神戸市と500 Startupsの支援プログラムが6月開始、新型コロナと戦うスタートアップを国内外から募集

神戸市長の久元喜造氏は4月23日、神戸市と米国のベンチャーキャピタルである500 Startupsと連携したスタートアップ育成プログラム「500 KOBE ACCELERATOR」の参加募集を6月から開始することを明らかにした。新型コロナウイルス蔓延のため、プログラム自体は完全にオンラインで実施され、プログラムの成果を発表する場であるDemo Dayも現在のところオンラインでの開催を検討しているとのこと。

なお、すでに4月20日から神戸市独自で同様のプログラムの募集が始まっているが、重複して応募することも可能とのこと。

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500 KOBE ACCELERATORは、約6週間の短期集中型起業家支援プログラムで、日本発のスタートアップエコシステムを神戸から生み出すことを目指して2016年から開催しているもの。第4回の昨年は、ヘルステック領域に特化。神戸市は、人工島であるポートアイランドに先端医療技術の国際的な研究開発拠点として神戸医療産業都市を有しており、医療関連のスタートアップを育成する環境が整っていることからテーマが決まったそうだ。申込数は174社で、そのうち半数以上が海外からの申し込だったとのこと。第1回からの採択企業の累計資金調達額は100億円を超える。そのうち3社はM&Aによる事業買収を受けたほか、8社は現在も神戸を拠点に活動している。

5回目となる今年は、さらにジャンルを絞り込み新型コロナウイルス(COVID-19)と戦うスタートアップ企業を募集する。開催概要は以下のとおりだが、コロナウイルス感染への治療や創薬、一部の医療機器開発などの事業は対象外となる。

また投資プログラムではないため、採択された企業への500 Startupsの基本的に出資はない。プログラムは原則として英語で実施されるが、講義ビデオは日本語字幕付きで、メンタリングは必要に応じて逐次通訳でサポートする。

  • プログラム名:500 KOBE Accelerator 2020 for COVID-19 Emerging Technology
  • 募集期間:2020年6〜7月(予定)
  • プログラム期間:2020年8月から10月(予定)
  • 開催方法:オンライン(デモデイの開催方法は社会状況に応じて今後検討)
  • 対象領域:ウイルス感染予防、公衆衛生などに関する正確な情報発信(デマ防止)、健康管理、リモートワーク・学習、食品物流、オンラインイベントなど
  • 参加資格:国内外の起業家または起業家候補でシード(最小限のプロダクト・モデルを開発済み)、アーリー(製品開発済み、顧客あり、第三者からの投資を獲得する段階)期にある ※すでに製品やサービスを持っており、チーム活動しているスタートアップを推奨
  • 参加者枠:20チーム

プログラム内容は以下のとおり。

  • メンタリング:500 Startupsのグローバルスタッフによる1対1形式のメンタリング
  • 講義:マーケティングやマネタイズ手法、UX/UI、資金調達などに関する専門家による講義
  • コミュニティ:選抜されたスタートアップのコミュニティ形成支援
  • 神戸医療産業都市のサポート

記者会見で久元市長は、新型コロナウイルス感染症対策で1624億円の緊急補正予算を組むことも発表。

この予算により、医療や教育、ひとり親やDVの被害を受けている人、中小企業への支援などを進める方針だ。そして、500 KOBE ACCELERATORプログラムでスタートアップの力も借りて戦後最悪ともいえる難局を乗り越える。

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神戸市が国内外のスタートアップを強力支援する「500 KOBE ACCELERATOR」

神戸市と500 Startupsが組んだアクセラレーションプログラム「500 KOBE ACCELERATOR」のデモデイが12月11日、東京・御茶ノ水で開催された。500 KOBE ACCELERATORとは、神戸から世界へはばたくスタートアップのためのアクセラレーションプログラム。500 Startups500は、シリコンバレーを拠点に世界60カ国1800社以上に投資するシードベンチャーキャピタルで、神戸市との取り組みは今年で3年目となる。

500 StartupsマネージングパートナーのBedy Yang(ベディ・ヤン)氏

最初に、500 StartupsマネージングパートナーのBedy Yang(ベディ・ヤン)氏が登壇。神戸市との取り組みについて語った。500 Startupsは、各国の行政関係者と仕事をすることが多いが、神戸市はエコシステムを含めた変革について非常に理解があると語った。

500 KOBE ACCELERATORの責任者を務めた500 StartupsのAaron Blumenthal(アーロン・ブルーメンタール)氏

今回で3期目となる500 KOBE ACCELERATORの責任者を務めたAaron Blumenthal(アーロン・ブルーメンタール)氏は、イノベーションとエコシステムの両立は難しいが、神戸の素晴らしいサポートに感謝すると述べた。

神戸市長の久元喜造氏

神戸市長の久元喜造氏は英語のスピーチで、社会にイノベーションを起こすスタートアップを国内外から神戸に集めて盛り上げたいと語った。KOBEアクセラレーションの取り組みは2016年からだが、もともとは500スタートアップの米国サンフランシスコの拠点を訪問したことがきっかけとのこと。こういったプログラムを日本でやるならぜひ神戸でと自ら申し出たそうだ。

開会の挨拶のあとは、500 KOBE ACCELERATORで選ばれた18社のピッチとなった。起業したばかりの会社からすでに海外で実績を上げている起業までバラエティーに富んだ内容となった。

