根強い人気を持つウェブブラウザ「Sleipnir」やモバイルブラウザ「Sleipnir Mobile」などを提供するフェンリルから9月6日、旅のプランが作成できるiPhoneアプリ「bitter(ビター)」がリリースされた。
bitterは、行きたい場所の情報が載っているウェブページを地図上にブックマークし、情報収集と旅行プランの保存・共有ができるアプリ。使い方はこうだ。まず、行きたいスポットを検索してページを表示する。閲覧中のページに、場所に関する情報が表示されていたら、自動的にスポット情報を抽出してマップ上にそのページのブックマークを作ることができる。また自分でページ上のスポット名を選択して、マップに登録することも可能だ。
登録されたスポットは、マップ上からでもリストからでも閲覧することができる。旅行前に行きたい場所の情報を予習して想像を膨らませるのにも、旅から帰ってきて復習するのにも使える。また「今いる場所から近い順」に表示することもできるので、旅行中に今から行こうとしている場所を確認するのにも便利だ。
行きたい場所がある程度収集できたら、いよいよ旅のプラン作成だ。スポットを選択して、旅行の予定期間を入力すると、行きたいところを入れたルートを自動的に作成して、プレビュー表示することができる。自分でイチから地図を見て予定を組むよりは、楽にプランを作成できるだろう。距離から行き先の順序を判断してくれるので、知らない街などで移動プランを作成するには、重宝しそうだ。
もっとも、スポットでの滞在時間などについては、自分で決めて入力する必要があるし、移動手段が登録されていない区間の交通機関については、自力で調べてメモしておかなければならない。飛行機での移動や船などを使う区間については、あきらめて手で入力した方がいいだろう。
作成した旅のプランは、テキストでシェアすることもできるので、一緒に行動する家族や友人への確認もスムーズにできる。
このアプリはフェンリルのクリエイターたちが、最新技術を取り入れたアプリをリリースしたり、即事業化は難しくても社内ベンチャー的に取り組める場として生まれた別ブランド「VanApp」からリリースされた。
フェンリルのデザイナーでbitterのプロダクトオーナーである末綱華英氏は、旅行、特に一人旅が好きだそうだ。「8年前、初めて一人でタイに旅行したとき、いろんな景色を見て、いろんな人に出会い、今まで知らない価値感に触れた。自分の知らない世界を見たことで、今まで狭い世界で培った尺度で物事を判断していたことを知った」(末綱氏)
「私のように一人旅で、同じような気づきを得た人にも多く出会った」という末綱氏は、開発のきっかけについて「そうした人たちとの会話の中で、もっと場所を探しやすく、調べた場所を集めやすく、地図に連携できたりできないか、と今のツールに要望がある人が多いことが分かった。そこで、旅行をする人にとって使いやすいアプリを自分で作れないかと企画し、開発することにした」と述べている。
末綱氏は「このアプリを通して、もっと旅に出たいと思ってもらえたら、とても幸せ」と言う。bitterの名称は「初めて出会う価値観を受け入れることや、いろんな体験を通して感じる喜びや苦しさ。楽しいことだけではないけれど大切にしたい“苦みをはらんだ体験”の接点になればと想い」名付けられたそうだ。
「女性が自主的に何かに取り組もうとするとまだまだ風当たりが強い面も多い。自分は旅に出ることでさまざまな価値観に出会い、前向きになれた。私のように、旅を通して自信をつける体験の場を、ひとりでも多くの方に提供したい。またアプリを通して、共感しあえることや、明日の計画・休みの計画を立てる時間を持つことで、明日への活力を提供できれば」(末綱氏)
アプリの収益化については、広告収入や蓄積データの活用のほか、受託案件へつなげることや機能追加によるユーザー課金モデルなどを検討しているとのこと。ただ、当面はユーザー数を増やし、ファンを増やすことに注力するという。
また、Android版リリースの予定もしているが、まずはiPhoneユーザーの動向を見て、iPhone版の改善から進めていくということだ。