中国の探査機「嫦娥5号」が月面に水が存在する証拠を直接確認、世界初

中国の月探査機Chang’e-5(嫦娥5号)が、月面で水の存在を確認するデータを観測した。これは、地球の衛星に水が存在することを現地で確認した初めての例になる。中国の研究者は、Science Advancesに掲載された研究論文で、探査機がH2Oや水酸基(H2Oに近い化学物質)の兆候を検出したと主張している。嫦娥5号は、着陸地点の近くにあるレゴリスの組成をスペクトロメーターで分析した。その結果、ほとんどの土壌のスペクトル観測による水の濃度推定値は120ppm以下で、月面は地球の表面よりもはるかに乾燥していることがわかった。

Honglei Lin他。

中国の科学者たちは、これらの分子のほとんどが太陽風移植と呼ばれるプロセスによって月にもたらされたと考えている。太陽からの荷電粒子が水素原子を月面に追いやり、後に酸素イオンと結合して水と水酸基を形成したという説だ。今回の研究は、NASAが2018年に発表した、空中赤外線望遠鏡を用いて月の太陽に照らされた表面に水が存在する証拠を発見した知見に基づいている。何十年もの間、科学者たちは、月には大気がほとんど存在しないため、月は完全に乾燥していると考えていた。大気がないということは、太陽の厳しい放射線から水分子を守るものがないと考えられていたのだ。

編集部注:本稿の初出はEngadget。著者Igor Bonifacic(イゴール・ボニファシッチ)氏は、Engadgetの寄稿ライター。

画像クレジット:China Daily CDIC / Reuters

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(文:Igor Bonifacic、翻訳:Aya Nakazato)

中国の月着陸船「嫦娥5号」が月面着陸に成功、米国、旧ソ連に続く3カ国目の土壌採取に挑戦

中国の国営通信社は、月の岩石サンプルを地球に戻すことを目的とした月探査ロボット「嫦娥5号(Chang’e-5)」が着陸に成功したと報じた。打ち上げは11月23日に始まり、11月28日に月周回軌道に到達、11月30日に着陸機を打ち上げている。中国国家航天局(CNSA)の報告によると米国時間12月1日東部標準時午前10時(日本時間12月2日0時)すぎに無傷で月面に着陸するという目標を達成したという。

中国の嫦娥5号ミッションは月から土壌や岩石のサンプルを持ち帰るというもので、成功すれば中国は米国と旧ソ連に続く3カ国目となる。ミッションで月着陸船は、地球に最も近い月の側面(月の自転周期と公転周期は同じ約27日間のため、地球から見ると月は常に同じ面を向けていることになる)に着陸した。

今回の着陸は、ミッションにおける次のステップまで時間的な余裕がない。というのも、着陸機にはヒーターユニットが搭載されていないため、月の夜に耐えることができない。つまり今後、地球時間で14日間のうちにサンプルを採取しなければならず、12月16日か17日頃には戻ってくる可能性があることになる(すべて計画どおりに進めば、中国が月の石を持ち帰るのは私たちのTC Sessions: Space eventに偶然にも間に合うことになる)。

現在進行中の地球外のサンプルリターンミッションはこれだけではない。ロッキード・マーチンが設計した探査機は2020年11月に、地球近傍小惑星ベンヌのサンプル回収に成功したばかりで、2021年3月に再度出発する予定だ。NASAはまた、2020年7月に打ち上げた探査機「Perseverance」を使って、火星へのサンプル回収ミッションを開始している。

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カテゴリー:宇宙
タグ:嫦娥5号中国

画像クレジット:Jin Liwang/Xinhua / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)