メルセデス・ベンツの新しい車内アシスタントMBUXとスマートUIが素晴らしい

私がCESで自動車メーカーのインフォテインメントシステムやマルチメディアシステムのアップデートに注目することは稀だ。通常は自動運転、電動化、モビリティサービスなどに興味を持っていかれているからだ。しかし今年、メルセデス・ベンツは、このショーで最も興味深い発表を行った。新しいMBUXスマートマルチメディアシステムと車内音声対応アシスタントだ。

MBUXは、ここ10年ほど自動車メーカーたちが消費者に売り込んできた、非力で存在感の薄い音声入力システムではない。そうではなく、Nvidiaの強力なGPUテクノロジに基づいて構築された、学習型のスマートなコネクテッドプラットフォームである。私が車内インフォテインメントシステムを使って、真に楽しい気持ちを感じたのは、おそらくこれが初めてだ。これまでは利用者体験の尺度からは、せいぜい「ダメ」から「まあまあ」程度だったのだ。

その理由の一部は、システムを駆動するコンピューターが、高フレームレートの画像を、高解像度のままスクリーン上に表示できるところにもある。あまりにも長い間、自動車のインフォテインメントシステムは、出力を力不足の安価なチップに頼り、自動車メーカーで働くソフトウェア開発者たちに、本当はアラームクロックを走らせるべきではないシシリコンチップの上に、気乗りのしない仕事の結果を押し込む努力をさせていた。走行中に利用する、重要なアプリや情報システムなどに対しても同様である。

  1. preview-928x522-20.jpg

  2. preview-928x522-19.jpg

  3. preview-928x522-18.jpg

  4. preview-928x522-17.jpg

  5. preview-928x522-16.jpg

  6. preview-928x522-15.jpg

  7. preview-928x522-14.jpg

  8. preview-928x522-13.jpg

  9. preview-928x522-12.jpg

  10. preview-928x522-11.jpg

  11. preview-928x522-10.jpg

  12. preview-928x522-9.jpg

  13. preview-928x522-8.jpg

  14. preview-928x522-7.jpg

  15. preview-928x522-6.jpg

  16. preview-928x522-5.jpg

  17. preview-928x522-4.jpg

  18. preview-928x522-3.jpg

  19. preview-928x522-2.jpg

MBUXシステムのダッシュマウントされた2つのディスプレイ(1つは中央に、もう1つはハンドルの向こう側に)の、スクロールとアニメーションは極めて滑らかで、タッチ入力に対し、まるで iPhone のように機敏に反応する。これは典型的な自動車メーカー製タッチスクリーンの性能に比べて、大幅な改善である。

MBUXは、操作性の点でも簡潔性に焦点を当てている。多くの選択肢と機能を提供しているものの、実行したい多くのものを最上位の主画面から呼び出すことが可能だ。たとえば自宅へ帰る、お好みの音楽チャネルを再生する、天気を問い合わせるなどだ。

より深い位置にある特定の機能を呼び出したい場合でも、ショートカットが提供される。MBUXは利用者の好みを学習し、それを主画面から1タップで移動できる”Suggestions”(お勧め)というショートカット画面の中に提示する。提示されるのは、目的地、音楽、室内の温度調整、その他の利用者の習慣を学習した設定、スケジュール、そしてその他の設定項目などだ。そうしたデータはドライバー毎に管理されており、そのプロフィールに紐付けられている。このことで、もしMBUXを装備したメルセデス車に乗り換える場合には、設定がドライバーについてくることさえできるのだ。

もちろん、音声入力の機能もある。これはいつでも「ヘイ、メルセデス」と言ったり、ハンドルのボタンを押すことで起動することができる。これによって、音声コマンドを自然言語で発することが可能になる。例えば温度を上げるために「寒い」と言ったり、地元の天気予報を聞くために来週ビーチサンダルを履けるかどうかをたずねたりするということだ。

実際には、ラスベガスの携帯電話サービスは常に快調とは言えなかったものの、音声コマンドはうまく動作した。メルセデス・ベンツはそのスピーチアシスタントを、連続した接続性のない状況でも使えるように構築しているが、たとえクラウドに接続していない最中でも、多くのことを行うことができる。たとえば車内ライトの調整をしたり、接続したUSBドライブから特定の楽曲を再生するように指示したりということだ。

その能力は、時間とともに成長するようにもデザインされている。このスマートアシスタントはNvidiaを利用したAIテクノロジの上に構築されており、ローカルに成長することもできれば、クラウドからプッシュされるソフトウェアと機能アップデートによっても改善される。メルセデス・ベンツはまた、車の全ライフサイクルに渡って、重要な機能追加を行っていく計画も立てている。Nvidia GPUを使用したことは、実際にそれらのアップデートをサポートするための余剰コンピューティングパワーがたくさんあることを意味している。

NvidiaのCEO、Jensen Huangはインタビューで、同社がダイムラーと2年間直接協力してこれを実現しようとしていると説明し、専用のエンジニアリングチームがこの目的のために設立されたと語った(ダイムラーはメルセデス・ベンツの親会社)。また、ダイムラーのデジタルビークル&モビリティ副社長のSajjad Khanは、Nvidiaと協力することは、現在の成果物を達成するための鍵であったが、成長する余地はまだまだ沢山あると付け加えた。

まとめると、MBUXは驚異的な代物だ。エキサイティングで、パワフルで、テクノロジーの観点からも非常にうまく作られた、自動車メーカー提供のインフォテインメントシステムだ。もし誰かが1週間前に、私のCESのお気に入りの1つは、自動車メーカーのインフォテインメントソフトウェアになると言ったら、笑い飛ばしていただろう。しかし実際にはこの通りだ。

MBUXは、まず今年後半に、全く新しいAクラスに搭載されるが、その後新しいメルセデスの車両たちに展開される。

[原文へ]
(翻訳:sako)