Amazon(アマゾン)は米国時間9月29日に新しいバーチャルプラットフォームをスタートさせた。Amazon Exploreは世界各地にいる地元のエキスパートによるバーチャルツアーを予約できるサービスだ。利用者が体験できる内容は、クリエイティブな各種スキルの学習、世界各地の観光スポットや遺跡、文化的に興味ある場所のツアー、さらには地元の店舗や市場でのショッピングなど極めて多岐にわたる。
例えばユーザーはアルゼンチンでバーチャルなワインテイスティングの会に参加できる。メキシコでは魚の燻製でタコスを作るところを見ることができる。また日本の京都の美しい寺院、南禅寺のバーチャルツアーに参加できる。ペルーでは500年前の宮殿を、コスタリカではコーヒー豆の処理を見学する。東京では家庭のキッチンでどうやって寿司を握るかを学ぶ、といったところだ。
ただしAmazon Exploreは今のところ非公開のベータテストの段階だ。バーチャル世界ツアーのセッションに参加できるのは同社から特別に招待されたユーザーのみとなっている(現在は米国在住者に限られている)。
バーチャルツアーのホストはアマゾンが支援する地元の専門家だという。現在でも現地に行かずに世界を体験する方法はいくつかある。YouTubeのビデオを見てもいいし、Google Earthのガイド付きツアーに参加するのも良い考えだ。しかしAmazon Exploreの体験は大きく異なる。これは現実の人間であるホストと一対一で直接、コミュニケーションがとれるセッションだからだ。動画は一方通行のものだが、音声ではリアルタイムでホストとの会話できる。単に受動的に視聴する体験に比べて、ユーザーはその場にいるという参加の感覚を強く得ることができる。
各セッションは30分から60分で、24時間前までならキャンセルあるいは時間の変更が可能だ。ユーザーは予定された時間にAmazonアカウントにログインする。Exploreのベータテストのユーザーには「セッション」のオプションが表示されるので「あなたのセッション」を選択すればツアーがスタートする。
セッションに参加するためにはノートPCまたはデスクトップPCが必要だ。ベータテストはまだモバイルデバイスに対応していない。サポートしているブラウザはGoogle Chrome、Microsoft Edge、Safariだ。内蔵あるいは外付けのマイクとスピーカー、5Mbps以上のインターネット接続が必要となる。
セッション中ユーザーは、ホストに対し興味を感じた話題についてさらに詳しい説明を(逆に興味のない部分についてはスキップを)依頼できる。またカメラアイコンが表示されるので、随時スクリーンショットを撮ることもできる。
すべてではないが、一部のセッションではショッピングも可能だ。ユーザーは地元の店舗やマーケットを訪れてアイテムを長め、その場にいるのと同様に店主に説明を求めたり、気に入った商品を購入したりできる。購入手続きはAmazon.comと同様だ。支払いはユーザーのアマゾンのアカウント内で安全に処理される。その後ホストにも紹介手数料が支払われる。
ショッピングに関して、アマゾンは現在流行中のライブストリームショッピングの手法を取り入れているようだ。Amazon Liveのショッピング(未訳記事)ではインフルエンサーのホストがアイテムの説明をしたりデモをしたりするが、Exploreではこうした役割は店主やショップスタッフとなる。またユーザーはアイテムをもっとよく見たい場合に裏返したり、カメラアングルを変えたりするよう依頼することができる。
アマゾンはAmazon Liveで独自のライブストリーミングプラットフォームを構築しているが、Exploreはこれとは別のものであり既存のテクノロジーは利用していないという。
アマゾンはこのプラットフォームは、店舗のオーナー、地元のガイド、シェフ、スタイリスト、アーティスト、工芸職人など地元でスモールビジネスに携わる人々に副収入を得るチャンスを生み出すという。こうした人々はパンデミックにより全世界的に深刻な影響を受けている。アマゾンがExploerをスタートさせたのには、こうした困難を軽減する目的もあるだろう。
セッションの料金は幅広い。ファッションのスタイリングのヒントを与えるセッションについては10ドル(約1060円)からというものもある。一方、ニューヨークのセントラルパークを案内するバーチャルツアーの場合には150ドル(約1万5860円)だ。アマゾンによれば、料金や時間はホストが自由に決定することができ、特に最低料金最高料金等は設けられていないという。ただしアマゾンは手数料などの課金について詳細を明かすことは避けている。
スタート時点でこれらのバーチャルツアーの大部分は各地域の旅行業者が組織しているが、ツアーのアイデアを持っていれば誰でも歓迎だという。「郷土史家、各種アーティスト、ミュージシャン、工芸職人、シェフ、買い物をしたい個人、共有可能なスキルや冒険のアイディアを持っている人々を歓迎する」とアマゾンは述べている。現在16カ国にわたって86のセッションが登録されているが、これは今後、急速に増える見込みだ(Exploreはベータテスト中であり、現在のところ米国在住でアマゾンから招待されたユーザーのみ参加できる)。
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カテゴリー:ネットサービス
画像クレジット:Amazon
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)