[筆者: Larry Downes](ジョージタウン大学のMcDonough School of Businessのフェロー)
今回のInnovate 2018は、主宰者のAndrew Keen自身がゲストだ。
今月初めに出たKeenの近著“How to Fix the Future”(未来の直し方)は、テクノロジー世界の著名なオピニオンリーダーたちが、従来のユートピア主義を捨ててその逆を主張し始め、しかもそれが突然、一種のファッションになってる現況を論じている。IPOの第一世代の勝利者たちが、今ではテクノロジーのもっとも声高な批判者になり、しかもその批判は都合よく、若い世代の起業家たちが立ち上げた新しいプロダクトやサービスの批判にもなっている。
たとえばTeslaのElon Muskは、人工知能の進歩が“文明の存在基盤を脅かすリスク”になる、と言っている。
SalesforceのCEO Marc Benioffは、Facebookはたばこ企業のように規制されるべきだ、ソーシャルメディアには(文字通り?)発がん性があるから、と信じている。
そしてロシアの大富豪George Soros*は先週Googleを、 “社会に対する脅威”と呼んだ。〔*: George Sorosの国籍はハンガリーとアメリカのはず。〕
そしてメインストリームのメディアも、極端なアンチ・テクノロジーを装う。“シリコンバレーはあなたの友だちではない”(The New York Times)、“スマートフォン地獄を恐れるテクノロジー・インサイダーたち”(The Guardian)、などなど。
Keenは、このような極端に走ることは避けつつ、公・民両面にわたる個人監視、大規模失業、フェイクニュースなど、現代のテクノロジーのさまざまな否定的側面に対する解決策を提案する。
エストニアやスイス、シンガポール、インドなど、デジタルの最前線の国々で経験したことを基に、Keenは未来を直す(fixing the future)ための5つのツールを挙げる:
- 規制の強化、とくに独禁法の有効利用
- テクノロジーによる初期のディスラプト(破壊的生産)がもたらした意図せざる副作用を解決するイノベーション
- テクノロジーの上位富裕企業による的をしぼった博愛事業
- テクノロジーから置き去りにされている労働者や消費者のための社会的安全ネット
- 21世紀の生き方に適合した教育システム