建物の外側は汚くなりがちだ。壁に汚れがついてくるし、窓はくすんでくる。クモの巣だらけにもなってくる。特に湿度の高い場所に住んでいる場合には、カビで外壁が科学実験中のように見え始めかねない。
高い建物では、それらを全てこすり落とすためには、高所作業車を使ったり作業足場を組んだり、もしくは吊り下げ器具を使って作業員を建物の外に吊り下げたりすることになる。事前準備も大変だし、転落や負傷の可能性も高い。だがノースカロライナ州から登場した新会社Lucidのアプローチは異なる。ドローンを利用するのだ。
高圧洗浄ではなく、彼らのドローンは建物を「柔らか洗浄」する。対象は個人の家でも、オフィスビルでも、あるいは大学の図書館でも構わない。同社によればレンガや石灰石の表面で働き、生分解性のある洗浄液を吹き付けることで洗浄が行われるのだという。オペレーターは現場に着くと、ドローンを取り出して電源を入れて、次に作業トラックの荷台に載せられたタンクに接続する。タンクとドローンは常時ホースで接続されていて、大部分の重量を地上に残しながら低圧スプレー装置へと洗浄液を送り込んでいる。オペレーターは、リモートコントロールを使ってドローンを制御する。
現在、ドローンはバッテリーで駆動されているが、Lucidは将来的には、有線による電力供給をデザインに取り込む予定だ。同社によれば、ドローンは現在、高さ120フィート(約36.6m)までの建物を掃除できるように設計/テストされているという。建物のデザインにもよるが、これはおよそ10〜12階建ての高さである。
彼らの初期のテストは既製のドローンで行われたものの、現在では同社特製のものが使われているとLucidは私に語った。彼らのドローンは、ホースの重さに耐え、細かい制御と容易な操作を許すためにゆっくりと飛び、なおかつFAAの小型無人航空機ガイドラインに適合できるように十分に軽い(55ポンド、約25kg以下)ものである。同社は、ペイロードの要件にもよるものの、彼らのドローンの重量は約25〜30ポンド(約11.3kg〜13.6kg)程度だと言っている。
Lucidの共同創業者であるアンドリュー・アッシャー(Andrew Ashur)氏によれば、彼らはもともとサービス事業者としてスタートし、オペレーターを雇用して建物のクリーニングを自分自身で行っていたのだと言う。ドローンのコンセプトのテストを始め、他の企業からの問い合わせが寄せられ始めると、チームはドローン自体を販売したほうがいいのではないかということに気付いた。彼らは現在、サポート、トレーニング、そしてメンテナンス(ホビーストのドローンパイロットなら皆知っているように故障は必ず起きる)込みで、1カ月あたり3000ドルでドローンを企業にレンタルし始めている。
LucidはY Combinatorの2019年夏クラスの一員である。先週開催されたYC Demo Dayの時点で、同社は1ヶ月あたりの売上が3万3000ドルに相当する契約に署名済みだということを公表していた。
アッシャー氏は、最終的には全国展開を検討しているものの、現在は米国南東部に焦点を当てていると語った。そこは彼らの創業の地域であると同時に、カビの問題がよく見られる地域だからである。
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(翻訳:sako)