今では、大半のスタートアップがソフトウェアを開発しているが、すべての新興企業が事業を構築するのにコード専門のアプローチを取っているわけではない。現代で最も野心的なスタートアップの一部はそれ以上のものを目指している。
Albedo(アルベド)はそうした企業の1社だ。最近のY Combinator卒業生である同社は、今日入手できるものよりも高解像度の地球画像を提供できる低軌道衛星コンステレーションの構築を目指している。そして同社は1000万ドル(約10億8000万円)のシードラウンドをクローズしたばかりだ。
同ラウンドはInitialized Capitalがリードし、Jetstream、Liquid2 Ventures、Soma Capitalが参加した。
TechCrunchはY CombinatorのときからAlbedoに目をつけ、同社が「空中品質」の画像と表現するものの提供で取っているアプローチを取り上げた。同社はドローンや航空機の代わりに宇宙から撮影する。より専門的にいうと、Albedoは10cmの視覚画像と2mの赤外線画像を提供しようとしている。
共同創業者でCEOのTopher Haddad(トファー・ハダッド)氏によると、同社は初の衛星を2024年に打ち上げ、2027年までに全コンステレーションを軌道に乗せることを目指している。衛星8基で毎日画像を2回提供でき、24基で3回提供できるが、衛星8基が初期の目標となるとのことだ。
Albedoが取り組んでいるものに、なぜこれまで誰も挑戦していなかったのか。部分的には大きな宇宙産業経済における進歩のおかげで、そして大手クラウドプロバイダーのAWSとAzureが衛星データを扱うためのサービス「AWS Ground Station」と「Azure Orbital」を構築したという事実によってAlbedoは可能になっているとハダッド氏はレターの中で説明した。つまり、より安価な打ち上げとより多くのモジュラー衛星建設が組み合わさり、Albedoが手がけたいものが可能になりつつある。
しかしAlbedoがしようとしていることにはテック面でリスクもいくらかある。衛星が長く漂っていられるよう、衛星の電気推進装置にどのように軌道上で給電しようとしているかについてハダド氏は説明した。もし給電の取り組みが失敗すれば、あるいは予想よりも風の巻き上がりが悪ければ、Albedoの衛星はわずかに高い軌道と12〜15cmの範囲の低解像度の写真を選択しなければならないかもしれない。
蛇足だが、実際問題として解像度は何を意味するのだろうか。衛星からの10cmの解像度の画像は各ピクセルがそれぞれの面で10cmのものだ。なので、15cmの解像度の画像は10cmの画像の表面の2倍超のピクセルを持つことになる。
解像度は重要で、新しい画像が規則的に撮られることもそうだ。後者に関しては、今後展開される同社の衛星が写真を次々と撮るはずだ。
Albedoはあらゆる規模の企業を顧客としてターゲットにしたい意向だ。画像の世界は大きなマーケットだ。不動産保険会社、地図作成会社、電力会社、その他大企業が顧客になるとハダッド氏は見込んでいる。そして現在、同社は目標に向かって進むためにこれまで以上に多くの資金を手にしている。
ラウンド
初期のソフトウェアプロダクトを繰り返すよりも、宇宙スタートアップとしてスタートさせることに金がかかる。調達したばかりの1000万ドルでAlbedoは何をするのか。まず最初はスタッフだ。TechCrunchが最後にハダッド氏と話したとき、Albedoはまだ3人のチームだった。しかしそれは変わろうとしている。最近多くの新規採用を行い、すでに同社に入社する予定の人以外にも4、5人加わる見込みだ。
2021年末までに10〜12人になると予想している、と同社は話した。
調達した資金によって同社はロケット会社への頭金を払い、Albedoが衛星デザインを完了させられることにつながるはずのサプライヤーへの支払いを行うことができる。ハダッド氏によると、同社は初の衛星を軌道に乗せる資金をまなうためにおおよそ1年以内に大型のシリーズAを実施する予定だ。その際は自社のテクノロジーを証明することになりそうだ。そしてすべてが順調にいけば、打ち上げスケジュールを予定通り進めるためにさらに多くの資金調達にもつながる。
新たに調達した資金で何をできるのか見ることにしよう。資金が十分であれば、次の資金調達のマイルストーン達成へと進む。そうであれば、初の衛星打ち上げをTechCrunchが紹介できる。楽しみだ。
カテゴリー:宇宙
タグ:Albedo、人工衛星、資金調達
画像クレジット:Albedo
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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nariko Mizoguchi)