区は6月6日、住宅宿泊事業者(民泊事業者)の適正な運営を促すための提携を発表した。これにより同社は、ホストとなる民泊事業者への法令遵守の啓発、ホストとゲスト(利用者)への防災情報の提供、そして新宿区の観光・地域イベントの情報提供などを新宿区と進めていくとのこと。

Airbnbの共同創業者兼CSO(チーフ・ストラテジー・オフィサー)、そしてAirbnb Chinaの社長を務めるネイサン・ブレチャージク(Nathan Blecharczyk)氏。同氏によると、東京と大阪はトップ10の旅行先に入っているとのこと

訪日外国人にとって、緊急時の避難場所などの情報は重要。国内でも特に地震が多い東日本に滞在する観光客にとって、今回のような自治体との提携が増えることは、安心材料の1つになるはずだ。

Airbnbは同日、Airbnb Partnersの参画企業が117社になったことも発表。具体的には、Airbnbホスト向けに宿泊時のトラブル対応や部屋の運用代行などのサービスを提供するエアトリスティや手間いらずとは、運用の効率化を図るためのツールとしてPMS(Property Management System)を共同開発。

不動産の売買仲介やハウスリースなどの事業を展開するハウスドゥとは、ハウスドゥが管理している空き物件を民泊として運用できるように前述のエアトリスティの協力の下で実現している。

地域イベントの盛り上げのために観光客を呼び込む「イベント民泊」にも力を入れているという。例として、ラグビーワールドカップの開催地の1つである岩手県・釜石市や幕張メッセを擁する千葉市、熊本県、大分県とパートナーシップを締結。自治体の要請を受けることで、一般人が旅館業法に基づく営業許可なしで宿泊サービスを提供することを可能に制度を確立している。

さらにLINEとベンチャーパブリックと提携し、「LINEトラベルjp」でのプロモーションを開始した。そのほかのパートナー企業との協業により、Tポイントの付与や各種保険の加入にも対応している。