Googleは、フランスの競争当局(日本の公正取引委員会に相当)から7月に課せられた5億ドルあまりの罰金に控訴をしている。
その罰金は、コンテンツの再利用に関してニュースの発行者に使用料を支払う件における、アドテック巨人(Google)のやり方に関連している。
Google Franceの副社長でカントリーマネージャーであるSebastien Missoffe氏は今日の声明で、その罰金は「不釣り合いな」性格のものであり、ニュースの発行者と契約し、改定された著作権規則に準拠しようとしているGoogleの「努力」に照らして正当化できない、と主張している。しかしそれは、弁護の声明としては相当ひどいものだ。
Missoffe氏は次のように付言している: 「2020年の4月から8月までの交渉に基づいてフランスの公正取引委員会が行った決定に、われわれは控訴する。われわれは、いくつかの法的要素に同意しないし、その罰金は、合意を求め新たな法に準拠しようとするわれわれの努力に対して不釣り合いである」。「にもかかわらずわれわれは、関連する権利を認め、この事案の解決のために献身し、取引の正常化に努めていく所存である。これには、オファーを1200社の発行者に拡大することと、われわれの契約の諸側面を明確にし、またフランス公正取引委員会の7月の決定で求められているよりも多くのデータを共有することが含まれている」。
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さかのぼって2019年に、欧州連合は、ニュース記事のリード文を著作権の対象に含めるする改定デジタル著作権法に合意した。その部分はGoogle Newsのようなニューズアグリゲーターが何年も前から毎日のように削り取って表示していた断片記事である。
EUの加盟国はアップデートされた全EUの改革を自国の法律に転置しなければならない。それを最初にやったのが、フランスだった。
また、改定法をGoogleに強制する件でも、フランスの競争当局が先陣を切り、昨年、このテクノロジーの巨人に対して発行者と交渉するよう命じた。そして発行者がGoogleの交渉態度に不平を言ったとき、超弩級の罰金を課した。
今夏に罰金を発表するときフランスの競争委員会は、このテクノロジー巨人が別の罰金や課金義務などの発生を避けるために、ローカルな発行者に対してグローバルに運用しているニュースライセンスプロダクトを一律に課そうとしていると非難した。EUとフランスの法律では、そういう発行者とも、個別に交渉すべきことが定められている。
Googleの手口に対する当局の不平不満のリストは膨大である。これに関し、本誌の初期の記事はここにある。だから、今度の控訴も、どこまでが単なる時間稼ぎなのか、よく分からないのだ。
ロイターによると、仏競争委員会は、控訴で罰金が一時棚上げになることはないし、すでに(7月に)発せられている期限が変更されることもない、と言っている。それによると、Googleがオファーの改定や発行者への必要な情報の提供に費やせる時間枠は、7月の時点で2か月しか残されていない。そのときまでにすべての要件を満たさなければ、日額90万ユーロの罰金が新たに発生する。その締切は、あと2週間後だ。
Googleは、控訴を発表したことによって発行者の心をそっちに集中させ、どんな代案でも受け入れる気持ちにさせる、と踏んでいるのかもしれない(そのための対象発行者の1200社への拡大か)。控訴の訴状にある「契約の諸側面を明らかにし」と「もっと多くのデータを共有し」などはすべて、Googleが仏当局から厳しくお尻ペンペンされた領域だ。
(文:Natasha Lomas、翻訳:Hiroshi Iwatani)
画像クレジット: Chesnot/Getty Images/Getty Images
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