Instagramがハラスメントに対処する新しいツール「Limits」のテストをしていることを認める

Instagram責任者のAdam Mosseri(アダム・モセリ)氏は、同社が「Limits」という新機能をテスト中であることを認めた。これはユーザーが大量のハラスメントの標的となってしまったときに一時的に自分のアカウントをロックダウンできる機能だ。この新機能は米国時間7月22日に公開されたモセリ氏のビデオの中で発表された。このビデオの中で同氏は、ユーロ2020決勝戦の後にInstagramプラットフォーム上で発生した人種差別を非難し、同社はこの問題を解決するために社内ツールとユーザー用ツールの両方の改善に取り組んでいると述べた。

2021年7月11日のユーロ2020決勝でイングランドチームが負けた後、怒ったファンが人種差別的なコメントで同チームのBukayo Saka(ブカヨ・サカ)、Marcus Rashford(マーカス・ラッシュフォード)、Jadon Sancho(ジェイドン・サンチョ)の3選手にひどいハラスメントをした問題で、Instagramは人種差別の侮辱についてコメントし、非難していた。そのときにモセリ氏は、同社はテクノロジーを使ってユーザーからの報告に優先順位をつける試みをしており、その際に報告の一部が人間のモデレーターに振り分けられず、誤って悪意のないコメントとして扱われてしまったと説明した。判定が難しい理由の1つとして考えられるのは、ハラスメントをしているコメントの多くに絵文字が使われており、Instagramのシステムは絵文字の意味が文脈によって変わることを理解できなかったためと見られる。

米国時間7月22日にモセリ氏はInstagramの誤りをあらためて認め、この問題を修正したと述べた。同氏によれば、Instagramは3選手に対するコメントをどんどん削除していたが、ユーザーからの報告の動きは予測できなかったという。

さらに同氏は、Instagramには1日に何百万件もの報告が寄せられ、そのうちの1%が誤って放置されれば問題のある数万件の投稿がプラットフォーム上に残ってしまうと語った。

モセリ氏は、ユーザーが自分のアカウントに対するハラスメントに直接対処し侮辱を避けるのに役立つツールに言及した。これには「ブロック」や「制限」などのツールがある。「制限」は誰かのコメントを他の人たちの目に触れる前に承認したり、誰かからのメッセージを既読をつけずに読んだりするツールだ。最近追加された「Hidden Words(隠される言葉)」というツールは、コメントとダイレクトメッセージの両方に対して特定のキーワードをブロックすることができる。

関連記事:Instagramは中傷DMをキーワードと絵文字でフィルターし犯人の新設アカウントもブロックできるツールを公開

同氏は「Limits」は簡単な設定で見たくないコメントやリアクションを制限できる機能であるため、この機能があればサッカー選手たちの助けになっただろうと述べた。

ソーシャルメディアコンサルタントのMatt Navarra(マット・ナバラ)氏が7月上旬にこの機能を見つけ、動作を示すスクリーンショットを共有していたが、Instagramはこれまで正式に発表していなかった。

共有された画像を見ると、この機能を使えるようになっているユーザーにはInstagramのプライバシー設定に「Limits」という新しいセクションが表示され、特定のフォロワーのグループに対してコメントとメッセージを一時的に制限できると説明されている。

ユーザーはグループに対して制限をオン / オフできる。最近フォローされ自分はフォローしていないアカウントというグループがあり、スパムのアカウントやハラスメントをするためだけに最近作られたアカウントがこれに含まれる可能性がある。大量の侮辱が寄せられたとき、それが長年のフォロワーからであるケースは少なく、ハラスメントのために作られて新たにフォローされたアカウントからであることが多い。

ユーザーは制限をかける期間を日単位や週単位で設定することもできる。

Instagramの広報はこの画像のように動作することを認め「強烈なハラスメントや侮辱の事例」への対処に役立つツールになるだろうと述べた。

モセリ氏はLimitsがさまざまな場面で有効であることを次のように詳しく説明した。「高校で仲間はずれになったり、転校したばかりの人もいるでしょう。プロのサッカー選手で、大量のハラスメントを受けている人もいるかもしれません。さまざまなケースで人は一時的に苦痛にさらされることがあり、我々はそうした場合に自分を守るツールを提供したいのです」。

