Boston Dynamicsが四脚ロボ「Spot」のSDKを発表

この1年はBoston Dynamics(ボストン・ダイナミクス)にとって1992年の創立以来、最も重要な節目の年だった。オーナーがGoogle(グーグル)からソフトバンクに変わり、商用化をアグレッシブに追求する姿勢となった。小型の四脚ロボットであるSpotを市販すると同時に大型の2輪ロボットのHandleの発売も準備している。すでに報じたように新しいCEOも就任したところだ。CEOの交代は創立以来これが最初だ。

新しいマーケティングの一環にはBoston DynamicsがGitHubにアップロードしたSpotのSDKが含まれる。SDKは1月24日からダウンロード可能になる。これはSpotの普及に向けて非常に大きな一歩だ。同社では以前から好評していたとおり、近々Spotプラットフォームを利用して商用プロダクトを発売するという。

同社のバイスプレジデントであるMichael Perry(マイケル・ペリー)氏はTechCrunchに以下のようなコメントを寄せた。

このSDKはロボティクス専門家でない人々でもSpotのソフトウェアを容易に開発できるようにする。これによりユーザーのニーズに適合したカスタムアプリケーションが多数開発される、Spotが有益なミッションを果たすことを助けると期待している。デベロッパーは我々のEarly
Adopter Programに参加し、ロボットのリースを受ける必要がある。ただしSDKの閲覧は自由だ。既存のアーリーアダプターも開発したソフトウェアをオープンソース化できる。Early
Adopter Programに参加したデベロッパーはSDKを利用してロボットの動作をカスタマイズできる。またセンサーから取得したデータの分析ツールも提供される。新たなペイロードを実装することによりSpotプラットフォームの有用性は一段と高まる。

我々のクライアントの1社であるHoloBuildeでは、SDKを用いてSpotを同社の既存のアプリに組み込むことに成功した。これにより、建設現場の技術者はスマートフォンからSpotに移動の道筋を指示する。Spotは指示に従って歩き、周囲を360°撮影する。他の応用例では、カスタマーはVRテクノロジーを利用しSpotを操縦する。

Boston DynamicsではこれまでにもTechCrunchの例年のRobotics+AIカンファレンスで多数の応用事例をデモしてきた。応用例には上でも触れられている建設現場での工事のモニタリングがある。障害物を乗り越え階段を登り降りし、自らドアを開けるなど他のツールにはないSpotのユニークな能力はこうした場面で極めて役に立つことが実証されている。別のビデオで州警察がSpotを訓練に利用している。


Boston Dynamicsの創業者で元CEOのMarc Raibert(マーク・レイバート)氏は私の取材に対して以下のように語った。

「ロボットが職を奪うとか軍事利用されるとか叫びたがる人々がいるが、我々はそういう説には断固反対する。我々はロボットの兵器化などには興味ないし、捜査機関からは不審物を検査するためにロボットが非常に役立っているという報告を得ている。これは警察官の生命に関わる問題であり、我々が強い関心を抱いている分野だ。.いずれにせよ(さまざな利用法がありえるのは)すべての新テクノロジーに共通することだ。我々は(人類の福祉を増進する)良き目的に役立つよう開発を続けtいる」。

Boston DynamicsがSpotのソフトウェアのSDKを発表したことでそうした良き目的を実現するのが大きく効率化された。


アーリーアダプターの一人が人気番組「怪しい伝説」のホストを長年務めたAdam Savage(アダム・サヴェッジ)氏だ。昨年のクリスマスにはSpotを屋外でテストし、子供のようにはしゃいでいる動画を公開した。

サヴェッジ氏はSpotを収めたケースに腰掛けて登場する。以前からSpotをテストしてきたというが、このビデオではケースを開いてSpotを起動し、屋外のテストに連れ出している。石の山や階段などを作った大掛かりな実験で、見ているほうではロボットを壊してしまわないかとハラハラした。Spotのサイズは大きめの犬程度だが価格は自動車1台ぶんくらいするのだ。サヴェッジ氏は今後もSpotについての計画を持っているようだ。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook