徳島拠点の電脳交通がタクシー活用のフードデリバリー「電脳デリ」を開始

電脳交通は5月7日、同社の拠点である徳島市内をサービスエリアとして、自社のシステム・コールセンターとタクシーを活用した「電脳デリ」のサービスの実証実験を開始した。

これまでタクシーでの有償貨物運送は法律で禁止されていたが、新型コロナウイルス(COVID-19)蔓延によるタクシー業界や飲食業界の売上の大幅な落ち込みなどの社会情勢を鑑み、国土交通省がタクシー事業者による有償貨物輸送の特例制度を創設。全国各地で制度を活用して配送サービスを行うタクシー事業者が登場している。名古屋ではUber Eatsと連携してサービスを運用する会社もある。

同社が運営する電脳デリでは。利用者が飲食店に電話でデリバリーを注文・依頼。注文を受けた飲食店が、電脳デリコールセンターに配達日時や届け先情報を伝達。協力するタクシー事業者の車両に対してシステムを通じて配送指示を送信という流れとなる。利用者や店舗側は電話さえあればサービスを利用・提供可能で、アプリのインストールなどは不要なので、スマホやPCを持たない家庭やシニア層でも戸惑わずに使えるはずだ。

電脳デリの概要以下のとおり。実証実験のため一部は変更の可能性がある。

  • サービス開始日:|2020年5月7日(電話受付時間|毎日8時00分〜19時00分)
  • 受付期間:配送日の1週間前から受付可能。ランチ便は当日11時まで、ディナー便は当日17時まで
  • 配達時間:ランチ便は12時〜13時、ディナー便は18時〜19時に配送
  • 対象店舗:お持ち帰りデリ・とくしま(https://omochikaeri-deli.com/)運営事業者と連携し参画店舗を募集
  • 定額エリア内の配送サービス料:800円
  • 定額エリア外の配送サービス料:タクシーメーター料金

配達エリアは徳島市内の以下の地域。

電脳交通は5月1日に徳島県徳島市と地域活性化包括連携協定を締結しており、徳島市が目指す持続可能な公共交通ネットワークの再構築に向けて策定された「徳島市地域公 共交通網形成計画」の実施に協力していく。今回の電脳デリもその一環だ。

同社は、配車手配やコールセンター業務といったタクシー会社のバックオフィスのクラウドシステムを開発・提供するスタートアップ。地方の中小タクシー運営会社のバックオフィス業務は高齢化かつ人手不足、そしてデジタル化が進んでいないことから効率的な配車が難しくなっている現状を改善すべく、タクシードライバーとしての経験もある同社代表の近藤洋祐氏が2015年12月設立した。

2019年2月にはJR西日本、日本交通、篠山市(現・丹波篠山市)と連携し観光客向けタクシー乗り放題サービス、2019年3月にはNTTドコモと山口市阿東地域を運行エリアとするタクシー事業者2社と連携した公共タクシー運行といった実証実験を進めてきた。また、同社のタクシー配車システムは2019年12月時点で、全国18都道府県、約3000台のタクシー車両に搭載されている。直近では3月31日に、島根県邑南町で運行されている自家用有償旅客運送「はすみ デマンド」において、同社のクラウド型配車システムを利活用し予約・運行管理を行う実証実験を実施している。