Instagramはこの機能がいつ一般に公開されるかを明らかにしなかったが、当面は一部の国のモバイルアプリでテストをすると述べた。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Instagramハラスメント誹謗中傷差別

画像クレジット:Bryce Durbin

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Kaori Koyama)

TikTokが一括でコメント削除とユーザーのブロックができるツールを公開

TikTok(ティックトック)は米国時間5月20日、クリエーターがオンライン上の誹謗中傷に対処しやすくするための機能を導入した。新しいツールは、コメントの削除とユーザーのブロックを一括で行えるもので、1件ずつコメントに対応する必要がない。ただしこのアップデートには賛否両論がある、なぜなら、実際には多くの反論や訂正がTikTokコミュニティから寄せられている自分の投稿を、あたかも好評であるかのようにクリエーターが印象づけることができるからだ。

Twitter(ツイッター)も過去に同様の問題に直面したことがあり、最終的には、投稿主に会話の管理権を与えることと、その判断をTwitterユーザー全体に委ねることの間をとった。Twitterの「Hidden Replies(返信を非表示)」機能では、投稿者は役に立たない失礼なコメントをクリックの背後に隠すことができる。つまり、コメント自体は削除されないが会話を妨害することは許さない。

関連記事:Twitterが「返信を非表示」をグローバル公開、ブロックも選択可能に

それに対してTikTokは、クリエイターに全権を委任する。これはFacebook(フェイスブック)近いアプローチで、Facebookでは自分のプロフィールに現れたものは何でも削除できる。自分の投稿につけられた気に入らないコメントも。

一括削除ツールのスクリーンショット。でも、このユーザーはなぜステキなコメントを削除しているのだろう?(画像クレジット:TikTok)

TikTokの選択はおそらく正しい。なぜなら、このソーシャルネットワークは主に動画を通じて会話するように作られているからだ。デュエットやスティッチなどのビデオフォーマットによって、TikTokユーザーはサイト上の別のコンテンツにリアクションしたり返信したりするだけでなく、クリエイターのプロフィールを褒め称える新たなコンテンツを作ることもできる。中にはこれを使って自分を有利にしようとするクリエイターもいる。彼らはまず自分と相容れないコンテンツを見つける。多くの場合「悪い意見」と誤情報に関するルール違反の間にあるものだ。つぎに、デュエットまたはスティッチ(あるいはグリーンスクリーン・デュエット)を使ってそのコンテンツの主題に対する自らの意見をシェアする。

関連記事:TikTokがライバルに負けじと新たな表現を生み出す別動画を自分の動画の背景にできる機能など公開

ただし、この方法は怒ったファンの軍団を他のビデオに送り込み、そこで元の投稿者に対する荒らしや嫌がらせを進行させる恐れがある(そういうリアクションが起きる可能性は、投稿に対する本人のスタンスと主題の政治的内容による)。

TikTokはそういう使い方を「遺憾である」と述べている。TikTokで一躍スターダムへと上りつめたティーンエージャー少女でフォロワー1億1600万人のCharli D’Amelio(チャーリー・ダメリオ)氏をはじめとする早くからのスターにとって、そういう面はたしかにある。ダメリオ氏は自らのオンライン人気の影の部分について話し始めていて、増え続ける批判にさらされてもはやTikTokで喜びを見いだすことは難しいと言っている。悪質な嫌がらせコメントボディシェイミング(体形をけなす行為)、さらにはインフルエンサーらの本質的に競争的で不誠実な行動への対応などだ。

新たな一括削除機能はこうした問題を解決するわけではないが、クリエイターはコメントセクションを一掃し、荒らしをすばやくブロックできるようになることで、自分のプロフィールの外見をある程度復旧できる。

新機能を使うには、コメントを長押しするか右上隅の鉛筆アイコンをタップしてオプションウィンドウを開く。そこで最大100件のコメントまたはアカウントを選択して、複数のコメントを削除または報告したり、ユーザーまとめてブロックすることができる。

TikTokは、新機能はまず英国、韓国、スペイン、アラブ首長国連邦、ベトナムおよびタイで公開し、数週間のうちに米国を含む全世界に展開する、と言っている。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:TikTok誹謗中傷SNS

画像クレジット:Nur Photo / Getty Images

原文へ

(文:Sarah Perez、翻訳:Nob Takahashi / facebook