何年か前のこと。私は白黒コンピュータを求めていたが、その奇妙な欲望はいまだに私の中に留まったままだ。誰もまだこの素晴らしいアイデアへと私を連れて来てくれてはいないが、既存のモノクロデバイスは大幅に改善されて来た。まあもちろん、その能力にはまだまだイライラさせられるのだが。だからこそ、reMarkableタブレットが私にとっては、とても嬉しいのだ。これは全面的に電子ペーパーを採用している。
昨年末の発表後、もしこのデバイスを追いかけていたのなら、reMarkableがいわば強化版Kindleだということは知っているだろう。これは可能な限り紙の上への書き込み体験を模倣しようとしたデジタルノートブックだ。もちろん現代技術の利点は備えている。
これまで、様々な場所で行われたハンズオンデモには参加できていいない(太平洋側の北西部で働いていることによる不便な点だ)。なのでreMarkableがその目的をしっかりと達しているかどうかに関する最終的な判断を下すのは、実際の製品を手にしてからにしようと考えている。しかし、ここで私は、彼らを熱心に応援しているのだいう記録を残しておきたい。
私は共同創業者であるMagnus Wanbergならびに、CEO兼デザイン担当役員のMats Solbergにぞれぞれ話を聞いた。彼らには私に近いものを感じることができた。紙の否定できない魅力に郷愁を抱き、電子ペーパーデバイスの可能性に興奮し、そして既存のオプションに失望していた。
「ハードコアな『紙好き』人間としての意見を述べるなら、本当に役に立つものはないですね」とWanberg。「書くにせよ、読むにせよ、スケッチするにせよ、同じような経験とはとても言えません」。
ここ数年の間、彼らは電子ペーパーディスプレイの能力を高めるべく、様々な工夫を重ねてきた。ソフトウェアを改善し、いくつもの対話手段を試みてきたのだ。こうしたことは、各種タブレットやKindleの宣伝文句には謳われて来なかったが、本来課題として取り上げられるべきものだったのだ。私は、世のトレンドに流されることなくこのプロジェクトを押し進める、彼らの決意を多いに賞賛したい。
書き込みに対する応答の遅れ(レイテンシ)が短くなればなるほど、より自然な書き心地が実現される。最終的に、彼らは最新の電子ペーパーディスプレイのレイテンシを約55ミリ秒にまで半減させることができた。ちなみにiPadのペンのレイテンシは50ミリ秒だ。
これは大変な成果であり、このことはE Inkに感銘を与え、両社が共同作業を始めることになった。そして、タブレットの他の側面、例えば傾きと圧力をサポートしたWacomのようなパッシブペン、ドキュメントのレイヤーサポート(重要だ)、思慮を重ねた素材選択なども好ましいものだ。
しかし、私にしてみれば、既存の枠組みには囚われない便利なプロダクトのビジョンに比べれば、技術的な成果は二次的なものだと思う。
reMarkableは、文書を扱い共有しスケッチする為に、白黒デバイスとしてゼロから開発された。Windowsのような厄介さも、Amazonからの執拗な買え買え攻撃もない、心地よい紙のような環境が提供される。モノクロタッチディスプレイの制限の中で、いくつもの特定作業をうまくこなすように作られている。
「このプロダクトで私たちは … いわば紙の限界のなさを表現したいと思ったのです」とSolbergは語る。「ブランドはなく、余分な宣伝文句もなく、そして液晶ディスプレイでもありません」。
これは強化版Kindleではなく、最新版iPadでもない。極めて独特の存在で、他の新しいデバイスたちとは似通ってはいない。
実際にこのデバイスがどのようなもので、本当に私が期待しているくらい使い勝手の良いものになるのかどうかの詳細に関しては、この夏最終的にreMarkableが出荷される前に私が書き上げる予定の、完全版レビューをお待ちいただきたい。現時点では、reMarkableサイトでさらに情報を得ることができ、479ドルでプレオーダーが可能だ。
[ 原文へ ]
(翻訳:Sako)