米国でのはしか再流行を受けIndiegogoがワクチン反対キャンペーン排除へ

昨年の米国におけるはしか(麻疹)の流行は、2000年の「絶滅」宣言以来最悪を記録した。国内ワクチン接種率は依然として高いものの、CDC(疾病対策センター)によると、「ワクチンは危険」と主張する虚偽情報を流布するキャンペーン(anti-vaxxキャンペーンと呼ばれる)が一部のコミュニティーに今も存在し、親が子供のワクチン接種を拒否する事態を招いている。不幸なことに、コミュニティーのメンバーが、この病気に(多くは海外で)感染した人と接触すると、致命的大流行を引き起こすおそれがある。はしかは非常に伝染性が強く、特に子供の場合は命にかかわることがある。

トランプ大統領は米国民に対して「予防接種を受けなさい」と呼びかけているが、かつては彼もワクチン接種と自閉症を関連付けるかのような発言をしていた。公衆衛生専門家らは関連を否定している。

一方英国では過去10年間に50万人以上の子供たちが、はしかに無防備な状態にあり、ユニセフは予防接種の重要性を改めて提唱した

こうした状況を受け、一部のテクノロジー企業は自分たちが問題の一部であることを認識始めている。

米国時間4月27日、クラウドファンディングのIndiegogoは、反ワクチン募金などいわゆる非科学的な「健康キャンペーン」による同プラットフォームの利用を禁止すると発表した。

きっかけとなったのは、ワクチンが自閉症を引き起こすという虚偽の主張に基づくドキュメンタリー「Vaxxed II」が8万6543ドルの資金を集めたことだった。プロジェクトを主催する組織The People’s Truthは、集まった資金から5%の手数料を引いた現金を受取ることができるが、金曜日にIndiegogoは、同様の反ワクチンプロジェクトを禁止する新しいポリシーの導入を検討中であることをBuzzFeed Newsに伝えた

募金主催者はIndiegogoの虚偽キャンペーンに関する現行ポリシーに違反したわけではなかったが、Indiegogoはサイト上でこのキャンペーンを一切宣伝しなかったと広報担当者は言った。問題の「ドキュメンタリー」の総監督、Polly TommeyとBrian Burrowesは、IT各社が彼らの映画を「プラットフォームから排除」したことを「検閲」だと批判した。

こうしたキャンペーンの宣伝手段を断つ判断を下した企業は、Indiegogoが最初ではない。

先月Facebookは、ワクチン反対グループによる広告や発言を排除し、Facebook検索で反ワクチンページを見つけにくくした。Facebook傘下のInstagramも、ワクチンに関する不正確な情報の発信をハッシュタグと検索から排除すると発表した。YouTubeも、反ワクチンコンテンツが同プラットフォームで広告収入を得ないようにするという以前の宣言を繰り返した

一方Amazonも、ワクチンと自閉症の非科学的関連性を助長する書籍やVaxxedのようなドキュメンタリーを削除した。クラウドファンディングのGoFundMeも、反ワクチン派による資金集めキャンペーンを禁止した

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

Facebookが反ワクチン・デマ対策強化、広告禁止、表示ランクを引き下げへ

2月にFacebookは、生死に関わる場合もある悪質な反ワクチン投稿にどう対処するか検討していることを明らかにした。同社は近くこうした危険な投稿の表示ランクを下げるなどの措置に踏み切る。

ワクチンに関する誤った情報の拡散を最小限に抑えること、反ワクチンのプロパガンダからユーザーを遠ざけ、現代の医療と科学による裏づけのある「信頼できる情報」に向かわせるのがFacebookの戦略だという。

今後Facebookは反ワクチンを主張する広告を拒否することで誤情報の拡散を抑制する。これに違反する投稿、宣伝を繰り返した場合アカウントの凍結もあり得る。ニュースフィード表示、ニュースフィード検索の双方で反ワクチン投稿のランキングを下げる。。Instagramでは「発見」タグやハッシュタグを利用した誤った反ワクチン情報が含まれるコンテンツが公衆の目に触れないようにする。Facebookは「『ワクチン論争』というターゲティング記述子を含む広告も削除される」と注意を促している。

反ワクチンのデマや陰謀論が拡大した過程でFacebookが果たした役割に2月にスポットライトが浴びせられた。Guardianの記事はFacebookYoutubeが危険なデマの拡散を助けていると指摘した。 カリフォルニア州選出のアダム・シフ下院議員(民主党)はFacebookGoogleに書簡を送り、「医学的に根拠のある情報をユーザーに提供するためにどんな方法を取るつもりなのか、さらに情報を提供する」よう求めた。

先月のBloombergの記事は「Facebookはこの問題に対処するためにさらなる手段を追加することを検討している」と述べた。この手段というのは反ワクチン宣伝が「おすすめのグループ」を始めとするFacebook側の推薦として表示されないようにすること、こうした誤情報の検索結果の表示順位を引き下げること、逆に医学的に根拠がある情報をユーザーの目に触れやすくすすること」などが含まれる。

オンラインのニセ情報拡散の中でも反ワクチン・プロパガンダは現実に対して非常に危険な結果をもたらす。アメリカは現在はしかのアウトブレイクに直面している。はしかは幼児や高齢者には致死的になることがある感染症だが、ワクチンで完全に予防できる。にもかかわらず、ワシントン州クラーク郡の例のように大規模な学校閉鎖が生じている。

Facebookがこうした危険な誤情報の拡散を防止することに注意を向けたのは評価できる。こうしたデマや陰謀論には徹底した措置を取ってもらいたい。しかし問題はFacebookにせよ他のソーシャル・プラットフォームにせよ、問題が深刻化してから後追いで対策を始めるという点だ。ソーシャルメディア上でアルゴリズムを悪用したデマの拡散が今後も起きることは間違いない。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+