Tokyo Techies

アプリやロボットを開発する技術者のパーソナルトレーニングサービスを提供する会社。実践的な教材を使ってトレーニングすることで、短期間でエンジニアを育てられるのがウリ。

Bonyu

岐阜大学と連携して母乳の分析サービスを提供。調査によると、子供を産んだ女性の75%は母乳の成分を知りたいと回答しているそうで、実際に半分以上の母親の母乳が栄養不足という事実があるそうだ。母乳の成分分析のほか、母乳に足りない栄養素を補うサプリメントや機能性おかしなどの販売も手がける予定という。

Jenio(Kiara)

安価かつインタラクティブなビデオ会議ツール「Kiara」を開発。お互いの母国語で話せば同時通訳の字幕が出るのが特徴だ。現在は10カ国に対応しており、将来的には120カ国を対応予定とのこと。

Lizuna(Beacon)

ネットコマース詐欺を防止するサービス「Beacon」を開発。ビッグデータ分析して、住所や送り先、注文履歴などにおかしなところがないを自動検知してくれる。

OKKO(Honey Magazine)

イケメンキャラのストーリーを提供するマンガアプリ。ユーザーは主にフランスとアメリカの女性で、1日に平均26分の使用実績があるとのこと。

T-ICU

遠隔操作による集中治療室向け医療サービス。日本では多くの病院では専門のICU医が不在という現状を解決するため、医学部教授を含むチームを結成してサービスを提供する。現在は、千葉県の柏の葉にある病院で実施中。ちなみに米国では、同様のサービスが20%のシェアがあり、死亡率が26%低下したというデータがあるそうだ。

NOBORDER(TeamFinder)

質と量を兼ね備えた人材マッチングサービス「TeamFinder」を提供。チャットボットを利用したインタビューシステムにより、履歴書だけではわからないスキルや経験などのデータを取得するのが特徴。独自のスコアリングによりマッチングを実施することで、企業側の採用コストが最大で10分の1に圧縮できるという。

forent(ExCamp)

理想のキャンプがしたいという想いで起業したAirbnbのキャンプ版ともいえるサービス「ExCamp」を提供。多くの人が集まるキャンプ場ではなく、使われていない土地、島などを時間単位で借りることが可能で、キャンプやバーベキューなどを楽しめる。現在、50カ所以上登録されており、同社のInstagramフォローしている1万人に情報提供を行っているそうだ。

Buyandship

低価格かつ簡単に利用できる国際転送サービスを手がける会社。同社が所有する各国の倉庫を配送先に指定することで、日本に居ながらにして海外通販サイトでショッピングを楽しめる。倉庫に配送された荷物は、業界最安値の配送料で日本に転送できるとのこと、同社は1000万ドルの売り上げを達成しているそうだ。

doot

南アフリカ発の地元の人が旅行者を飲食店などに案内するサービス。旅行者は、旅行先でお勧めの飲食店を地元に案内人に教えてもらうだけでなく、一緒に食事を楽しめるのが特徴。案内人への謝礼もある、

Clarity

結婚や子育てなどで勤務条件が合わずに仕事を辞めざるを得ない女性をターゲットにしたマッチングするサービス。育児や介護のための時短勤務、フレックスタイム制、子供の看護時間、託児室の有無など、子育てや介護に理解のある企業を絞り込めるのが特徴だ。

Web2ship

各国で最適な配送網や配送ルート、価格などを比較検討できるサービス。大手以外ではなかなか難しい発送コストの圧縮を実現する。

SAgri

農家の時間効率を30%、収益を30%上げる農業支援サービス。野菜の品種、農薬、肥料などのデータベース化したうえで、衛星から得られる日射量や雨量、土壌の肥沃度、タンパク質など情報を組み合わせて畑の状況をモニタリングする。

ELXR

遺伝子情報に基づいたトレーニング検査サービス。日本では遺伝子検査キットを販売するGENELIFEを組んで、遺伝子情報に基づいた個々人の最適なトレーニング方法を教えてくれる。

職人さんドットコム

職人のシェアリングサービス。同種のサービスと異なるのは、18年の職人経験で培った人脈や知識を基にオフラインとオンラインをつなぎ合わせているの点と、そのマネタイズ方法。職人が使う電動工具の防犯登録システムを構築し、職人にはまず無料でサービスを提供しつつ、メーカーやプロショップなどに対価をもらうSaaS型サービスとなっている。特に盗難にあった工具の所有者を特定できる防犯登録システムがキモだ。

Pisces

VRで安価に構築できるインタラクティブなテレビ会議システム。リモートワークをしている人の44%が対面での仕事ではないことに不安を感じているという調査があるほか、音声だけのコミュニケーションでは欠落してしまう、視線や表情などを3Dで実現する。

Visual Design Cafe

ゲーム開発期間を短縮するための3Dモデルのライブラリを提供する会社。ゲーム開発のほとんど時間は3Dモデルの制作に費やされるそうで、同社のライブラリを使えば効率的な作業が可能とのこと。このライブラリは3Dのゲーム開発環境であるUnityの全バージョンで利用可能だ。

Pegara(GPU EATER)

GPUによる効率的な機械学習を手助けするサービス「GPU EATER」を提供。AWSのGPUインスタンスコストを最大80%削減できるほか、同社のサービスを利用することで最大で1.5倍のパフォーマンスアップを見込めるという。