掃除ロボ「ルンバ」のiRobotがスマート空気清浄機メーカーAerisを買収

ちょうど1週間前、我々はiRobot(アイロボット)のAmazon(アマゾン)との協業に関連して、同社のスマートホームの野望について議論していた。iRobotは、スマートホームのミッシングリンクとしてのRoomba(ルンバ)の可能性を引き出すことを目指して、過去2、3年の間に少しずつその計画を明らかにしてきた。

そして米国時間11月18日、同社はHEPA空気清浄機で知られるスイスのAeris Cleantec AGを買収するという、ちょっと意外な次のステップを踏み出した。この買収は、最初のロボット掃除機を発表してから約20年が経過した今、家庭内の清掃という同社の中核を成すフォーカスに合致したものと言える。

CEOのColin Angle(コリン・アングル)氏はリリースでこう述べている。「本日発表されたAerisの買収は、iRobotの戦略における重要なステップであり、対応可能なマーケット全体を拡大し、製品ポートフォリオを多様化することで、消費者のみなさまに家をより清潔で健康的に保つための新しい方法を提供するものです。特に、パンデミックによって、より清潔で健康的な家庭を維持することの価値に対する消費者意識が高まっていることから、Aerisの製品の成長ポテンシャルを高く評価しています。また、当社のGenius Home Intelligenceプラットフォームと家庭用ロボットの既存のエコシステムを活用して、iRobotの体験を空気清浄機にもたらすことができる可能性にも期待しています」。

先週話していたように、iRobotのルンバ以外の成功したラインのほとんどが、2012年にBraava(ブラーバ)、2019年にRoot(ルート)を買収したことを含め、買収から派生していることは特筆すべき点だ。

空気清浄機は、パンデミックの影響で、この2年間で非常に重視されるようになったトピックであることは間違いない。しかし、それ以前にも、コネクテッドホームフィルターなどの登場により、このカテゴリーは活況を呈していた。Aerisの主力製品である「Lite」と「3-in-1 Pro」には、デバイスの状態を監視したり、複数の接続された機器を制御したりするためのスマートフォンアプリが搭載されている。

最後の部分には、iRobotの大きな計画を垣間見ることができる。独自のスマートスピーカーを持たないiRobotは、接続されたビーコンとしての役割を果たす、何らかのスマートホームデバイスを探していることは間違いない。それは、高価ではあるが、空気清浄機のようなものになるかもしれない。将来的には、ルンバのドッキングステーションにAerisの浄化技術が組み込まれるかもしれない。

iRobotによると、この取引はすでに終了しており、同社はAerisに7200万ドル(約82億2000万円)の現金を支払ったという。「この最初の現金対価に加えて、取引には、Aerisが2022年に一定の目標を達成した場合、ささやかな業績ベースのアーンアウト条項が含まれています」とのこと。

画像クレジット:iRobot

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(文:Brian Heater、翻訳:Aya Nakazato)

さらに賢くなったロボット掃除機「ルンバ」、ペットの排泄物は避けて飼い主に報告

Roomba(ルンバ)は、明らかに世界で最も普及しているロボットの1つだが、最も賢いロボットの1つだったわけではない。とはいえ、全体的に見れば、それは大きな問題ではない。このトップセラーの掃除機は、自分のやるべきことに関しては優秀な仕事をする。それはつまり、床をきれいにするということだ。しかし、ロボット工学者の仕事に終わりはない。iRobot(アイロボット)がその注目とリソースの大半をこの分野に注いできたことには理由がある。この会社は事実上すべての時代を、非常に特殊なタスクを実行するロボットの能力を向上させることに費やしてきた。

そして今回は、搭載したセンサーを使って、家の中のエリアやレイアウト、掃除に余計に時間がかかる領域などを記憶することができるようになった。

「継続的な学習機能が有効になっているので、あなたが家の中で何かを変えると、Roombaはそれを理解します」と、iRobotのColin Angle(コリン・アングル)CEOは、TechCrunchに語った。

「今まで開けたことのないドアを開けたら、ルンバはそこを探索します。ソファを移動させれば、家の中が以前とは少し違っていることを理解し、それを承知します。収集した情報はどんどん豊かになっていきます」。

画像クレジット:iRobot

もう1つの大きな進化は、特定の物体を識別して避けるようになったことだ。同社はこれまでに何百もの物体を識別する作業を行ってきたが、まずは2つの具体的な問題領域から着手している。コードとウンチだ。理由はそれぞれ大きく異なるものの、どちらもロボット掃除機にとって大きな問題となる。どちらの場合も、手やヒザをついて後処理をしなければならなくなるのは嫌だろう。

ウンチ(poop)に関しては、iRobotはそれを頭文字とする保証を付けた。Pet Owner Official Promise(P.O.O.P.、ペット飼い主公式契約)と呼ばれるこの保証は、動物の排泄物を轢いてしまった「Roomba j7+」を交換するというものだ(本キャンペーンは、購入から1年間有効で、交換製品のみを対象とする。限られた地域でのみ実施され、追加の規約と条件が適用される。詳細はこちらをご覧いただきたい)。

「Google(グーグル)で検索すると、ロボットが動物のウンチを轢いてしまったというあまり愉快ではない例が見られます」と、iRobotで製品管理ディレクターを務めるHooman Shahidi(フーマン・シャヒディ)氏はいう。「私たちはこの問題をお客様と一緒に解決しました。動物のウンチを発見したら、それを避けて、お客様にお知らせします」。

画像クレジット:iRobot

アングル氏は次のように付け加えた。「人を家に送って何百ものウンチのモデルを作っていた頃は、ロボット工学者としての輝かしいキャリアはまったく忘れられていたかもしれません。人を送り込んで、ウンチの模造品を撮影・作成しました。何万枚のさまざまな形の模造ウンチの画像が必要だったかはわかりませんが、これは明らかにデモコードではありません。オシッコは無理です。3次元的な要素が必要ですが、しかしロボットは識別して避けることができると我々は信じています」。

3つ目の改良は、ユーザーの行動にシステムを適合させるスケジューリングだ。例えば、留守中に自動的に掃除をしたり(携帯電話の位置情報をトリガーとして利用する)、人がいる部屋は避けるようにすることができる。ロボットが家の中を移動する必要がある場合は、静かに走行し、実際に作業を開始する時間になるまで起動しない。清掃時間の目安を表示し、ユーザーに作業時間がどれだけ掛かるかを知らせることもできるようになった。

Roomba j7は、米国およびカナダでは、649ドル(約7万1000円)という価格で販売されている。Roombaが集めたゴミを収容しておけるコンパクトなクリーニングベースが付属する「j7+」は849ドル(約9万3000円)だ。欧州でも販売されており、来年には他の市場にも展開が予定されている。一方、バージョンアップしたソフトウェア「Genius 3.0」は、同社の他のコネクテッド・ロボットにOTAアップデートで提供される予定だ。

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画像クレジット:iRobot

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(文:Brian Heater、翻訳:Hirokazu Kusakabe)