埼玉大学発の進化分子工学スタートアップEpsilon Molecular Engineeringが資金調達

埼玉大学発の進化分子工学スタートアップEpsilon Molecular Engineeringが資金調達

進化分子工学を基盤技術とする埼玉大学発バイオテック系スタートアップのEpsilon Molecular Engineering(EME)は12月23日、シリーズAラウンドのセカンドクローズとして資金調達を実施したと発表した。

セカンドクローズの引受先は、リード投資家の三菱UFJキャピタル、地域経済活性化支援機構(REVIC)と群馬銀行がその子会社を通して運営するぐんま医工連携活性化投資事業有限責任組合、花王。また商工組合中央金庫より劣後ローンを実行、埼玉りそな銀行より借入、首都圏リースよりリースを実行した。シリーズAラウンドにおいて、エクイティファイナンス、借入、リースにより合計5.7億円を調達したことになる。

調達した資金により同社は、Heavychain single domain抗体(VHH。シングルドメイン抗体)を中心に新世代中分子バイオ創薬の研究開発をさらに推進する。

EMEは、「未来のバイオ分子を創造する」をミッションに掲げ、埼玉大学発スタートアップとして2016年に設立。設立者および現代表取締役は、埼玉大学大学院 理工学研究科物質科学部門 根本直人教授。

進化分子工学の技術によって、VHHやcyclic peptidesなどの巨大な配列多様性を有するライブラリ「cDNA Display Libraries」を独自に構築し、次世代シークエンス NGS、FACS、AIを活用した独自のハイスループットスクリーニング法によるシステムを構築した。

進化分子工学とは、突然変異と淘汰による生物の進化サイクルを試験管内で再現し、タンパク質など分子の生物機能に改良を加えていく研究。分子に変異を導入・増幅することで多様性を創出し、「望む機能を備えるものだけが生存する」プロセスを繰り返すことで、新たな分子機能を開発する。

現在同社は創薬・医療領域にフォーカスしており、新しいモダリティによる新世代のバイオ医薬品や中分子医薬品の開発候補品の取得、細胞・遺伝子治療でのVHHの活用に取り組んでいる。

また、製薬企業などの提案に基づく共同研究開発を展開し、さらに自社研究開発パイプラインについて共同研究開発パートナーとの早期の提携を目指して研究開発に取り組んでいる。最近の成果として、新型コロナウイルスに対し感染抑制能をもつVHHを取得した旨を北里大学、花王と連名で発表した(「大村智記念研究所片山和彦教授ら研究グループが新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して感染抑制能(中和能)を有するVHH抗体の取得に成功」)。

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カテゴリー:バイオテック
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