東京大学に量子ネイティブ人材を育成する「量子ソフトウェア」寄付講座が開設、2021年6月1日~2024年5月31日の3年間

東京大学に量子ネイティブ人材を育成する「量子ソフトウェア」寄付講座が開設、2021年6月1日~2024年5月31日の3年間

電通国際情報サービスは5月24日、東京大学大学院に、協賛企業9社による「量子ソフトウェア」寄付講座を開設すると発表した。期間は2021年6月1日から2024年5月31日までの3年間。

この講座は、東京大学大学院理学系研究科に設置され、同研究室科の「知の物理学研究センター」の協力で推進される。寄付講座とは、大学外部の団体から資金や人材などの寄付を受けて開かれる講座のこと。協賛企業は、CSK、NTTデータ、電通国際情報サービス、日鉄ソリューションズ、三井住友フィナンシャルグループ日本総合研究所、日本電気、日本ユニシス、富士通、blueqat。

この講座の目的は次の3つ。

  1. 量子コンピューター、情報圧縮や計算の効率化に役立つテンソルネットワーク、情報抽出を行うサンプリング手法などを組み合わせた新しい量子機会学習手法や量子アプリケーションの開発
  2. 大規模シミュレーションによる量子コンピューターの背後に潜む物理の理解と最先端知見の獲得による社会実装における課題の解決
  3. 量子ネイティブな専門人材育成

2021年度は、試行段階として、学生向けのセミナー形式の講義、社会人向け講義、シンポジウムなどのイベントの実施を予定している。2022年から本格的な講座を開始し、量子ネイティブ人材の育成を行う。協賛企業は、自社社員をここで学ばせることもできる。

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blueqatとコーセーが量子コンピューティング活用し化粧品の製品特徴分布を多次元解析する独自アルゴリズム開発

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blueqatとコーセーが量子コンピューティング活用し化粧品の製品特徴分布を多次元解析する独自アルゴリズム開発

blueqatとコーセーが量子コンピューティング活用し化粧品の製品特徴分布を多次元解析する独自アルゴリズム開発

コーセーは12月17日、量子コンピュータソフトウェア開発ツールおよびクラウド環境提供のblueqatと共同で、ハイブリッド量子コンピューティング技術を応用して化粧品の製品特徴の分布を解析する独自アルゴリズムを開発し、特許出願を行ったと発表した。

これは、製品特徴のポジショニングについて、従来一般的であった2次元マッピングではなく、多次元空間で捉えて解析する手法という。多次元空間において既存品が多く存在する「実現性の高い」領域と、既存品の少ない「新規性の高い」領域の探索を行う。

加えて、量子コンピューティング技術の応用により、これまで困難であった多次元での製品ポジショニングマップの解析を可能にした。

同技術によって、既存領域を可視化すると同時に、未知の製品領域が明らかになり、人間が思いもよらなかった新しい化粧品設計への可能性を拓くことができたとしている。

またハイブリッド量子コンピューティング技術は、複雑な計算に対して、量子コンピューターと従来型コンピューターを段階的に組み合わせて計算方法を最適化するという技術。それぞれのコンピューターに得意な計算分野があるため、役割分担をすることで全体の計算を大幅に高速化する可能性を持つとしている。

コーセーによると、化粧品の新製品開発においては、ブランドや製品のポジショニングマップを作り、既存製品の官能など品質の位置関係を可視化して着想を得ることが一般的という。人間は平面での広がりを最も効率よく認識できることから、ポジショニングマップは平面図(2次元)で作成することが多く、平面図で既存製品を分布させると、既存品が多く存在する「実現性の高い」領域と、既存品が少ない「新規性の高い」領域が可視化される。

しかし、化粧品開発で考慮すべき製品特徴は「しっとり」「さらさら」といった「官能項目」に加えて、「処方報」「効果効能」やSPF値のような「スペック」から粘度のような「物理特性」まで非常に多岐に渡るため、これらを複合的に考慮するためには多次元のポジショニングマップ作成が必要となるとしている。

これは複数の図を同時に解析するようなものであるため、現実的には人間が認識できる範囲を超えており、熟練研究者のバランス感覚に頼っているのが現状という。また、コンピューターによる統計的手法を用いることで多次元のポジショニングマップ解析は可能なものの、解析対象の軸を増やすほど計算時間がかかるため、従来のコンピューターのみでの実運用は困難としている。

今後コーセーは、今回の技術を応用し、新しい美の価値、未知の驚き、ワクワクする化粧品を提供することを目指す。同社はこれからも、blueqatとの取り組みのように、既存の価値観や技術分野に捉われない、新しい顧客価値に向けてより一層積極的に取り組んでいくとしている。

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